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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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因縁の相手

 このままじゃアイツは終わらない。絶対にもう一度俺達の前に現れる。そんな気がずっとしてた。今まで向けていた矛先を俺達に変えてさ。機械仕掛けのあの槍の音が、少しずつ背後から聞こえて来てる。

 そしてそれは、勘違い何かじゃ無かった様だ。危機感は突然、俺の前に姿を現す。


 何だか後を付けられてる? 会議の時にレイアードの事が出たすぐ後にこれって、あからさまじゃないだろうか?

 城から出てブラブラと息抜きしてたらそんな足音に気付いたのがついさっき。どうやら足音は一つみたいだがこれってどうした方が良いんだろうか。

 実はもしかしたらグラウドの野郎か、それこそレイアードの誰かにでも見つけられるかも知れないと思って出た俺にとっては願っても無いチャンスな訳だし。

 だけど釘も刺された訳だよな。余計な事はするなってガイエンにさ。でもやっぱり不安なんだ。もしもガイエンがグラウド連中と繋がってたら? それは最悪な事だ。


 流石にここまでやってきた仲間だし、信じてはやりたいけど、あいつはどこか謎なんだよ。それが気に掛かる。自分の事話さないしなアイツ。

 それに明日からはまた侵略戦。ここで何もしなかったら何も出来ないかも知れない。もしもあの時……なんて後悔はしたくないんだ。

 アイリの為にも、出来る事は全部やる。アイリが誰も疑わないから、代わりに俺が疑う。それが例えどんなに近い奴でもだ。


 だからここは……俺はそう思って路地裏に進路を変える。大通りで何か出来るとは思えないからな。てか、ゲームであるLROで何をやるのかも問題だけど。

 リアルと違って今日殺しても何の意味も無いしな。それに町中なら幾ら何でも決闘位しかやりようがない。それじゃ後を付ける意味が無いってか襲えてない。

 ならただ動向を伺ってるだけ? それならこっちから捕まえるか。

 そう思って駆け足で取り合えず逃げるフリ。古典的だけど、どっかの角を曲がってそこで待ち伏せて捕まえる作戦だ。

 やっぱり足音は付いてくる。走る音が街頭も余り無い暗がりに響いてる。そして丁度良いタイミングを見計らって俺はその誰かに飛びついた。


「うおうりゃー!!」

「うああうあいあうあうあぁぁぁぁぁl!!」


 ズンガラドッスウンと攻防の果てに俺はマウントポジションを確保。勝ったな。これでレイアードの誰が、もしくはグラウド本人が後を付いてきてたのか分かる。

 一応だけど、レイアードの奴らの顔は覚えてるんだ。今現在は俺の知ってる奴らのままかは不明だが、多分幾ら活動したって新しい奴が入る事は無いと思う。

 だってグラウドの事は悪評が広まってるし、何より今はアイリが大人気だ。エルフは今、大きな一つの固まりに成ってる。レイアードから抜ける奴は居ても増えてる事なんか無い。


「さあ、何で俺の後を付けるのかじっくりと聞いてやる――の前に、顔を拝ませて貰うぞ」


 そう言って俺は顔面を押さえつけてた腕を外す。すると街頭の頼りない明かりに照らされてその顔が目に入ってきた。だけど――


「え? お前誰?」


 ――全然知らない奴だ! それに何だか小さい。どうみても小学生位の姿してる。言う成れば子供のエルフ。気付いたらこれ……虐めにしか見えなく無い? 

 もしもこの子供が女の子だったら犯罪物だ。幸い下に居るのは男だけどな。けど……マジで誰だこれ?


「ふん……俺を押し倒すなんて少しはやるようになってるじゃないか。いやもしかして加護とかのおかげなのか?」

「何が加護だ。そんなもんに頼る程の事じゃねぇ。何なんだよお前。やっぱり俺の知り合いか?」


 どうも知り合いらしい口調なんだよな。だけど流石に、こんな容姿の奴は見覚えがない。LROはキャラ作成の時に身長も自由に出来るけどさ……子供ってのはなかなかしないものなんだよな。

 だって戦闘に不利だし、どうしてもリーチとかの差が出る。TVゲームのRPGとかならそんなの関係なんて無いんだろうけど、LROはそうは行かないからな。

 同じ長さの武器なら、腕の長い方がより遠くに届く訳だし、その届かない分だけ子供の身長じゃどうしたって不利なんだ。


 まあだからって全然居ないわけじゃないが、エルフってこう……スラーと長い優雅で気品溢れる姿に憧れる訳でさ、これじゃちょっとな。

 エルフの意味がない様に思える。でも何だかこの子供、さっきから妙な圧迫感だけはスゴく感じるんだよな。それも何か感じた事のあるような感じのプレッシャー?


