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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 既に雷の札はなく、土もない。あるのは風と水と氷と炎だ。どれも細々と使ってる。完全に残ってるのは風くらい。風はまあ一応と思って持ってきてたからね。何せ風は一番得意だ。唯一、札ブーストなく武装までもっていけるしな。

 だからわざわざ札を使うって場面はなかった。けど……今ここで僕はこの風の札を全部使う気だ。てか、今この場で使うしかない。会長は僕が使う風の強さを想定してるだろう。ならそれにすらきっと対応策を用意してるだろう。


 あいつは僕に倒される事を願ってるが、自ら負ける様な事はしない奴だ。案外負けず嫌いだし、大体勝利しか知らない奴だから、もしかしたら穴でも用意してるのかもしれないが、あいつが思うこのくらいでなら負けれるかな? とかいう基準がまず間違ってる。


 あいつは常人が超えられるハードルを知らないんだよ。自分が出来る事は誰でも出来ると思ってる奴だ。だからこそ、あいつは誰も見捨てないし、そんなあいつだから誰からも人気になれる。あいつは知らず知らずのうちにトップを走っちゃう奴だ。


 僕が隣にいてやる……なんて大層な宣言はそこまでの能力なんてないから言えないけど、皆が特別だというアイツを僕だけは……僕だけは。


 洞窟に入る前に風の札を全部発動した。その風の塊を四つ作って後方に配置した。更に出来る限りここで風を集めてその風の塊に限りなく風の力を溜める。何せこの後上手くいけば、風の力を得る事は難しくなる。だから今のうちに繋いでないといけない。


「このくらいでいいか? いや……もっと」


 そんな風にギリギリまで風の塊を成長させる。アイテムを使ったおかげで祝福のリソースはある。これも計算通りだ。いくつかの炎の札を取り出してコードを加える。これも大切な事だ。一枚を近くの岩に飛ばして、命令を風に乗せて発火させてみる。


「問題ないな」


 僕は暗い洞窟の穴を凝視する。この目は驚異的で、会長たちが足元を確保する為につけてるであろう明かりを捉える事ができた。頭おかしいな。まあ実際ここはゲームの中なわけで、視力なんて実は関係ないんだからおかしくはないのかもしれない。この目をカメラみたいに捉えればわかりやすいかも。


 一カメ・二カメとかあって一カメが普通に目から見る景色を映してて、二カメは三人称視点で自分を俯瞰してるカメラだとしよう。ようはゲームなんだからそのカメラが映してる映像を切り替えてると思えば、視力なんて関係ない筈なんだ。


 まあけどこの目、結構リアルでも見えすぎるんだけどね。けど流石にリアルではこの距離は見えないと思う。そもそも入り口からは会長たちが灯してる明かりとかは残滓もないし。


「行くか」


 準備はした。後は、運を天に任せよう。大丈夫、やれるさ。そう自分に言い聞かせて、風帝武装で地面を蹴って洞窟内部へと踏み入った。

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