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命改変プログラム  作者: 上松
第一章 眠り姫
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暗黒の騎士

 私の前に現れた二人の味方。そんな彼らは私が一番欲しかった事実を与えてくれました。それは彼がちゃんとここに居るという事です。もしかしたら……何て気持ちが無かった訳じゃないんです。

 だけど伝わったその事実が私の中に灯ります。そしてこの人達と行かなくちゃ、そう思いました。けれど立ちふさがる親衛隊は予想以上の切り札を持っていました。


「貴方たちは?」


 そんな私の言葉に小さなモブリが応えてくれる。小さい筈なのに、その背中に異様な力強さを持ったモブリ。彼ははっきりとこう言いました。


「救援ですよお姫様!」


 そして後から落ちてきたエルフの人も言ってくれます。


「そうっすよアイリ様。俺達が運んで見せます! アギト様の所まで! 行きましょう!」


 情けない登場だった割には力強く彼は言いました。そしてアギトって言葉が出たとき……こみ上げて来る物が押さえきれない。

 涙が涙を押し退けるように大渋滞です。ううん押し退けてたら大事故だね。だけど……止まらないよ。


「ええっと……何か不味いこと言ったっすかね? 大丈夫っすよ。俺達は味方っす!」


 震えながら涙を流す私にノウイと呼ばれたエルフは狼狽えてます。だけど当然ですね。私はいきなり泣いちゃう変な子です。

 でも、今だけは許してほしい。だってずっと不安だったから。信じてたけど、それを確認する事なんて出来なくて、来てくれてるのか実はずっと知りたかった。


 そしてそれは彼の何気ない一言で確信に変わりました。私を助けてくれたこの人達に嘘を付く理由なんてない。それにこの小さなモブリ・・テッケンさんと呼ばれたこの人を私は一度見てます。

 この人、アギトが今やってるアンフィリティクエストのパーティーの一人の中にその姿を。だから間違いない。彼はアギトはちゃんと来てくれてる。

 それが私の胸を一杯にしてしまってます。そしてそれならアギトは今まさにガイエンと……


「あの! それは……大丈夫……わかってます。アギトは……今戦ってるんですか?」


 涙を浮かべて迫った私にノウイは安心するどころか更にたじろいだ感じです。うう、本当にごめんなさい。いちいち様子が変わって変な女と思われてそう。

 だけどこれは大事な問題。だってアギトがまたここに来たのなら、あの二人がぶつからないわけがない。だって私をこうしてるのはガイエンなんだから。


「はい。ガイエン様……いいやガイエンと戦ってるっす。勿論貴女を取り戻す為に」


 やっぱり、絶対にそうなってると思ってた。このカーテナの闇が

強くなったのも、ガイエンがアギトと相対してるから。私はやっぱり……ここで待ってるだけな訳にはいきません。


「私……行かなくちゃ! だからお願い……私を二人の元まで連れてって……お願い……」


 陰が深く私を浸食してる。さっきの一撃で体力と気力の両方を沢山消費してしちゃったみたいです。剣を持ち上げることはもう出来なくて……立ってることも……もう限界。

 膝が折れて、私はノウイの方へ崩れていきます。そしてそんな私を、彼はとっさに支えてくれました。そこはアギトとは違う胸の中。


「だ……大丈夫っすかアイリ様?」

「だい……じょうぶ。ごめんなさい……こんな情けない私のせいで……みんなに迷惑掛けて」


 本当に、もうどうしようもないな私。肝心な時に役に立てなくて、ずっとまともな事なんて出来なくて……言いなりで、人形で、アルテミナスのみんなを実は騙してたんだ。

 こんな私がエルフの国の代表に成ってご免なさいだよ。本当に。


「そんなこと……そんなこと無いっす! 迷惑なんて、幾らでも掛けていいんすよ。だって俺達の国があるのは、アイリ様のおかげなんすから。

 誰もその事を忘れる奴なんて、エルフの中じゃ居ないっす! 親衛隊の様な奴らばっかじゃないっす。自分のやってきた事にもっと誇りを持って良いんすよ!

