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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 刺さった。オリジンを纏わせたナイフは確かに、深く会長の胸に刺さってる。けど余りの反応のなさ、それに呆気なさに、まだ何かあるんじゃないかと……


「そっかー、これじゃあダメなんだね。うん、やっぱりスオウだね。信じてたよ」


 その言葉が耳から実感を伴って脳にしみこんでくる。やっぱり何かオリジン対策をしてたようだ。けど、それは僕という存在から切り離して発動したオリジンには反応しなかった? 多分そんな所だろう。会長だって祝福を手に入れてこの対決まで出来るだけの事はやっただろうが、全てを把握できる訳じゃない。そもそもオリジンとか使えるのは僕だけだ。


 検証とか何やらが不足したのはどうしようもない事で、そして会長はには殆どスキルなんて物はないから、自分のスキルを他の物に移すってのは発想的になかったか、似たような事をしてる会長は、それが自分の専売特許と無意識化で思ってたのかも。


 僕はこれまでもスキル事態をコードから発動させたことはないしね。そこら辺の本当に色々な物が重なったんだろう。今度はきっとこうはいかない。


 けど……今、確かに僕のナイフは会長に届いてる。


「ひま――つっ!?」


 思わず本名を言いかけた僕の唇を、会長の唇が重なって防がれた。え? こいつ何してるの? わけわかんなくて僕は思考が止まる。


「ありがとう、リアルで待ってる」


 数秒間は唇を重ねてた会長が、そういって消えていった。暗闇に佇むのは、これで僕一人。勝利の実感は、あんまりなかった。今、もしかしたらリアルの方ではとても盛り上がってるのかもしれない。いや、あまりに地味過ぎて拍子抜けかも……それよりも今の場面が全国……いや全世界で流れたとすると……とてもリアルに帰りたくないだが? 


 日鞠の奴、なんて事しやがるんだ。


「ふう、ここからどうしよう……」


 まだエリアバトルは続いてる。けど僕はもう全てを出し尽くした。ここからの脱出手段がない。あるとすれば自分で自害してそれから復活するくらいだろう。けど復活には時間が今回のエリアバトルはかかる。今自害するとその期間は会長の復活期間と同じだろう。


 そこまでこのエリアバトルは続かないだろう。僕は通信機で会長を倒した事を伝えてる。勢いがきっとこちらにはついた筈だ。そして逆にテア・レス・テレスには動揺が広がってる筈。逆転だってきっと可能。


「もうやるべき事はやったか」


 そう思って僕は一息つく事にした。とりあえずオリジンを宿したナイフを回収して、スキルを戻す。


「ん?」


 やった時と同じように剥がしてくっつけた筈……なのになんかナイフに黒いエフェクトが残ってる。オリジンは僕の中にある。けど、ナイフにはオリジンの残滓みたいなのが残ってる? 僕はそのナイフを壁に投げてみる。するとナイフはサクッと土にめり込んでその力が影響できる範囲を崩してナイフが落ちた。


 その範囲はとても狭くて、これを使ってここから出ても手遅れなのは間違いないが、なんかとんでもない武器にこのナイフがなってしまったのは間違いない。


(今の見られてないよな?)


 そんな心配をする。これはちょっとした切り札にしときたい。多分見どころもなくなった今の僕を全世界に映してる訳はないだろう。多分。


 それから十分後くらいに一日目のエリアバトルは終わった。結果はテア・レス・テレスが十九個の玉を手にして終わった。結果、僕たちは惨敗だった。テア・レス・テレスは会長が倒れても混乱も何も起きなかったらしい。考えてみればそれはそうだ。だって会長はその結果を望んでて、疑ってなかった。

 ならそれ前提で作戦を組んでた筈だ。会長が倒されても何も問題なかったんだ。こちら側が一個を守れたのは、一番の要塞に戦力を全集中して意地でも守ったからだった。


 こちら側はこの戦いでテア・レス・テレスというチームの巨大差を思い知らされた。そして既に敗戦ムードだ。残り二戦が残ってるというのに、既に抜け出すチームがある始末。

 まあだけどそういうチーム内のいざこざは上の代表の人達に任せておく。僕はただの参加者みたいなものだしね。だから僕はリアルで久し振りに会長に……いや、日鞠に会ってた。

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