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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 目の前に敵の大将がいる。ならやる事は一つだ。俺の行動は早かった。なにせ体と脳が直結してるからな! 黒い刀身に黒い稲妻が現れる。奴は何重もの安全策を取って俺の前に現れたんだろう。それはわかる。だが、その全てを貫いてこの剣を届かせる。


「ふん!!」


 まっすぐに剣を振り下ろす。ただそれだけだ。特別な事なんてしない。だがその速さは特筆すべき物。これが会長に見えるとは思えない。なにせ奴の戦闘力はたかが知れてる……というのが見解だからだ。なにせ奴の武器? はペンだ。

 ペンは確かに剣よりも強いのかもしれない。だがそれは戦場以外の場所でだ!! 戦場に立てばどんな偉い奴だって剣を帯刀するだろう。それは戦場ではペンなんてなんの役にも立たないからだ。


 まあだが奴のペンは特別製で色々と不思議な機能があるのもわかってる。油断はしない。油断せずに叩き潰す。何の抵抗もなく剣は地面に達した。そして黒い稲妻がはじける。だが違和感。なんの抵抗もないなんておかしい。逃げられたか? いや、いる。稲妻の余波で見づらいが、会長の長いツインテールがみえる。


 戦闘型ではないとしても最大チームのトップだ。生き残る術というのは沢山用意してる筈。全ての防壁を貫いたと思ったが――


(いや、だがあの感触、まさか何も張ってなかった?)


 ――そんな疑惑が湧く。だがそれならそれでまだ生きてるなど完全に避けきられた事になる。そんなわけない。なぜなら、会長は振り下ろした後にはなった黒雷の範囲に完全に入ってる。あれを避けるなんて事が葬送できるわけない。それも攻撃範囲に入ってるのに……だ。


 素早く攻撃範囲から逃れるのなら、素早い奴なら出来るだろう。だが離れてはいない。そして防御の感触もなかった。なら完全に黒雷には当たってる筈。だがあれに当たればHPの減少は勿論、体だってただでは済まない。


(確かめる!)


 更に俺は距離を詰めて剣を振るった。今度は横なぎだ。範囲が広い横なぎなら当たるにせよ当たらないにせよ何かが見える。再び勢いよく剣は振るわれた。だがやはり感触がない。だが会長はそこにいる。彼女の服には多少の焦げ跡はある……だからこれが幻影とかそんな物じゃないとはわかる。


 だが……だからこそ、わからない。幻影でなく、そこにいる筈なのに、攻撃が当たらない。いや、服が焦げてるのを見るにあたってはいるのか? だが期待したほどのダメージはないし、彼女も余裕そうだ。


「何をした?」

「それを教えるとでも」

「それはそうだな!」


 スキルの光を宿し、俺は連撃を叩き込む。システム補助により、俺は六連撃のスキルを放つ。これは陽動だ。俺達クラスの猛者ともなると、スキルによる連撃は本当に絶対に決まる場面でないとつかわない。なぜならシステムの補助が入った動きは途中でキャンセルが出来ないからだ。


 熟練の戦士ならそのスキルの隙をしってる。攻略法なんてネットに出回ってるんだからな。まあだからって初心者がいきなり出来る程に簡単なものじゃないが……だがこのスキルによる連撃は大きな隙な筈。俺は自身のHPの高さに自慢がある。

 俺を一撃で死に至らしめる攻撃などそうそうない。だからこれは誘いだ。来い! 仕掛けて来やがれ。そしてその思惑は当たった。会長はペン構えた。あのペンで攻撃してくるのか? とか思ったが、違う。彼女は俺の連撃に合わせて動くようにしてペンを振るってる。


 何をやってるのかはわからない。それに確実に切られてもいるのに、大したダメージが通ってないし、やっぱり気にしてない。どういう事だ? 六連撃が終わっても結局何も分からなかった。そもそもがペンで戦場に出るとはなんだそれ? そう思ってると、何やらゾクッとした悪寒が背筋を這う感覚がした。俺は思わず後ろに跳んだ。


(なんだ? 何故跳んだ? 奴の武器はペンだけだぞ?)


 冷静に考えればペンに攻撃力なんてほぼないだろう。だが、こうしなければやられてた気がしたんだ。


「ありがとうございます」


 ふいにそういって頭を下げる会長。感謝されることなんかしない筈だが? 嫌な予感がする。


「貴方がとても思慮深い方で助かりました。こちらを攻める思い切りのよさ、スキルを使ってのこちらを誘う戦法、男色艦隊が強いのがよくわかります」


 いつの間にやら周囲でも戦闘が発生してた。テア・レス・テレスの四人が俺を除く十四人くらいを相手取ってた。こいつらは男色艦隊の中でも強い方だぞ。それをたった四人で相手取っててこちらを強いというか。流石にちょっとイラっと来るぞ。

 だが、会長から感じる底なしの恐ろしさというか何かが足を進める事をためらわせる。見た目はどこにでもいるお嬢さんなのに、纏う雰囲気がただ物じゃない。この時俺はようやく納得したよ。間違いなく、こいつこそがテア・レス・テレスのリーダーなんだと。

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