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命改変プログラム  作者: 上松
第二章 世界に愛された娘
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 大量のアンデット達が空へと昇っていく。その光景は暗くなってた空に昇る星たちの様で美しい。まあ元があのキモイアンデット達だと知らなければ更に心躍る光景だったんだけどね。残念だ。


「こいつで、最後だな」


 そういって地面で蠢いてるアンデットに瓶に僅かに残った回復薬をマイオさんがたらす。たった一滴の回復薬は染みわたる様にアンデットの体に広がっていき、そして最後の一体をも天へと返した。


 ギリギリだった。なにせマイオさんが用意してた回復薬はあれで最後だったのだ。かなりの数があったにも関わらず、もう私もマイオさんもスッカラカンとは、どれだけ大変な戦闘だったか、計れようという物だろう。


「お疲れ様」

「いえいえ、そちらこそ」


 私たちは互いに苦労を労い合う。私はかなりボロボロだ。でも流石に激戦だったこともあり、マイオさんも目に見えてボロボロにはなってた。流石にあれだけの数を相手にするには広範囲に対応できる魔法使いがいないとね。対策をして来てたからどうにかなったが、普通ならあの数に押しつぶされていただろう。


「あれ? 何か落ちてきますよ」


 ふと空を見ると、昇りきった魂の後から何かが今度は落ちてきてた。それはか弱い光を放ってるから、この暗くなった今ならよくわかる。


 丁度私たちの頭上に降り注いで来ようとしてるそれを私は手を伸ばして受け止める。


「なんでしょうこれ?」


 掌でその光は一つの形をなしていく。それは白い栞みたいなものだった。けど栞なのかは不明だ。でも詩とかを昔の人が書いてるようなものにしては小さいし……やっぱり栞が一番近いと思う。白くて細長くて……


「あっそっか」


 私はこのアイテムの情報を表示させてみる。そういう機能がちゃんとLROにはある。


『魂の酌量』


 そう名付けられたアイテムで、詳細は全て???だった。


「なにこれ? 不親切にもほどがある」

「魂の酌量か……なにやら重要アイテムのようだな」


 そういって何やら考え込むマイオさん。あのアンデット達がスカルロードドラゴンの影響で現れてた奴らなら、このアイテムもスカルロードドラゴンに関係してるんだろうか? それとも無関係? わからない。


「それ、預かってもいいかな? 調べたい事がある」

「ええと……それはもちろん」


 元々私はお手伝いだ。依頼主はマイオさんな訳だから、重要な物は元々彼の物だろう。それに私はこれに興味ないし。これが凄い武器とかなら、手放したくなかったかもしれない。けど、別に……ね。こんな白くて四角いの、別にいらない。なのでさっさとマイオさんにあげた。


「ありがとう。今日はとても助かったよ」

「いえいえ、領主様も大変ですね」

「はは、そうだね。色々と大変だよ。けど、これまでのLROとの楽しみ方とは違って楽しいけどね」


 そういって笑うマイオさんは確かに充実してそうな顔してる。私はどうだろうか? とちょっと思った。私は確かに今、幸せな筈だ。けど、満足は出来てない気がする。もっともっと、私は満足したい。リアルもゲームも。欲張りなのかもしれないけど、私はずっと病室から出る事は出来なかったんた。ちょっとくらいわがままに生きたっていいじゃない。


 今日は大変だったけど楽しかった。もっともっとLROでも冒険をしようと思った。

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