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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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  黄緑色に彩られた風が暴れてる。その風に遠慮なんて物はない。完璧に支配してる筈の僕でさえもその風に吹き飛ばされて壁に張り付けにされる程の風の暴力。それをゼロ距離で受けた会長がどうなるか……それは想像に容易い。


 容易いが……僕にはわかってしまう。なまじ完璧に支配してる風たちがその結果を視界よりも早く伝えてくる。


(だめだよー届いてない!)

(おかしい、私達は完璧なのに……とどかない。空間を隔絶してるのかも。伝えられる事は全部伝える)


 フラングランに宿る雷の精と風の精の声が届く。空間か……たしかに空間が違えば届くものも届かないかもしれない。時も操ってたし、空間も操れて会長の場合は不思議じゃない。それにコードってそういう物じゃないかと思う。


 会長は書いて現す事に特化してるしな。あいつは全身に沢山のコードを巻きつけてた。その中のコードなんだろう。頭に伝わってくる風からの情報。既に風の塊は一つ。これが無くなったら、もう僕には会長に届く力はなくなるだろう。


(まだ風は吹いてる……)


 僕は頭の中で送られてくる情報と風のコードを見比べる。幸いにも完全支配下の風だ。意思でコードくらいいじれる。だから誤差を修正するんだ。隔絶された空間といっても、それは隣り合ってる。いや、リアルなら完全に違う空間なのかもだけど、LROではそういう風に設定してるだけだ。大きな箱の中に小さな箱を作ってそこの数値だけを弄って空間が違うと判断してる……みたいなさ。


 だからその誤差を見極めて風のコードを修正する。風の勢いが徐々に落ちてる……間に合え!!


ピシ――っという音が聞こえた。空間に掠ってる。でも違う。通り抜けれる筈だ!!


「逃がさないぞ会長!!」

「きゃああああああああああ!!」


 届いた!! 吹き飛ぶ会長の会長の体を風が刻んでる。けど届いた風も一瞬だった。でもかなりのダメージを稼げた。あれだけでHPの大半を持って行ってる。


(あんなに……か?)


 流石にあの一瞬の攻撃だけであれだけ削れるか? ってくらい削れてる。いい事だけど、違和感もある。それは思考の片隅にとどめておいて僕は壁から這い出て、動く。あと少しなんだ! ここでいかないでどうする! けど次の瞬間、会長の体が二重に見えた。そして一つに重なり合ったと思ったら、ダメージを受けてない状態に会長が戻った。


「あぶなっ、今のは本当に危なかったよスオウ。けど、ギリギリ削り切れなかったね」


 態勢を整えつつ、会長はペンで空中にコードを書いてる。何をやったかはわからない。けど、ここで動かない理由はない。僕は風の塊から風を得て風帝武装を再び作る。フラングランを回収して会長に切りかかる。それを今書いたコードによって作り出した土の壁で防ぐ会長。


 更に幾つもの紙を巻いて水を作り出した。そしてそれを祝福のシヴァの氷へと超速で変化させる。腕を突っ込んでた所を見るとコードを書いた紙でも握ってた? 透明度が高い氷の壁が僕の攻撃をこと如く伏せぐ。更に素早くコードを書いて地面から土の棘とかも出して来る。けど多少辺りはしても僕はとまらない。


 だって確実に会長に余裕はなくなってる。ここだ! ここしかない。ここを逃して態勢を整えられた勝てないって僕の勘が言ってる。会長だって即席でコードを書いて対応してるんだ。だからそんな会長よりももっと早く、もっともっと……届かせる。


「もういい加減負けてろ!!」

「私は負けず嫌いなんだよスオウ!!」


 そういって二人で笑い合った。

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