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(やっぱりスオウは凄い)
私はそんな事を思う。それに同時に楽しいなって思う。いつ以来だろうか? こんなスオウと二人で思いっきりぶつかり合うのは。私達は幼い時はずっと一緒だった。でもやっぱり成長してくと色々と変わっていってしまう。最初はスオウなんて学校に通う事なんか出来るのだろうかと、幼いながらに心配したよ。
まあそれは今でも心配なんだけどね。あんまり学校に執着ないし、親友なんて秋徒だけだし、というか友達が限定的だし、そもそも学校外の方が今や多いんじゃない? って感じだしね。やっぱりスオウは捕らわれないんだよね。
昔、そんなのおかしいよって、私が言ったからからもしれない。嬉しいけど、私にはもう少し捕らわれてもいいんだよ? ずっと一緒に居たいって思ってる。それは私だけだろうか? 本当はわかってる。私のせいでなかなか学校とかがスオウに取っていい場所じゃないのは。
勿論行き過ぎた事とか、そんな事はないが、私はどこかスオウが学校で孤立してるのに安心があるんだと思う。だってスオウは素敵だから、同年代の女の子が好きになる可能性はある。別に私は直接何か言ったりしたことはない。私を慕ってくれてる人達が、私が特別にしてるスオウに妬いちゃうだけだ。
誰にでもある感情でどこでも起きうる出来ごと。小学生の時はそれこそ仕方なかったかもしれない。けど中学、高校ではいくらでもやりようはあった。私なら、出来たと思う。皆、私を優秀だといってくれる。そんな私なら……けど私だって女の子なんだよ。
JKなんだよ。思春期の盛り。だからバカな事だってしてしまう。もともと、LROから出れなくなったのはこの状況を望んだからだ。上手い事、あの子に利用されたんだろうけど、けどこっちも収穫はあった。祝福はとても有用だ。私ととても相性がいい。
だから今の私は強いと自負できる。私は殆どスキルなんてないし、特別な攻撃が出来る訳でもない。ペンは攻撃的な武器なんかじゃない。それはやっぱりLROでも同じだ。ただその代わり、書く事、綴る事、伝える事にこのペンは特化してる。
それはやっぱり祝福の為のデバイスなんじゃないかと思える程に。スオウは早い。正直、素の視覚では追い切れるものじゃない。だから私は視覚を、いや、五感を強化してる。普通ならそれ用のスキルがあるんだろうけど、一時的になら、それを再現できるのが便利な所。
私の体には実は沢山の紙が貼ってある。勿論見えない部分にだ。それには予め書き込んだコードが発動してる。この機能自体は元々がこのヨハネのペンにあるものだ。でも祝福のおかげでその幅はとてつもなく広がった。なにせ今までは既存の物に変化を加える事が出来る程度だったのが、今や改変できる。それに祝福の機能にコピペがあるから、スキルのコードとか実は丸まるコピーして紙に張り付ければそのスキルが使えたりする。
これは恐ろしい可能性だ。私はそんな紙を全身に張り巡らせてる。私自身には何の力もない。それは確かだ。けど、私はこの一本のペンで全てのスキルと全ての魔法が使える。そう理論上は。そしてそれらを改変する事も私には出来る。
そんな私をスオウがどうやって倒してくれるのか……それが楽しみで仕方ない。スオウが負ける可能性? そんなのはないよ。だってスオウは諦めたりしない。私の事、見捨てたりしないって信じてるし、わかってる。