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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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「今日は……やけに多いな」


 行きつけの酒場に入るなり、彼はそういった。大きな鎌を背負った黒い鎧を着た青年だ。頭には縄を巻いて、顔には十字の傷がある。この雑多で暴力が支配してそうな酒場でも負ける事がなさそうな風貌な男は自分の仲間をこの中から探さないと畏敬のかと嫌気がさして頭をかく。


「たく……全員ミーハーかよ」

「そんなの私たちも一緒」

「うお!?」


 驚いて後ろを振りぬくと、そこには小柄な女の子がいた。戦端に宝石がはまった木の杖をもったジト目の少女。


「なんだ? お前も今来たのか?」

「違う、待ってた」


 そういって男の横から中に入ってトコトコと歩いてく少女。どうやら仲間の元に彼を案内してくれるようだ。小さいから直ぐに人込みに紛れそうになるから彼は慌ててその後に続く。


「よお」

「遅いわよ」

「まあいつものことですけどね」

「全くこのイベントに送れる気か? 勿体ない」

「間に合ったんだからいいじゃねーか」


 ドカッと彼は空いてる席に座る。そしてさっそくビールを注文する。既につまみとかはある。


「あと少しですね」


 そういうのは少年だ。武器は剣で軽装の装備。彼の目はキラキラしてる。


「賭けはどうなってるんだ?」

「こんな感じです」


 そういってインベントリを出してウインドウの一つを見せてくる少年。そこには今回のイベントの賭けの割合があった。それをみて顔をしかめる彼。


「どいつもこいつも安全パイばかりだな」

「だから大穴の倍率が良いんじゃないですか」

「そうそう、それに実際想像できる? あれが負ける所とか?」

「けど、今回は行けるだろ」


 彼は今回のイベントの参加者に思いをはせる。そして酒場のスクリーンの画面に目を向ける。皆がその画面をみてる。今日はこのLROの分水嶺。最大のチームとそれを追う合同チームのエリアバトルの日だ。王者が入れ替わるかもしれない日。


 LROをやってる者達は勿論、それ以外でとても大きい注目を集めてる。なんとネットゲームのただのバトルなのに、TVでも生ライブをやるらしい。CMとかはどうなるのか。それだけの大注目のイベントだ。勿論どっちが勝利するとかは大きな賭けの対象になってる。どっちが勝つか、それとも引き分けか……だいたいは絶対王者であるテア・レス・テレスが勝つにかけた人たちが少年の見せたデータでは多い。


 だけど誰もが心の中ではどんでん返しとかを願ってる。いや、そういう事じゃないのかもしれない。何が……どんな事が起こるのか……それをきたいしてるんだ。なにせこのLRO内で知らない物は居ない程の大規模チーム同士のバトル。それでワクワクしない奴なんかいない。


 そんな時、ずっと単調な映像だけが流れてたモニターの映像が変わり、騒がしい酒場にも響く音楽が響き渡る。


「いよいよだな!!」


 思わず立ち上がる彼。誰もがモニター見てる。それはこの場だけじゃない、どこもかしこもそんな状態だった。

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