 俺達エルフは、アイリ様に感謝しきれない思いを抱えてるっす。それを少しでも返せるのなら、一杯迷惑掛けて欲しいっすよ」


 頭上から掛かるノウイの言葉は直接私の脳に響く様でした。心が本当はどこに有るかとか分からないけど、この時はきっと頭と合体してた筈です。

 だって、スゴくその言葉が染みてきたから。上を向くと変な顔でノウイはハニカんで笑ってました。豆粒の様な目を線にして、眉は情けなく垂れ下がり、ちょっと申し訳なさそうに。

 そんな顔なのに……ううんそんな顔だからかな? 何だかとっても安心出来ます。この頬を伝う涙が、今はもう一つの事で流れてる訳じゃなくなってた。


 自分がやってきたことが間違いじゃないと言われて、そしてそれが沢山の人に安心を与えてたと言われた。もっと誇りを……本当に持って良いのかはまだ分からない。

 だけど……救われた様な気持ちに成るよ。そしてこの騒動を終わらせれば、また少しは自分に自信が持てるかも知れない。

 そう思える。


「ありがとう……」


 そう伝えるのが精一杯。口に出したいことはいっぱいあったけど出てこないよ。私がこの国とみんなを思ったように、今はみんなが同じようにこの国と私を思ってくれてる。

 そんな光に溢れるアルテミナスを、やっぱり潰させるなんて許せない。それに気付きました。幾ら窮屈に成っても、大切な思い出が沢山あるこの国が……私は大好きです。

 キュッとその胸に体を預けてみると意外と力強い。そして思います。この国のエルフ達はきっとみんなこういう風なんだって。


 何かを支える物をみんなが持ってる筈です。だから少しの間、私は任せてもいいのかも知れない。だってもうあの頃とは違うんです。

 みんながこの国を大切に思ってる筈だから。沢山の人が今この瞬間も戦ってくれてる。任せられる背中が一杯に増えてます。

 だから少しの間……ね。


「アイリ様?」

「えへへ……みんな大好きだよ。だから私の事……ちょっとお願いしていいかな?」


 私のそんなおかしな事をノウイは真剣に聞いて頷いてくれます。


「はい……光栄っす。必ず、アギト様の所まで送り届けるっす! だから安心しててくださいっす」

「ああ任せてくれ。男として、僕は約束は違わない。君は君のやるべき時の為に少し休んどくといい。かなり辛そうだ」

「そうします」


 一気に安心感が体を包む。するともう全く力が入らないよ。でも不思議と抵抗してる訳じゃないのに影の浸食は起こらない。

 心にまた一つ光が灯ったお陰かな。私たちの光は、ただ見えなくなってるだけなのかも知れない。本当は前と変わらない光がそこにあって輝いてるのかも。

 そしてその光は、今もきっとアルテミナスを照らす光に成り得る気がする。


「くっくはははははははは! 今更その女に何が出来る!? 何を見いだせる!? お前達も自分達の上に立つ奴は選ぶべきだぞ!!」


 その時聞こえたのは私が吹き飛ばした筈の親衛隊の声。下品な笑い方に失礼な事をズバズバ言う奴です。折角の安心感が台無し。

 だけどノウイとテッケンさんは打ち合わせてた様に、その返事はせずに動き出します。


「行きたまえノウイ君!!」

「はいっす! ミラージュコロイド!」


 テッケンさんは前へ、ノウイ君と私の周りには何か透明な物が展開しだしてます。そしてその何かは斜め上の方向へ向かって重なる様に広がって……その方向が多分タゼホ何でしょう。

 ノウイはしっかりと私を抱いて、その何かへ向かった……その時です。ミラージュコロイドなるスキルと思われる物の間に何かが隔たりました。

 そしてその何かはこの遺跡を包むように展開してます。


「しまっ……くそ!」


 そういってミラージュコロイドを動かすノウイ君。だけどその何かの外にある物体はそこを通過する事が出来ません。あれは結界? 

 どうやら私を逃がさない為にそういう仕掛けをしてたみたいです。


「結界装置とは手の込んだことを……彼女の為じゃないな。今のあの子はこんな事しなくても良いはずだからね。何が目的なんだい君達は」

「ふん……」


 テッケンさんの言葉を端から聞いていた私たちはびっくりです。私用に用意されてた訳じゃない? 確かに自分で認めるのも何だけど、今の私にはこんな事までする必要なんてないかも知れない。

 じゃあ一体どうして……これじゃあまるで最初から私を助けに来た誰かが目的でも有ったようです。


「俺の目的は貴様だ! 目が点野郎!! 良かったぜー、お前が落ちてきた時は天使にでも見えた位だ。まあお前ならここに来るだろうと思ってわざわざそんな女の監視役に志願したんだからな」


 そう言って親衛隊の一人がノウイ君に指を指してます。何だか話を聞く限りかなりノウイ君に執着してる様な感じ。一体何をしたんでしょうか?


