表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
1047/2701

1047

「どうしましょう?」

「そうだね……」


 私たちは困惑する。前領主の奥さんがきえてくれないからだ。何かを求めてるんだろうが……私たちには彼女の言葉は届かない。しょうがない、どうにかして意思疎通を計るしかないんだ。


「あの……うーん、そうだ! レシア知りませんか?」


 どうやらこっちの声は届いてるみたいなんだよね。だから気になってた事を聞いてみた。言葉は私たちには届かないが、受け答えくらいは出来る。私の質問に奥さんが顔を上げる。そして頭をこてんと傾ける。奥さんなかなかの年齢だけど、美人だからそういう仕草も様になるね。


 寧ろなんか色気がある気がするまである。私がやっても可愛いしかないのに……別に自慢じゃないよ。


「どうやらレシアの事はしらないみたいだな」

「レシアっていうのはさっきの戦闘で出てきた女の子のことなんですけど? そもそもなんでレシアが手て来たのかなって? だって本当は貴女が出てくるはずじゃないんですか?」


 私のその言葉に奥さんは頷いた。やっぱりそうなんだ。じゃあなんでレシアが出て来たんだろう? 


「何か心当たりはないですか?」


 すると奥さんは考える素振りを見せてすっと一歩後ろに下がった。どういうこと? その顔は何やらさっきまでの悲壮感漂った感じじゃない。弱かった瞳には一つの強い意志が宿ったみたいな……


「何か、知ってるんですね?」


 マイオさんが何かを察してそういうよ。それに奥さんは頷く。けどそれ以上伝える術はない。でもそこでマイオさんが意外な事をいう。


「でも伝える術はあるんですよね?」


 それにも奥さんは頷く。本当に? じゃあ、レシアの事何か知れるかも? 一体それはどうやれば? 私が言葉にするよりも早くマイオさんはその質問を投げかけてた。奥さんは必死に口を動かしてる。けど……やっぱり私たちには届かない。


「マイオさん、読唇術のスキルとか持ってないんですか?」

「そういうのはちょっと……全部リセットされたしね」

「そう……でしたね」


 私のせいだからちょっと言葉が濁る。でもそれ以上の事をマイオさんは言わなかった。私の事、少しでも知ってたらわかるだろうに……そう言うことで責めたりマイオさんはしない。でも読唇術なんか私も出来ないし……詰んでるよ。どうしたら……


「普通に紙を渡すとかはどうでしょう?」


 私はインベントリから紙とペンを取り出して差し出してみた。けどやっぱり幽霊だからか、持ったり握ったり出来ないみたい。


「いや、待て」


 マイオさんが何かに気づいた。私は何もわからないが、マイオさんは私が差し出した紙と奥さんを交互にみてる。


「すみません、この紙の上で手を動かしてみてください」


 その言葉に応える様に奥さんは紙の上で手を動かす。すると僅かに紙が靡いた。


「やっぱり、どうやら干渉出来てるみたいだ。それなら……もっと強く念じてみてください。この紙にイメージをたたきつける感じで」


 頷いた奥さんは紙に手をかざして目を閉じる。すると集中してるのがわかった。なぜなら手がやけにハッキリと見えだしたからだ。なんか存在が曖昧だったが、手だけがとても強く感じられる。そしてその手を退けるとなんと文字が紙に浮かんでた。なんか不揃いだし、文字が赤くにじんでたりとちょっと不気味だけど、読めない程じゃない。

 なになに?


『あの人を送った存在をここに。私の要望を叶えてくださいますのなら、全てをお話ししましょう』


 そう書いてあった。私とマイオさんは顔を見合わせる。


「あの人……というのは前領主か。送った存在というのに心当たりは?」

「あります……けど、あの人が私の要望を聞いてくれるか……」

「やってみるしかないだろう」

「そうです……ね」


 気は進まないけど、やるしかない。だってレシアの為だ。私には私の為に生み出されたあの子達を幸せにしてあげる責任がある。このままなんて許せない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