「ふん、なあアギト。お前は姿が変わると他人になれるタイプか? 違うよな? 俺もそうなんだ」


 何だこいつ? いきなり変な事言い出したぞ。それに俺の名前――って今や俺もそれなりに有名人か。会ったことが無い人が知っていてもおかしくない位には。

 それがエルフなら尚更だ。でもすっげー今の発言は危ない感じ何だよな。もう一度逃げた方が良いかも。だけどそんな俺の感情何て知る由も無く、この子供は無駄な圧力を掛けながら話を続ける。


「魂が……心でも良いが、それを許さない。強固な魂はどんな器にも侵されないんだ。だから俺はこういう風に生きていく事しか出来ないんだよ。

 でもいいんだ。俺はそんな自分を誇りに思ってるから。だからやってきた事を後悔なんてしない……そう後悔なんてな。まだ終わってないんだし」


 ブツブツブツブツ一人で呟くコイツは、ハッキリ言って不気味でイヤだ。だけど何だか、不思議とコイツの言葉はどこかに引っかかる。忘れようとしても忘れられない何かの、突き出た部分にカッカッてさ。

 そして俺はそこから何かが落ちてくるのが怖い様な気がしてる。


「何が終わってないんだ?」


 俺は思わずそう聞いた。だって気になるじゃん。そんな言葉。こんな危ない奴が呟く言葉なんて大抵物騒に聞こえるんだ。

 そしてそんな俺の言葉を受けて、仰向けになって倒れてる子供は突如俺に不気味で妖しい笑みを浮かべた。


「全て……さ。まだまだこれから……ふふふはーっはははは! なあアギト。どうなんだ? その力、愉快だろ?」


 その最後の言葉の時、俺はゾクッと背筋が凍ったような気がした。だって……何でどいつもこいつもそんな事を言うんだよ。

 ようやくアイリの優しい言葉と行動で気にしなくなってたのに、インパクトの強い奴のせいで掘り返された。それに俺には何だかその瞬間見えたんだ。

 この目の前の子供が、あの忌まわしい俺達三人の天敵だった奴にさ。それによく考えた口調が同じで……言い方も。最初に言っていた魂がどうとか器がどうとか、それってまさかってっ心当たりがある。



 LROは何も一人につき、一キャラクターしか作れないなんて制約は無いんだ。最大三人までのキャラクターを作る事が出来る。

 だけどその三体どれもで同じ域に達するのはとても難しい。幾らLROがレベル無しの完全スキル性と言ってもその手にしたスキルを三体で共有出来る訳じゃないし。


 一つのスキルを拾得するのも時間はかかるんだ。だから大抵はメインの一人を確定して、後はサブと呼ばれる形に成るのが大半。

 キャラ同士でなら物の受け渡しは可能だから、限られてる倉庫に使ったりさ、後は気分転換とかとも聞く。それにサブは奇抜なスタイルが多いともな。

 それは多分サブだから! ってのが強いんだろう。流石にそれを主体に……って躊躇う奴でもサブならありかって成るんだ。



 だからこの子供のエルフ……それもサブの奴で、メインは俺が知ってるって事が出てくるな。多分そうなんだろう。コイツは俺を知ってるし、何か恨みありそうだし……

いや、俺は既に当たりをつけてる。

 子供の容姿してたって、消えてないその感じ。それは最初から感じてた物だ。全然子供っぽくも演じないし、その口調も俺は知っている。

 まさかコイツ……そんな考えが膨れ上がると、言われてきた事が重く感じる。


「何が愉快だよ……俺はアンタとは違う……」

「! ようやく気付いたか。だがなアギト、俺達は同類だ。それが分かってたからこそ、俺はお前をレイアードに入れたんだ。

 無駄だぞアギト。幾ら取り繕ったってな。解放しろよ。狭い世界だけを見てるな。力が有る者にしかやれない事をやれ! そして更に求めればいい! 

