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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「ついに……ですね」

「だね。全くスオウも会長もダメダメね。私の『力』なら、こんな戦い児戯になるっていうのに。まあなかなか頑張ってるんじゃない?」


 真剣に見てるオウラさんと違ってメカブの奴は尊大な態度だ。私達は孤児院の食堂で子供達と一緒に映像を壁に投影してさながら映画館の様にして見てる。勿論飲み物とお菓子もある。LROではいくら食べても脂肪にはなりえないから、沢山……と言いたいところなんだけど、この世界の子供達は影響を受けるからやっぱりそれなりに自制はしてる。


 メカブよりも子供達、特に男の子たちが目を輝かせながらこのバトルを見てるね。メカブも気になってるのは確かなんだけど、逐一文句言ってるよ。オウラさんは戦闘の事を自分の中で整理して、そして両者がどんな作戦でどんな思惑で動いてるかを子供達にかみ砕いてせつめいしてる。


 オウラさんはあれなの? この子達で戦闘組織でも作るつもりなの? 最近は望んでる子達には自衛のためって名目で訓練してたりするからね。マイオさんとう知り合いが出来たから、領軍とかを見る機会が増えたけどさ、彼らの訓練張りの事やってるよ? おかしいよね? 自衛とおりこしてない? 


 まあ戦闘の事で私がオウラさんに何を言えるんだってことで何も言わないけどね。その内、この孤児院が暑苦しくなったら、来なくなるかもしれない。


 はてさて、そんな事よりも今はテア・レス・テレスとそれに挑む連合軍のエリアバトルがクライマックスって事だ。まあ実際は本当の本当に最後に残った会長を名乗る日鞠とスオウがぶつかるんだと思ってたけど、この段階でぶつかるんだって私的には思ってる。


 けどここが分水嶺なのは確かだと思う。だってオウラさんも言ってるし。


「この戦いでスオウ君が勝利できないと、連合軍は一矢も報えずに終わるかもしれません」

「ええーどうしてー?」

「あのお兄ちゃん強いし、きっと大丈夫だよー」

「でも……お姉ちゃんも頑張ってほしいな……」


 子供達がオウラさんの言葉に思い思いの言葉を言ってる。今回の戦いでスオウの子供達からの株は上がってる。結構活躍してるからね。てか日鞠が意識してるからか、スオウが切り開く事が多い。そして今も……二人は真っ暗な洞窟のなか、逃げ場もない戦場にいる。


 そしてそこで楽しそう……すくなくとも私にはそう見える。日鞠が倒されることが必要だって私だってわかってる。そしてそれを為せるのはやっぱりスオウなんだろうなって思ってもいるんだよ。けど、全然違う誰かがそれをやってくれたりしないだろうかっていう淡い期待もあったんだ。


でも……運命はやっぱり二人をどうしても強く結びつけてる様にみえる。私は立ち上がって出口に向かう。


「セツリ?」

「すみません、ちょっとおトイレにいきます」


 そういって私は一人孤児院を抜け出す。今から通じ合うだろう二人を見るのがつらかったんだ。どうしてなんだろう……どうして……


「もっと早く出会ってれば違ったのかな?」

「ん? もっと早くなんだ?」

「げっ」


 何故か孤児院の前にマイオさんがいた。しかも私の呟きが聞こえてたようだ。そういえばオウラさんが呼んでるとか言ってたかも? 


「すみません、ちょっと風に当たりに出ただけなんで気にしないでください。もうバトルはクライマックスですよ。早く中に入った方がいいと思います」

「そうか」


 そういって私は扉の前を譲る。けど何故かマイオさんは中に入ろうとはしない。そしてこういった。


「そうだ、まだやるべき仕事があった。すまんがちょっと手伝ってくれないか? 既に護衛達も暇を与えてしまってな」


 何故に私が……とかおもったが、もどらなくてもいい理由にはなると思って、こくんと頭を縦にふった。


「よし、決まりだな」


 そうして私はマイオさんと共に歩き出す。

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