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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 とりあえず私はローレさんにメッセージを送ってみる。まあけど、もしも応えてくれたとして、この場にどうやって来るの? って感じではある。だってここは不思議空間だよ。もしもあの場まできてくれたとして、ここにこれるかというと……無理じゃない?


「外に出る事は出来ないんですか? 流石にここじゃ……来てくれてもどうしようもないような……」


 私の言葉に前領主の奥さんは首を横に振る。どうやら彼女が存在できる場所はここしかないみたいだ。すると前に浮き出てた文字がスッと消えて、新たな文字が浮かび上がる。便利だね。一枚の紙しか使わなくていいとはエコな人である。


『私が求めてるのは召喚者ではありません。あの時の精霊です。あれは……黄泉を司る存在ですよね?』


 なるほどと思った。前領主の奥さんが求めてるのは厳密にはローレさんではないみたいだ。正確言うにはあの騒動で彼女が新たに得た力……確か『オルガト』? って言ったっけ? その精霊らしい。確かに精霊ならここに……これるのかな?


「かえって来ない……」

「忙しい人なのか?」

「それはあるけど……ちゃんと既読にはなってるから……無視、されてるかも」


 私は気まずい気持ちでそういった。なんかマイオさんも気まずそうに「友人とかでは?」と聞いてくる。私は首をかしげる。私とローレさんは友人なのだろうか? 寧ろちょっとライバル意識あったから、私の態度が悪かったかもしれない。


(いや、だっていつか私たちのチームにスオウには入ってもらう予定だったのに横からかっさらって言ったんだよ!? 泥棒猫にいい感情を持てというのが無理じゃない? それになんか……さ。なんだかんだ文句言ってスオウはローレさんを認めてるんだよね。それにちょっとムッとしてたし……)


 色々と心の中で言い訳を展開してるが、このまま無視され続けるのも私のプライド的に癪に障る。とりあえずメッセージ爆撃を敢行してやった。すると――なんか妖精をデフォルメした様なキャラがプンプンしてるスタンプが張り付けられた。


 なにこれ? 自分は妖精って言いたいの? ほんと、あの人は何だって自信満々だね。羨ましくてむかつくよ。とりあえずめげずに私は事情を説明する。スカルロードドラゴンとの事はローレさんだって参加した当事者だ。無下にはしないだろう。とか思ってたら、なんか今度は黒い恰好の不気味なデフォルメキャラが布団に入ってZZZと寝入ってるスタンプを送ってきた。


 これは何? 私は関係ないから寝ます的な奴? そういえばスオウが言ってたっけ。ローレさんはかなりの女王様気質で他人に動かされるのとか大嫌いだとか。そんな彼女が素直に私のいう事なんか聞くわけない。


「どうだ?」

「ちょっと……芳しくないですね」


 私は素直にそういった。これはあれだね。私がいってもダメだと思う。ここはスオウに連絡してスオウ経由で動かしてもらった方が……


(いや、それはなんか……ヤだな)


 小っちゃいプライドだけど、それはなんか負けた気がする。スオウはきっと「自分が言っても動くとは限らないぞ」とか言うだろうけど、案外スオウの頼みはあの人軽く聞いてる印象がある。だから可能性としては一番高いだろう。でも……さ、それを想像すると胸がチクチクする。いや、そんな可愛い感情じゃないかもしれない。轟轟とかドロドロかも……


 これ以上あの二人を接近させたくない。私の醜い嫉妬だよこれは。それで奥さんの願いを踏みにじるのは最低かもね。でもまだ諦めた訳じゃない。私は自分に切れるカードを考えて交渉する事にするよ。それには勿論マイオさんも協力してもらう。なんか貴重な情報とかあれるかもだし、それであいつを釣れるかもしれないからね。

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