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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 目を開けると知らない天井があった。


(ああ、そっか信頼できる病院に念の為に移すって言ってたもんね)


 LRO内で聞いてた事を思い出す。流石に一週間も寝たきりの人間を家のベッドに放置する様なひどい親では我が両親はない。


「日鞠!」

「お母さん……」


 通い詰めてたのか、お母さんがすぐさま抱き着いてくる。なんだろう……とても安心する。お母さんは良くスキンシップして来てたから、とても久し振りに感じるよ。そもそも私に抱き着くのってお母さんか妹くらいしか……いや、妹は最近冷たいんだよね。くすんだよ。


「ほら、お姉ちゃんが目覚めたんだよ……こっちに来て」

「私は……いいよ」

「ダメ! ダメなの!」


 そういってお母さんが涙を流して妹に訴えてる。それに根負けしたのか、妹が加わって私を抱きしめてくれる。その時、小さな声だけど、「おかえり」って言ってくれたのが聞こえた。だから「ただいま」って返して上げた。恥ずかしそうにしてたけど、そこがまた可愛い。


 するとどたどたと騒がしい音が扉の向こうから聞こえた。ここは病院なんだからそんなうるさくしない方がいいとおもうんだけど……


「日鞠!」


 勢いよくドアを開けたのはお父さんだ。その目には涙がいっぱいだ。ううーんやっぱり皆とても心配したんだね。ごめんなさいって気持ちでいっぱいだよ。お父さんは勢いよく部屋に入って来て、私たち家族を包む様に大手を広げて抱き召してきた。ううー流石に苦しいよ?


 けど嬉しいからそんな事は言わないよ。それらかお医者様が来て、簡単に異常がないか確認してもらった。一週間寝たきりだったから体がだるい以外は問題はないらしい。それからリーフィアを取り上げられそうになったけど、そこは色々と説明して見逃してもらったよ。


 まだ必要だしね。まあこれを取り上げられても、代わりをもらえると思うけどね。けどあんまり家族には心配かけたくないし、色々と説明しておこうとはおもった。それからはいつスオウが来るのかなって思ってた。結局スオウが現れたのは夕方くらいだ。


 多分家の両親がちょっとは落ち着いたくらいを見計らってきたんだろう。スオウらしい。両親は私達を二人きりにしてくれた。夕暮れの光が差す病室で私達は二人っきりだ。何故か沈黙が支配してる。こんな事、あんまりなかったんだけどな。


(自然に、自然にだよ)


 そう自分に言い聞かせてるんだけど、スオウを見ると言葉が出てこない。なんだかドキドキしてしまう。ううん本当は怖いんだと思う。ククリにはああいったけど、私は今スオウが何を言うのか怖いんだ。きっとスオウはククリから聞いてるだろうから……だから言葉がでてこない。

 スオウが何も言わないのは待ってるのかな? 怒ってるのかな? 何だってスオウの事はわかってるみたいに言われるけど、本当にそうだったらよかったのに……一番スオウの事はわかんないよ。

 わかんないから、一緒に居たいのにね。


「あの……ね……ごめん……ね」


 そんな言葉を紡ぐので精一杯だった。心臓がいっぱいいっぱい脈打ってる。嫌いにならないでって私の全部が訴えてるよ。スオウ……

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