 なあ、もっと欲しいだろ?」


 何だよコイツ。何でこんなに這い上がってくるんだ。俺の心を掴み取ろうとする? やっぱり間違いない。レイアードに入れたとか言ったし、もう確信だ。

 やっぱりコイツはアルテミナスにまだ居やがったんだ。


「言っただろグラウド……俺はお前とは違う! 何が同類だ!? 俺は自分の為だけに力を求めたりしないんだよ! お前の様に力に溺れたりも絶対にしない。この力はな……お前が思ってる様な物じゃないんだ!!」


 俺は肺の空気を全部使って殴る様に言ってやった。本当は実際に殴りたい所だけどな。だけどダメージ何て成らないから、せめて心を殴ってやろうって事だ。

でもどうやら全然効いて無いようだけど……本当に、相変わらずムカつく奴だ。

 空気をを求めながら、視線を投げたグラウドの野郎の薄ら笑い浮かべてるんだ。同類……ずっとその言葉が俺の心に引っかかってる。

 そんな訳無いと言い聞かせても、似てる所が有ったのかも知れないと心は告げる。それにガイエンの奴が言ったことも掘り返されてくるんだ。


「あの女と繋がりか何かか? そんな言葉で逃げてるなよアギト。お前はただあの女を利用してただけだろ? 力を手にする為にな。

 まあお前は俺と違って二番目を求めた様だが。だがそれじゃもう満足出来てないんじゃないか? 素直に成れよアギト。

 力が……もっと力が欲しいだろ。もっともっとその力を振るいたいだろ。俺には分かる……同類だからな」

「――っつ!?」


 俺はマウントポジションのままスキルを発動させた。ナイト・オブ・ウォーカーなら実はある権限を持ってるからな。だから取り出したその巨大な剣の切っ先をグラウドの顔面に突き立てる。

 コイツの言葉……これ以上聞いてたらダメな気がする。今分かったよ。コイツがわざわざこんな形で現れた訳。それはこの為か。


 グラウドの元のキャラは誰もがエルフなら知ってるし、それにこんな小学生みたいな格好の方が警戒されない。分かってても、この形で言われるとズカズカ心に入ってくる気がする。

 そして俺の心をかき乱すのが目的か? まあそれはこれから聞こう。コイツにそもそも容赦何かする必要無かったんだ。


「いい加減にしやがれ! 何でこんな事……いいや、何する気だお前? 答えやがれ。今更何で戻ってきた? 自分達が無力だって気付いてないのか?」

「ははは、言っただろ? 何も終わってなんかないとな。無力だと? それはどうかなアギト。俺は貴様が手にした物がどれだけつまらないか教えてやろうってだけだ。

 それだけの力もしょせんは借り物。だが利用しない手はないだろう? 与えられた物で喜ぶのは子供……自分で掴み取った物で喜ぶのが大人だアギト。

 大人の世界に来いよ。そしたらもっともっと楽しい事があるもんだぜ」


 コイツ……まさか俺を勧誘してるのか? それはふざけた事だ。誰に何と思われようとも俺は……俺の居場所はもう決まってる。

 側にいて守りたい奴はあの頃から、何一つ変わってなんかないんだ。


「腐った大人な奴等の世界に何か興味はねーよ! お前みたいに周りの迷惑も考えない様な奴にそもそも大人なんて名乗って欲しくなんかない。

 それにな……つまらないって何だよ。俺は今がこの上なく楽しい! 何も知らないお前が、俺の事を知った風に言ってんじゃねー! 

 この力のこともそうなんだよ! お前は何も知らない。この力は俺とアイリのもう一つの誓いの証だ!! これ以上の物なんて俺は求めたりしない! 絶対にな!」


 そうこの力は誓いだ。俺達二人の約束だ。あの日あの時あの場所で、俺達は誓いあった。だからこれ以上の物何て俺にはきっとない。そう思ってる心に間違いなんてない。


「お前はあの女に捕らわれすぎてるんだよ。もっと自由に生きろよアギト。もっと自由にその力を解放しろよ。そしたらもっと素直になれるはずだ。

 戦場ではそうしてるんだろ? その力で敵を倒すのが楽しいんだろ? 迷惑だってかけてるんだろ? やっぱり同じじゃないか!! 


