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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 土煙が晴れた時、僕と敵の数は一対八くらいまでにはなってた。どこから来るかわからない僕に対して後衛達は守りを固めたり、魔法でこの土煙を吹き飛ばそうとしようとしたが、風の扱いには僕は一日の長がある。ただ魔法という現象だけを再現してただけの奴らに祝福を使って風自体を操ってる僕がその制御で負けるわけない。


 魔法を発動させたとしても僕は周囲の風を操って土煙が晴れない様にしてた。まあこの土煙の中でも敵の姿がわかるのはどうやら僕だけじゃなかったみたいだが……本当なら後衛は全部倒しておきたかった。けどこれが限界でもあった。後衛でもやっぱり出来る奴は出来るみたいだしね。


 ローレやシルクちゃん後衛としてとても優秀だ。前衛とは別のベクトルだし、二人は後衛でも逆方向の特性だが、優秀でそういう奴が他にいてもおかしくはないとは思ってた。三人残った後衛の中で一人とても厄介な奴がいた。


 そいつはなんか、不思議と声が二重に聞こえる奴だった。そして同時に二つの魔法を詠唱して操ってた。なんだそれ? だが、そんな奴がいたっておかしくはないよな。だってここはLROは。どんな要素があるかなんて誰にもわからない。


 本当に誰にも分からないんだよ。運営側さえ把握してない事は多いからね。それにただ魔法を二重に発動させるだけなら、実際にはそこまで脅威でもない。それならリセット前のシルクちゃんのストック魔法の方が脅威だった。


 あれは事前準備が大変だが、準備さえ万全なら、一人で前衛と戦えるだけの魔法の在り方を変える戦い方が出来る代物だったからね。まあシルクちゃんは根っからの縁の下の力持ち気質だからそんな事はしてなかったみたいだが。


 あれに比べれば魔法を二重に詠唱されるくらい……なんだが、どうやらそいつはたちまわりが上手いみたいだ。動きながらでも複雑な詠唱を行えるだけの技術もあるし、こっちの動きに対応できる技術もあった。そいつが色々と後衛の残りの奴にも指示をだして上手く三人は残られた。


 前衛の奴らは既に猛者しか残ってないし、視界がなくてもこっちを捉える奴ばかりだったしね。けど希望は見えてきたと思ってる。


 僕は回復薬を煽りながら攻撃を避ける。その頭上に魔法陣が構成されて行ってる。どうやらあの優秀な後衛の奴は一人で合唱魔法を使えるみたいだ。まあ詠唱を同時に出来るのなら出来なくはないよね。


 魔法陣を中心に急激に温度が下がってる気がする。いきなり吐く息は白くなり、周囲がキラキラと小さな粒子で埋め尽くされてるような。妨害したいが、休まず繰り出される前衛達の波状攻撃だってあぶない。僕はそこまでHPが多い訳でもないし、今は風帝武装もない。

 下手に当たると終わりだ。向こうもこれ以上の犠牲は出したくないのか、猛攻激しい。今までは回復だけに専念してた後衛が魔法による攻撃も織り交ぜてきてるんだ。逆に厄介になったともいえる。けど……無限に回復されるよりは……マシ……僕は自分にそう言い聞かせて散っていた風帝武装つなぎ合わせてる。そしてインベントリからは一つの札を出す。


 コードを見てこれから来る合唱魔法がどんな属性かはわかってる。妨害が無理なら、ダメージを少なくして反撃に転じるチャンスを作る! 合唱魔法は大きく魔力を消費する筈だ。集中力だって普通の魔法よりも難しいから複数人で分けるんだ。


 それを一人でやるなんて負担はかなり大きい筈。なら、この魔法の後はきっとねらい目。僕は前衛達と紙一重の攻防をしながらその時を待ってた。

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