1049
「マイオさん何かないですか? 何か貴重な物品とか情報とか?」
「そんな事言っても、その人の事を何も知らないしな? 知らなければどんな物を喜ぶのかもわかりようがない。そもそも滅びかけた貧乏領地に期待しないでくれ」
「……それもそうですね」
マイオさんの領地は一度滅びかけて今復興中だもんね。流石にそんな貴重な物なんてないか。そもそも復興する為にあらかたの貴重品を売却してるまであるだろう。なら後は情報か……
「何かすんごい情報ないですか?」
「そんな情報がぽんぽんあるとでも?」
確かにごもっともだ。そんな情報はそうそうない。そうそうないから価値があるわけだ。
「ううーん」
何を餌にしたらローレさんを釣れるだろうか? 私の持ってる物なんて、彼女はいらないだろう。かといって彼女が持ってないものって何? 私はそんなに彼女の事をしらない。それこそスオウを通じてしか知らないのが現状だ。
あんまりかかわりもないし、彼女には私を助ける義理なんて一ミリもないよね。私は自分自身に何もない事を今改めて知った。私はまだ、なにも自分自身で築いてない。リアルならある程度、築けてきてる気はするんだけど……こっちじゃなにもない。こうなったら……
『お願いしますローレさん! 都合の良い事だとわかってます。けど貴方の力が必要なんです!』
私には誠心誠意訴えかけるしか出来ない。私はこのメッセージに続いてずっと『お願いします』と送り続けた。一体何度目かのお願いしますだっただろうか? ついに私は勝負にかった。
『分かったからその怖い事やめなさい』
なんか疲れた白い狼のスタンプと共にそんなメッセージがきた。怖いって何が? 私は一生懸命お願いしただけなのに……心外だね。
「来てくれるって」
「まあ……あんなことされたらな」
なんか横でマイオさんまでちょっと引いてる気がする。私のお願いのどこに引く要素があったのか。リアルでは男の子が私のお願いなら喜んで聞いてくれるよ? まあローレさんは女の子だけどさ。
私たちはしばらく待つことになる……とかおもってたが、ものの五分もしないうちに何やらこの真っ暗な空間がねじれる様な現象が起こった。皆の体も……いや自分の体も不自然に空間事ねじれて見える。けど見えるだけで別段痛みがある訳じゃない。何かが起こりだした……そうおもってると、ねじれのちゅうしん。
上方がねじれに耐えられなくなったのか、避けた。そこから光が零れてくる。神々しい光だ。光は私たちのいる場所に落ちる程薄くなってく。そしてその中にいた人物がようやく見えた。
「全く、面倒な所にいるわね」
「「…………」」
そういう彼女に私もマイオさんも見惚れてた。私よりも小さな少女に、息を飲むなんて初めて。てか、同性にそういう感情を持ったのが初めてかもしれない。だって私は自身の容姿が良い事自覚してる。確かにLROは美形が多いが、それでもこんな風になったことはなかった。
でも今、この瞬間私は確かにローレさんに見惚れてしまった。白い輝きの中から現れた彼女があまりにも神々しかったから。私は一層危機感を抱くよ。
(こんな子がスオウと同じチームなんだよね)