「なっ、俺がアイリ様を助けに来ると思ったからこんな物仕掛けて置いたって事っすか? 何でそんなこと……タゼホに居ればイヤでも会えたっすよ。

 随分な賭に出るんすね」

「何で、だと!? 何でと言うかお前が!! くっくくくく、まあ敗者の顔なんて覚えてないか。まあ良いさ。そう俺は賭をした。そして俺はその賭に勝った。タゼホは混戦になるだろうと思ってな。俺はお前をタイマンで倒したいんだよ。誰の邪魔もさせねえ。

 そして今度こそ忘れられないようにしてやるよ。『逃げ虫ノウイ君』よ」


 『逃げ虫ノウイ』? それって何だか聞いたこと有る気がします。確かいつかの日にセラちゃんがそんな事を言ってた様な……


「アンタ……そうか思い出したっす。アルテミナスでクーデターを起こしたときにセツリさんを襲ってきた奴っすね? 

 別に何と俺の事を言おうと勝手っすけど、負け犬の遠吠えは見苦しいっすよ」

「――っつ!! きっさま!!」


 ノウイ君の言葉に逆上した奴はこっちに真っ直ぐに向かってきます。だけどそこで立ちふさがるのはテッケンさんです。彼は前に出てたから……だけどそこに横から影が入ってきます。


「そうか! そう言えば二人居たんだったね」

「アンタの事は気になる。テッケンって……まさかあのテッケンか?」

「それは自分の目で確かめてみる事をお勧めしよう!!」


 寡黙だったはずのもう一人の親衛隊。だけど彼が異様に饒舌にテッケンさんと邂逅してます。そして一足先にその二人がぶつかり合い、その隙間を抜いて奴はこちらに迫ってきます。


「すまないノウイ君! 少しの間持ちこたえてくれ!!」

「マジで少しの間っすからね!」


 ノウイ君は私を抱えて残った透明な板数枚を展開させます。この結界の内側にある分だけ。そしてその間に迫った親衛隊の饒舌な方がスキルを宿した剣を突き立てて突っ込んでくる。

 私にはノウイ君がどうするのか分からない。私を抱えたままで戦えるのでしょうか? でも腰の剣を抜こうともしないし……テッケンさんがもう一人を倒す間、彼はどうしようと言うのだろう。


「またそのスキルか!? 同じ様な事が二度も通用すると思うなよ!!」

「そんなこと……俺が思う訳ねえっすよ」


 そう言ってノウイ君はトッサに横に飛ぶ。その瞬間、私の視界の遠くにさっきの親衛隊がいました。


「え? 一体……何が?」

「すみませんアイリ様。少しの間視界が次々に変わって酔うかもっす。でも俺にはこれしか出来ないっすから勘弁してください!

 必ず傷一つ付けずにアギト様の所まで届けるっすから」


 ノウイ君はそう言って私から視線を前へ移動させました。すると間髪入れずに奴は駆けて来てます。向こうもかなり速い、多分何かのアイテムでスピードをアップさせてるんでしょう。

 だけどノウイ君のこのスキルはスピード云々の次元じゃない。親衛隊が追いついたと思ったときには、またこの結界の一番端に居るんだもん。

 決して追いつかれる事の無い、決して本体に届かない、鏡を追いかける様なスキル。それがミラージュコロイド?

