第3話 学校での味方
私は、お母さんとの約束の通りに学校を休んでいる間は家のことを一生懸命にした。
そして、終業式のあとに学校に置いてる物を全て持って帰った。みんなも、学校にある荷物を持って買えるので何も怪しまれなかった。
二人とは、お母さんが体調を心配して迎えに来ると伝えたて、最後のバイバイをした。
二人の顔は覚えていない。元から覚える気をなくて記憶から消し去りたい二人だ。この二人のせいで、教室にも居づらくなった。
「お前ら、付き合ったのか? 」
「うるせ〜」
三ヶ月ぶりに登校した修と来光夏の雰囲気に、クラスの人たちがピンと来たのだろう。
「お前らは、付き合わないと思ってた」
「俺が意識がない間に、毎日来光夏だけが来てくれたんだ。それがすごく嬉しかったんだ」
「えっ、それって」
「さすが来光夏、優しいね。そう思うよね」
他の女子が、男子の言葉に割り込んで何も言えないように先制を打ってくる。
「お、おう。そうだな」
クラスメイトの男子は、私に一瞬申し訳そうに見た。
私は、付き合ったことやウソをつかれたのを前に聞いていた。
でも、やっぱり辛かった。あれは嘘や夢じゃないんだと現実を実感した。
もしかしたら、来光夏はクラスの女子に嘘を言うように頼んだのだろう。彼女は影響力がある人だから、真実を知っていても逆らえないのだろう。
それからというもの、私は陰口を言われたりわざとぶつかられたりした。
これは両親や担任の先生も知っている。
「シェリーさん、本当にクラスの人たちを指導しなくていいの? 」
保健室で私が早退するため、お母さんが来るのを待っている時に担任の先生と話をした時のことだ。
「はい」
「もう、夏休みが近いのでこのままでいいです。私はもう何を言っても、ダメだと思ってます。これは諦めてるわけじゃなくて、これ以上傷つきたくなくて自己防衛です」
「先生が何か手伝えることありますか? 」
担任の先生も、私が修にしてきたことを知っている。私がアメリカに行くことを決めた理由をすぐに理解をしてくれた。
私が休んだ時に、修と来光夏が来ないように考えて、担任の先生が直接家に来るようにした。
「今もすごく、助けられてるので大丈夫です」
「何か辛いことがあるなら、遠慮せずにいってくれると先生は嬉しい。そして、あなたが怪我をしてしまうときは相手を指導します」
「はい。残り少ないですがよろしくお願いします」
「こちらこそお願いします」
担任の先生は、いつも私と向き合ってくれる。学校での味方は、教師だけだ。
学校で味方になる大人は、ほとんどいないと思っていた。でも、担任は違っているようで、最後の日本の学校がここで良かったと思った。