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結論、ない! こんなのどうしようもないよ!! 物量と共に、反撃効果……プレイヤーに直接攻撃するのは自殺行為。プレイヤーとは最大頑張って相打ちまでなんだ。魔法とかの遠距離攻撃とかも反撃効果の対象だ。けど向こうの魔法攻撃は多分斬っても大丈夫だよな? 岩はこれまでと同じ。けど繰り返し来れなくなった分、勢いとかをデカさを増してる。油断はできない。
取り囲んで全ての方向からの一斉攻撃。正直、これは殆どどうしようもない。そもそもがこっちよりも向こうが数が多い。数の振りを結界と守りに専念する事で耐える方針だったわけだ。勿論耐えるだけじゃなく、一部の精鋭が遊撃部隊として動いてる。それは男色艦隊のおっさんの部隊とは別だ。もう一つのデカいチームが中心になってる部隊だ。
でもどこも押されてる。まだその部隊が残ってるのかもわからない。反撃効果に効果的な対策があるのなら、通信で全部隊に伝えられてる筈だ。助けが来るなんて甘い考えではいられない。
「うおおおおおお!! これならどうだああああ!!」
向かってくる敵に向かって、何人かが、連携を取って地面にスキルを放った。めくれ上がる地面。それを弾いて敵へと向かわせる。確かにあれなら反撃効果はきっとでない。けど……
「こんなものおおおおおおおお!!」
……やっぱりだけど、あの程度じゃ足止めにもならない。けどあんな感じしかないのも事実。次々と皆が真似して、少しでも勢いを減らそうと同じ事をしてる。
「僕も!」
僕はインベントリから土の魔法を封じた札を全て取り出す。だって出し惜しみなんかしてる場合じゃない。そして風を操ってここ一帯を包むよう竜巻を巻き起こした。
「おおおおおおおおおおおお! まだまだとまんねえええよ!!」
いや、何人かは吹っ飛んでる。けど確かに岩とか、ヤバそうな奴らは向かってきてる。でも本命は風じゃない。攻撃じゃないから、反撃効果も来なかったのは狙い通り。もっと強くすれば、全員を吹っ飛ばせた? それはあるかもだけど、力を溜めるのとか、わかる奴はわかる。
流石に警戒されてたら、上手くいかないだろう。この竜巻の本当の狙い……それは……さっき出し札だ。その札を僕たちが守ってる結界の周囲の地面に張り巡らす為の準備。風を操作して、上手く周囲に札を落とす事が出来た。
手を下にある札に触れるて力を流す。輝く札がその札に封じられた力を発言しようとするが、それを僕は書き換える。
「対象は僕たちのこの結界範囲――いっけえええええええええ」
倒す事も防ぐ事も出来ない……なら!! 次の瞬間、僕たちの地面が持ち上がる。本当は小さな石の粒を打ち出すだけの札のコードを土の祝福で改変した。一瞬にして僕たちは空に立ってた。いや、地面が持ち上がり、あたり一面が空になったからそう思える様になった。
「全部使う必要なかったかもな」
頭がくらくらする。頭と力を使いすぎた。めっちゃ高いし、やり過ぎた感があった。
「うわっ」
断続的な衝撃が続く。多分岩が当たったんだと思う。けどこれだけ高いと問題ない。この土を崩すのは流石に骨が折れるだろう。
「玉は?」
「ちゃんとある。凄いな君は」
「いえ……上手くいって良かったです」
逃げでしかない対策だけどね。けど時間は稼げる。とりあえずここは一時的にでも安全になった。なら次は……
「状況はどうなってますか?」
通信機に向かってそういうが、返ってくるのは返事になってない声ばかり。どこもかしこも一杯一杯なのがひしひしと伝わってくる。このままじゃ、本当にすべての玉を取られる。
「僕は行きます」
「そうだな。これなら他の所も救えるかもしれない。頼む!」
僕はその言葉に返事をせずに空へと飛び出した。確かにその選択肢もある。けど、それじゃあダメだ。絶対に会長は直ぐに対策をしてくる。あいつはそういう奴だ。なら……先に会長を潰すしかない。僕は地図を出した。地図には玉と、通信機を持ってる仲間の位置が加わってる。玉はいくつもなくなっるが、無い場所にも仲間の反応はある。取り返す為に動いてる奴らもいるんだろう。
こっちの玉も盗られて、向こうの玉は集中してる。だから、結構このエリアで人がいなくなってる場所がある。その中で会長がいる場所を予想する。普通なら、一番守りが固い場所にいると思うだろう。けど、僕はそうは思わない。僕はあいつの事を一番よく知ってる。だからこそ、確信がある。次の一手の為に動いてる筈。
なら、狙いはこっちの最大の要塞? けどその本隊の場所にはいなさそうな……もっと裏をかく様な気がする。
「なら……」
僕は一つの場所を目指して風になる。