 でも思うけど、これなら相手の後ろを取ることも簡単だし、不意を付くことだってたやすく出来そうなのに、何でノウイ君はそれをしないんだろう。


 やっぱり私を抱えてるから? でもテッケンさんに任せるって言ってた。あの人が倒す役目って事なのかな? まあこれなら捕まる事なんて無いと思うけど、絶対に追いつけないと分かったらテッケンさんが危なくなる気がする。


「このままで……大丈夫なのかな?」

「大丈夫っすよ。テッケンさんはああ見えて強いっすよ。それに俺にはこれしか出来ないっす。アイリ様を守るために逃げ続ける……それが俺の役目っす」


 これしか? 逃げることしか出来ないってどういう事でしょうか? これだけのスキルを所持してる人が戦って来なかったわけは無いはずなのに・・それでもこれだけって。


「私が居るから……」


 そう思うしかないよ。するとそんな私の呟きを聞いたノウイ君は慌てて言葉を重ねます。


「ち、違うっすよ。アイリ様のせいな訳じゃないっす。ただこれは……俺の弱さのせいっすよ。リアルでもここでも逃げ続けてた時に、不意にどっかから降ってきた力がこれっす。

 まあ力って言っても、これを発動中は攻撃力が極端に下がるんっすけどね。逃げ続けた俺に、逃げるための力が与えられたっす。

 なら俺は、誰にも追いつかれない場所まで逃げちゃるって決めたんすよ。だから俺は戦ってるっす。『逃げ』こそが、逃げきる事こそが俺の戦いっす!!」


 その時、横からいつの間にか迫ってた親衛隊の剣線が見えました。だけどノウイはそれを見ることもせずにかわします。

 気付くと再び、奴の背中が遠くに見えます。それに微妙に位置が変わってる? 私たちはきっとスキルで出したあの板? じゃなくミラージュだから鏡? を移動してる。

 基本それは見えないけど、何度も同じ場所に出てたら親衛隊にも鏡の位置がバレちゃうかも知れません。


 そして実際、親衛隊の彼は次第に追いつくのが速くなってる。さっきの一撃なんて、ノウイ君が逃げの達人じゃなかったら危なかったよ。

 逃げ続けてるって言ったノウイ君は、逃げ続けるって事は……辛くないのかな? だけど私のせいじゃなく、自分が決めたこととノウイ君は笑ってた。

 それは私が思う『逃げ』って事とは違うのかも知れません。




 赤い筋が蠢く結界の中、黒くくすんだクリスタルに私たちの姿が映り込むんでは消えていきます。相変わらずノウイ君は逃げ続けてるけど、私が危惧した様には成りません。

 それは相手がかなりノウイ君に執着してるのも有るけど、やっぱり交わすのが上手い事がその要因でしょう。本当に紙一重、届きそうで届かない……だから親衛隊の彼も諦め切れないんでしょう。

 そして横目でテッケンさんを流し見ると、それなりに優勢みたいです。HP表示を見るとそれがよく分かります。このまま上手く行けば良いんですけど……


「はは……はっはははははははは!!」


 そう思った時、背中越しに私たちを追っている奴が笑い出しました。それは何だかイヤな予感を私に届けます。だってさっきまであんなに必死になって追ってきてたのに……一体今の状況のどこに笑える所が有るのかも分かりません。