 その力を誇示しろよ。悪い事なんかじゃない。だけどお前は気づくんだ。幾らこの力を誇示してもしょせんは借り物。そして越えられない壁の先にアイツがいるとな!」


「アイツだと?」

「ああ、あの女! アイリだよ! そしてカーテナだ!! お前はいずれ俺と同じように求めるさ。それかその前に崩れさるかだな。あの時の俺の様に。その時にお前がどういう行動を取るか楽しみだ!!」


 俺達三人がグラウドを倒した時と同じ様な事が起こる?

 俺がアイリとの誓いを破ってカーテナを求める? そんな事……あり得ない!! 全てはコイツの詭弁だろう。こうやって俺を不安にさせるのが目的とか。

 俺は倒れてるグラウドに向かって言ってやる。


「成らねえよ! そんな事には死んでもならねえ!!」

「……そうか? だがお前は全てを無くすさ。求めなければ、何もつなぎ止めて置く事なんて出来はしない。ただ後に付いて来ただけのお前にはもしかしたら全てが重いのかもしれんしな」

「何?」


 重い? 一体それはどういう事だ?


「お前のしてきた覚悟は、常にあの女一人の為の物だろう。だがあの女はどうだ? よく考えろよ。お前が見てるのは常にたった一人。

 だが今のお前を見てるのはあの女一人でも、ガイエンを入れての二人でもないって事だ。特にお前は最初の騎士様なんだからな」


 最初の騎士……それはナイト・オブ・ウォーカーを与えられた奴に漏れなくついてきた称号だ。まあアイリの騎士って事はそういう事で間違いはないけどな。

 加護でも最も多くの力が与えられてるぽいっし。でも俺がアイリしか見てない? そういえばそれもガイエンに言われた気がするな。

 責任感を養えとか……同じ様な事だろ。俺は最初の騎士だから、アイリ程じゃなくてもガイエンと同等位の注目はされてるか。


 そして俺の覚悟はいつもアイリだけ……それはそうかもしれない。ここにただ付いてきただけってのが当てはまるのか。

 アイリは当然に言ってたけど、ガイエンもそうなのか? いやきっとそうだな。アイツはよくやってるし、アルテミナスを背負ってるって覚悟がきっとある。

 じゃあ何で俺はここに居る? それを考えたとき、俺はアイリが居るからだと思う。付いてきただけか……確かに端から見ればそうかも知れない。

 でもアイリがそれを覚悟したときに、俺だって同じように覚悟したさ。そう多分な。だからこう言える。


「そんなの分かってる。俺達は三人で背負ってるんだから。誰が欠けたってきっとダメなんだ。でもな、三人だから出来てるんだよ。

 お前に出来なかった事がな!!」

「そうか……三人同じ方向を見てればいいがな」


 何だか意味深な言葉を言いやがった。コイツ何か知ってるのか? どんなに幼くなってもやっぱりコイツの顔はムカつくな。

 いっそ本当に振り下ろしてやろうか。このままにしておくとヤバそうだし……でもかといってこの世界に拘束の手段なんてない。

 一時的にならそれも可能だが、ずっとLROに閉じこめておくなんて無理。牢にぶち込んでもログアウトされたらそれまでだし、何よりもこの姿は本体じゃない。

 それなら問題何て無いんだろう。戦闘力低そうだしコイツ。完全な捨てゴマだろ。だからこそ接触してきたってのもあるんだろう。

 グラウドの癖に頭使ってやがる。 


「おまえ等……何する気だ?」


 するとグラウドはその幼い顔の口元半分だけをつり上げて笑みを作った。それは子供なのに本当に背筋が凍る様な微笑み。

 それを見ると確かにレイアードは終わって何か無いのかもと思える程だ。


「まあ今日はそんな忠告をしに来ただけだ。忘れるなよアギト。我らレイアードはまだ終わってなんかないとな」


 そう言ってグラウドは腕を振ってウインドウを表示させる。何をする気かは直ぐに分かった。だけど捕まえて置くこと何て出来ないんだし、俺は止めなかった。

 そしてグラウドはログアウトを押して消えていく。ムカつく奴が居なくなったら、急に夜の静けさが戻った様な気がした。



 

 結局アイツ等の動向は何も分からなかったな。ガイエンとの繋がりもだ。

 考え過ぎならそれでいいんだが……でも近々奴等は何かをするんだろう。それだけは伝わってきた。今日現れたのにも意味があるとするなら……それは何だ?

