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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 一体どれだけ斬ったか……一体どれだけ殺したか。どれだけHPがあったとしても確実にやってる筈だ。なのに目の前の少女は平然としてる。既に長かった髪は肩くらいまでに短くなり、指に嵌ってた指輪もない。服だって所々が破れてその肌が見えてた。


 だが、HPにはまだ余裕がある。半分も削られていない。寧ろ……


「はあはあはあ……くっ、重い?」


 こちらの動きがどんどんと悪くなってる気がする。向こうは碌に回避もせずに俺の剣を受けてた……なのにたおれない。だが原因と思ってた物を悉く潰しても意味はなかった。髪や指輪は勿論、それからは服についてたブローチやら、個もの系は意味深に光を発したりしてたから何かある……とおもったが、そうじゃなかったのか? 既に身に着けてる物はないぞ。それなのに会長はまだ立ってる。


 既に意味がわからない。


 ここまで三分もかかってないだろう。だが、じくじくとその現実が俺の心に生まれてる。


(すべてが遅かったんじゃないか?)


 という思い。蜘蛛の糸に絡めとられた獲物の様なイメージが自分の中に浮かぶ。こんなのは初めてだ。目の前にいるのに、全く勝てるビジョンが浮かばないなんて事はこれまでなかった。どんな強敵にでもこの剣と仲間たちと共に突破してきた。


 そこに奢りなんてものはない。周囲には大言壮語を吐いてるが、俺は元来臆病者だ。大言壮語は上に立つものとして、そうしてた方がいいかと思っての事だ。なにせトップが「そんなこと出来ない」「むりなんじゃないか?」とか言えるか? いえるか!! 


 それでも本当に無茶な事は上手くかわして来たはずだ。今回のこのバトルだって俺たちはいけると踏んでる。いや、いけると踏んでた。だが、どうやらテア・レス・テレスの力は俺たちの想定以上だったみたいだ。やはり……というか一チームだけでテア・レス・テレスを超えるのは既に不可能なのかもしれない。


 俺たちは今、複数チームのメリットをいかせてない。そのせいか? もしかしたら今、男色艦隊の精鋭が押されてるのはこちらの対策を練られてるからかもしれない。そんな感じがする。まあだが、それでも目の前の会長に関しては謎しかないが。


 だから俺は荒い息を吐きつつ、目の前の会長に言ってしまった。


「俺たちはどこで間違った?」


 ――と。すると会長は風になびく短くなった髪をくるくる指で遊びながらこういった。


「そうですね。最大の間違いは私の手を探ろうと隙を晒した所ですね。あの時に私はこれを出来ましたから」


 そういって会長はペンを回して俺の前に突き出して来る。どうやら本当にペンは剣よりも強かったらしい。

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