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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「くっそ」


 僕はそう呟く。やっぱり足りなかった。ブシさんには回復魔法が掛けられてる。あれだけじゃ流石に無理だと思ってたが……自分の渾身の行動が無駄になるのは……ね。やはり回復は問題だ。思ってたが、ここからはどうあってもこいつらを一撃のもとに倒せるわけない。オリジンをつかえば……とはおもうが、あれは危険すぎるからダメだ。


 使えるとしても最終日でないと……ローレがいないとオルガトに協力してもらえない。祝福で後衛の奴らの防衛を破る事はできない。それなら一気にデカい力で叩き潰すって案もあるが、こっちは一人に向こうは十五人だ。その隙が生まれない。


 いくら僕が誰よりも速いといってもそれに対応する術はある。だって前の時、システムの外側の奴らにだって僕は渡り合ったんだ。理不尽を乗り越える術はある訳で、今対峙してるのは強い奴らだ。彼等は彼等なりの強い部分を持ってる。

 それに何より、戦い方を知ってる奴らだ。斧の奴は大概がごり押ししかしてこないが、不思議な事にタイミングが合ってきてる。全然僕のスピードに最初はあってなかったのに、今や掠る様になってる。あいつはきっと自身の強靭な防御力と豊富なHPで体を無理矢理慣らしてるんだろう。


 いくら早くても見慣れてくるって事はある。あいつの斧の一撃は強力だ。僕の脆弱なHPじゃまともに食らえば一撃だろう。他の奴らもそうだ、徐々に追いつかれてる気がする。このままじゃじり貧だ。回復を任せられる後衛がいるから僕のアイテムの方が先に尽きるのは明らかだ。


(どうする? 何が出来る?)


 突破口がみえない。ここは結界で区切られてるから、仲間が来ることも無いだろう。そもそもが、援軍を寄越すかは微妙だ。これ幸いと、こっちは放置して別の事をしてる可能性の方が……


「こんのクソ!」


 向かってくるチャクラムを風帝武装で僕は無理矢理反らす。けど今ので風帝武装が乱れた。風の密度が薄く――そこに槍持ちの奴が槍投げみたいに槍を投げてくる。僕はそれをフラングランを使って跳ね返す。けどかなりの衝撃に、後方に体が押された。でもなんとか耐えた。とか思ってたら、ブシさんが跳ね返された槍の方へと走ってた。


 そして刀を鞘から素早く抜いて居合の要領で槍を更にこちらに跳ね返しやがった。しかもなんか槍のパワーが上がってる!?


 僕は周囲の風を集める。けど槍は集めた風まで巻き込んで威力を上げやがった。そういうスキルなのか? 分からないけどこれは不味い。付け焼刃の風ではダメだ。僕は風帝武装の衣を前に出す。風帝武装の風は僕が完全に掌握してる。槍の力になる事はない筈だ。


 この槍はかなりの威力を秘めてる。これをあの後衛の結界に当てる事ができれば……


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


 重い……それに勢いが激し過ぎる。でも……やるしかない! こんなのにあたったからそれで終わりだ。風帝武装が拡散していくのがわかる。それでも……僕はフラングランから風を絞り出して槍の軌道を変えた。

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