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「ああ、セツリ君!」
向こうから歩いてくるマイオさんが私に気づいて手を振ってくれる。二人で荷物を分け合って持っちゃって、身長も二人は丁度いいくらいの高身長でなんか様になってるよね。オウラさんは肌が青いといっても、LROでなら美女である。
そして当然マイオさんも美男子だ。様になる……マイオさんの隣に私がたっても妹くらいにしか見られそうにないが、オウラさんはとてもお似合いだなっ思う。そんな思いが沸き上がる度に靄っとするんだけどね。
(いやいや、別に私はマイオさんをそういうふうに見てるわけじゃないもん。ただそう! 私が一番仲良しだと思ってた友達が、実は他の子とも仲良かったみたいな……そんな感情だからこれ)
とかなんとか自分に言い聞かせる。とりあえず呼びかけられたし、返しとくか。自然にね。内心を悟られない様に……
「二人一緒だったんですね。オウラさんには私から頼もうと思ってんだけど……」
「ああ、その話は私からしたよ」
そのマイオさんの返答に更に私の心がむむむ――となった。そっかそっか、私だけじゃ頼りないですもんね。わかってます。私って弱いですし。前の戦闘でもマイオさんの足手まといでしたしね――とか口をついて出てきそうになるのをグッと堪える。
そんな子供っぽいこと……そもそもそんなのくちにしたらなんか焼きもち焼いてるみたいだし。私だってオウラさんを誘おうと思ってたわけだしね。
そうだ、これはきっと先を越された事への苛立ちに違いない。うんうん。
「どうしましたかセツリ?」
私が一人でうんうん頷いてたからか、オウラさんに心配されてしまった。普通の女性よりもかなり背が高い……というか、一部の男性よりも背が高いオウラさんを私は見上げるよ。
「ううん、なんでも。それで、オウラさんは協力してくれるの?」
実は前に一応言ってはいたんだよね。その時になったら協力してくれないかな? ってね。そして今がその時だ。前に行ったときは都合が合えば……といわれた。それはそうだよね。だっていつかなんて分からなかったし、そもそも今日も突然だ。
大丈夫だろうか?
「そうですね。お力になれるのなら、協力しましょう」
「よかった。とても助かるよ」
珍しくちょっとはしゃいだ様な声をだすマイオさん。私には落ち着いて対応してる気がするんだけど、そんなにオウラさんは頼りになりますか……まあそうですね。私よりは頼りになりますよね。なんだろう……自分がちょっとコントロールできないかもしれない。
「大丈夫ですかセツリ? 何やら気分が悪そうですが?」
「そうなのかい?」
オウラさんは良く気付くね。まあ気分じゃなく、機嫌なんだけど……マイオさんはダメだね。女の子の雰囲気には敏感じゃないと、女の子は繊細なんだぞ。まあそんな面倒な事は言わないけどね。
「全然、大丈夫ですよ。オウラさんも来てくれるなら百人力ですね」
「ならいいんだが、とりあえず準備が必要ですね」
オウラさんはそういって何やらブツブツと言ってる。こうなるとオウラさんは私たちの声に反応しない。きっと戦闘でのあらゆる事をシュミレーションしてるんだろう。前に聞いたちら、そんな事を言ってた。オウラさん曰く。
「戦闘で一番大切なのは準備です。そしていくら準備しても足りない物なのです。だから怠る訳にはいきません」
ということだった。私にはよくわからないが、頼りになるのは確かだ。そう思ってると、メッセージが届く。多分私がさっき出した要請への返信だろう。どのくらいが、応えてくれるだろうか? 期待を込めて私はウインドウを開いた。