「壊れたっすか?」

「ふん、流石に速さではかなわんか。相変わらずムカつくスキルだな」

「アンタにそう思わせられたら光栄っすよ俺は」


 諦めたのかな? 何だか今回は追ってこないし……でもやっぱり胸の奥の方ではムズムズとした感じがある。何かが引っかかってる様な。

 そして奴はこちらに向きなおり自身の剣を納めます。まさか本当に諦めたのかな? この不安は杞憂? でもそこで奴は口元をつり上げて不気味に笑います。


「ああ、だからお遊びは終わりにしよう。思い上がるなよ貴様。モブリ一人で俺達を倒す? やれる物ならやってみろ!」


 その瞬間、親衛隊の足下から私を包もうとしてるのと同じ様な黒い影が延びてきました。そしてそれは彼らを包み込んで球体の様に成りました。


「何だ? 一体これはどう言うことだい?」

「わかんないっす。けど……なんかやばい感じがピリピリしてるっすよ。そう言うの敏感なんで俺」


 確かにノウイ君が言うように空気が一段と重くなった気がします。結界さえなければこの間に逃げれるのにそれも出来ないから下手に動けません。

 そしてほんの数秒でその影が弾けました。だけど風とかが起きた訳でもない……けど異様に静かなその感じが変な威圧感を出しています。

 そして周りに弾けた影が今度は一斉に親衛隊の体へと吸い込まれていく。そして出来上がったのは浅黒い肌に瞳を赤く輝かせた彼らでした。


「何……すか……あの姿?」


 途切れ途切れの声のノウイ君。だけどそれも分かります。あれは一体……でもあの影がもしも私のこれと同じ物だとしたら、まさかあの状態は……あのスキルは……


「はあぁぁぁ、凄いなこれは。力が……みなぎってくる。なあそっちは――」

「ぐっあ!?」

「小さき戦士よ。俺を倒すと言ったその言葉。もう一度口に出来るか?」


 奴の顔の向いた方からの悲鳴。それはテッケンさんにもう一人の親衛隊が攻撃を決めた瞬間でした。そして勢い良くテッケンさんの小さな体は吹き飛ばされます。


「テッケンさん!!」


 ノウイ君はミラージュコロイドで飛ばされた先へ先回りしてどうにかテッケンさんを受け止めます。私を右側に抱えてるからテッケンさんは左腕で何とかキャッチです。

 小さなモブリだから出来た芸当ですね。でも無事で何より。


「すまないノウイ君。助かったよ。だけどいきなり強くなったよ彼ら。少し不味いね」


 ここに来てテッケンさんの顔が初めて歪みました。苦しそうな、悔しそうな表情です。そして親衛隊二人は合流してこちらに歩を進めてきます。

 それは確かにテッケンさんの言うとおり不味い状況。どう考えても今の彼らを一人で倒すなんて無茶な気がします。

 だってあれは……信じたくないけど私には分かる。あれは……


「カーテナの加護……」


 そう呟いた私の言葉にノウイとテッケンさんが二人同時「え?」っと言います。そしてどうやら目敏く私の言葉を聞いてたのはその二人だけじゃなかった様です。


「ほう……よく分かったな。貴様の弱輩な加護とは随分違ってる筈だがな。確かにこれはカーテナの加護。我ら親衛隊にはこの国の力が付いてるって事だよ。

 これがどういう事か分かるだろう?」


 その瞬間、大柄な方の親衛隊がこっちに突撃してきます。そしてそれに併せて、再びテッケンさんが飛び出します。基本背が高いエルフに、基本から一番ちっちゃいモブリの彼が向かう姿はとても無謀な光景に見えてしまいます。

 背なんて力に関係ないけど、ただの背では比べられない国というカーテナの加護が向こうには付いてます。テッケンさんは分かってない。あれがどれだけ強大か。


「どう言うことだって? 倒せないわけじゃ無いだろう! 僕たちは連れていくんだ彼女を!」

 テッケンさんは一人とぶつかりあいます。だけどやっぱりもう一人に掛ける余裕はありません。するとノウイ君が囁きます。


「アイリ様、テッケンさんを信じましょう。俺達に出来ることはアイツを引きつけとく事っす」


 私は頷いて腕に力を込めます。そしてノウイ君が再び鏡を配し終えた時、近づく奴は言いました。


「これ以上、そのスキルは使わせない。なあアイリ様。カーテナには一つの特権があったよな? それをガイエン様が取り上げて、俺に与えてくださったんだ。

 一体加護と合わせるとどれほどの力に成るんだろうな?」


 立ち止まった奴。そして風が奴の周りに集まります。カーテナの特権……取り上げた? そして与えた? それが意味する物ってまさか!!

 赤い瞳を光らせて奴はその言葉を口にします。


「スキル『ナイト・オブ・ウォーカー』発動!!」


 その瞬間一陣の風が吹き抜けた。砕け散る幾片のもの鏡が私達を無数に映してる。そしてその場には黒い鞭の様な影が私達を囲み、獲物を狙う蛇の様な目で奴は笑ってる。

 第百話です。

 パンパッカパ~ン!! おめでとう(自分に) そしてありがとうございます。遂に三ケタですよ。何だか長かった様な短かった様な……まあ取りあえず今感じるとあっという間でしたね。

 だけど何と……重大な事実に自分は気付きました。それは…………主人公出て無いじゃん!! 記念すべき百話なのに!! てかヒロインも出てないし!! おいおい、やっちゃったな自分。

 まあだけど、仕方ない事だと割り切ります。これからももっともっと頑張るのでこれからもよろしくお願いします!!

 では次回は土曜日に上げます。ではまたです。

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