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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 潮のささめきが耳に重なる。目の前に会長を前にして、武器も何もなくなって、あるのはアイテムとこの体に流れる意思だけ――そしてアイテムを全て投じてつくった最後のあがき。そんな時、僕は今朝の事を思い出してた。それはローレの奴のエリアでの事だ。


 あいつが再現した瀬戸内海から昇る太陽を背にして、僕はローレと二人でいた。


「最後の最後はやっぱりオリジンかしらね? あんたが会長の上を行けるとは思えないし、やれることはやったけど、それはきっと向こうだって同じでしょ」


 僕たち以外、誰もいない砂浜。その砂が黄金に輝く様に見えるそんな時間だった。あいつと二人、会長対策を沢山した。やっぱり最後はオリジン……なんとなく、僕もそんな事お持ってたから言葉を紡がなかった気がする。


「まあ、オルガトがいなくても、少しなら安定させれるでしょ。コードを操れるってホントズルいわよね」

「チートを絵にかいた様なお前がいうか」


 明らかに今の僕でも勝つのが難しいと言えるのがローレだ。こいつの事を色々と同じチームになったからわかる事が増えた。協力もしてくれてるから前より色々と明かしてくれたからこそそう思う。きっとまだあるんだろうが、今の時点でかなりチート過多してる。


 普通は相手をしれば倒し方が見えてくるものだろう。昔の人もそんなこと言ってたしね。けどローレは違う。こいつは知る程に底のなさが見える。そういう所、会長と似てると思う。


「けど、会長だってオリジンが最後の手段だって会長はわかってる。どんな対策してくるかはわからないけど、同じ答えにたどり着いてるのなら……どうするの?」


 潮風がローレのゆったりとした服をなびかせる。その顔は心配してる様にはみえない。ただ面白がってるような……ローレにとっては会長に思い入れなんてないだろうから当然か。僕たちはオリジンの力の本質を考えて、一つの結論を考えた。


 会長なら、多分同じか、もっと深くまで考えを巡らせてておかしくない。だから素直に……


「さあな」


 それだけいった。ただ単にこれ以上は分からないからだ。けど、ローレは「そっか、まあそれでいいかもね」といった。


(なんで……今、あの時の事を思い出すんだ?)


 不思議だった。もうオリジンしかないと思ってたからか? 祝福を注ぎ込んで作った火と水と氷と土のよくわからない物をぶつけたが……それは効果的ではなかった。全てが歪で、全てが反発してた。


「最後の攻撃にしてはお粗末だねスオウ。私よりも祝福への親和性がたかいけど、流石にまだこれは無理だよね。それで――」


 僕の次の行動を予想して会長はほくそ笑む。


「次はオリジン?」


 武器も祝福と結ぶアイテムも今ので吐き出した。手ぶらの僕に残されたものは既にそれくらいしかない。自分でもわかってる。もうオリジンしかないって。けど、それを会長が口にして確信した。会長は間違いなくオリジンへの対策を用意してる。

 このままオリジンを発動させても勝てないだろう。


(一撃だ、ただそれだけできっといい)


 会長に深く届けばきっと……あいつは現状どういう訳か脆くなってるのは確かだ。掠っただけで大ダメージを受けてた。なら、深くさせればそれで倒せる可能性はある。けどただオリジンを発動させてもダメだ。会長は対策してる。きっと届かない。


 それは咄嗟の思い付きだった。コードを操れるから出来た事。ずっと会長はオリジンまで対策してるんじゃないかと考えてたから浮かんだのかもしれない。僕は戦闘用じゃない、アイテムを取り出した。それは小さなサバイバルナイフだ。LROでも持ってたら便利なアイテム。


 僕はそれにオリジンというスキルを自分から剥がして張り付けた。それは色々と守られた会長の小細工全てを通り越してその胸に深々とささる。そう、僕の最後の一手は会長に届いた。

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