 グラウドの狙いは復讐なのか、それともやっぱり力か。でもどちらにしてもアイリは危ない。ある意味一番恨まれてそうだしな。


 だとするとやっぱり明日からの侵略戦の時が怪しい。アルテミナスに残らなければいけないアイリを狙ってレイアードが動く可能性は十分にある。

 俺もガイエンも前線だし……あれ? それならガイエンはやっぱり関係ない? いや、確証は何も無いか。どうする? 侵略戦に参加しない何て言える分けないし、今日グラウドと接触したなんて更にガイエンには言えない。


 行かない理由を問われれば心配だからじゃ通らないだろうし……一体どうすれば。

 信頼出来る奴に頼むしかないか。幸い、俺の部隊以外でそれに適任な奴の心当たりが一人いる。性格が少々問題だけど、今では一番のアイリの理解者かも知れない奴。


「よっと。そうと決まれば善は急げだな」


 俺は立ち上がり、剣をしまって城を目指そうとした。その時、足音が聞こえる? それも駆け足……誰だ? こんな場所に駆けてくるなんてさ。

 少し警戒しながら壁に張り付いて、そこから走って来る奴を見定める。あれは……


「アギト様~アギト様~どこですか~?」

「何だゼブラかよ。どうしたんだ?」


 『ゼブラ』って言っても別にシマウマでもしま模様な訳でもない。名前な。この俺の一応部下に当たる奴。俺の部隊じゃそこら辺は意識しないけど、だけどどいつもこいつも様付けやめないんだよな。

 こっちはこっぱずかしいって分かってるのか。装備は中の中位の普通の奴でエルフの気品とかは無いな。まさにモブキャラって感じ何だが、そこら辺が親しみある奴だ。

 で、何だっけ?


「いえいえ、別に何にも無いですけど、自分はアギト様の付き人ですから。会議の後にフラ~とどっか行くからずっと探してたんですよ」

「あ~ああ、そりゃ悪かったな。だけど別に常に一緒に居ること無いじゃん。お前だってやりたいことあるだろ?」


 う~ん、何で俺にこんなに付きまとうのか実際わからん。てか会議の後から探してたって……アイリと居る時に見つからなくてよかった。こいつもどっかズレてるからな。

 何で城で見つけられなくて、更に広い町中で見つけれるんだよ。絶対におかしいと思う。


「自分の目標はアギト様ですから! 日々勉強の為に付いていたいんです!!」


 うわ……何て暑苦しい奴だ。でも、何かそんな風に言われるとなんだかまんざらでもないよな。こいつは俺の事をどう思ってるのか……それを聞いてみたくなった。

「なあゼブラ。お前は俺がさあ……その……この力をどういう風に使ってる様に見える? 何かあんまり印象良くないんだよな」

 するとゼブラは興奮してこう言った。


「そんなの決まってます! アギト様はその力をみんなの為に使ってらっしゃいますよ! 誰が何と言おうと自分はそれを知っています!!」


 その真っ直ぐな言葉。そして真っ直ぐな瞳。俺の心に引っかかってた不安が少しだけ落ちていった気がする。


「そっか、はは……サンキューな」


 沢山の仲間が今はいる。それを感じると大丈夫……そう思える。だから行こう聖地を取り戻しに。

 第百五話です。

 予定通り上げる事が出来て良かったです。これからはこまめに保存しようと思いました。マジで泣きそうだったから! てかなかなか思うように進まない。結末は分かってる筈なのに、色々とそうなるまでが今回は大変です。

 でも頑張るので次回もお楽しみに!

 てな訳で次回は火曜日に上げます。ではまたです。

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