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第12話 修の頭の中

 今の修の頭の中は、自分の都合良いようにしたいという防衛反応が活発化になっている。

 どんなに自分が悪く、不利な状況でも、修は善で相手が悪だと思うのだ。


 事故の影響から、そうなってしまった。自分が悪くないと思えば、修は気持ちが楽になる。


 シェリーは、修の事故原因を詳しくは知らなかった。家族が真実を知らせないほうが、修のためになるからと思った。

 たとえ、真実で自分の子どもが悪いと世間に知られるのが嫌でもあった。

 シェリーに話せば、そのうち修が知って心が壊れるのか怖かった。


 何ヶ月も息子は眠ったのに、事実を知ることで心まで壊れて欲しくなかったから。

 修の両親は、来光夏にキツく口止めをした。来光夏は、そのモヤモヤした気持ちがストレスになって、シェリーが被害者になってしまった。

 さきかは、来光夏に会った時に、そのことも聞いていた。


「私は、もう何も信じられない! 」 

 

 さきかは、今まで優しくしてくれた修の両親が守ってくれても、本当は嬉しくもなかった。

 彼女の頭の中では、修たちと別れるために利用をしようと考えた。

 彼の母親から握られた手が気持ち悪かった。すぐにでも手を離して洗って消毒をしたかった。

 でも、すぐに出ていかない命綱と思い、わりきったのだ。

 

「これを書いて、提出してください」 

 

 さきかは、離婚届けをダイニングテーブルに叩きつけて、荷物を持って、修の家を飛び出した。


 この家に来る前に、来光夏に付き添ってもらって離婚届けを役所でもらった。

 実は、来光夏が心配して修の家まで連れて行った。  

 そして、さきかが修の家を飛び出した時も近くで待機して、すぐにレンタカーに乗せれるようにした。

 彼女が修の家にいる間にレンタカーを借りて、家が見える位置でコンビニや路駐などをしていたのだ。

 

 

「来光夏さん。ごめんなさい」 

 

「さきかさん、謝らないで」 

 

 来光夏は、運転をしながら涙を流すさきかを見た。

 

「こんなときで悪いけど。録音出来た? 」 

  

「はい」 

 

 

 来光夏は、たくさんの知識を事前にさきかに教えていた。

 

「今の時代には、有力な証拠が必ずいるの。私のこのレコーダー貸すね。コンパクトでも、性能がすごくいいの。 」 

 

「ありがとうございます。私、何も知らなくて」 

 

「これから、知ればいいの。私は、今度こそ悪にはなりたくないから。 」 

 

 来光夏は、転々と色んなところを渡り歩いたから様々な問題の対策には強かった。

 

 

「ビジネスホテルだけど、この隣の市で取ってるから。今日はそこで休もう。ダブルで一部屋しかなかった。ごめんね」 

 

「何から、何までありがとうございます」 

 

 来光夏は、今のさきかの精神状態では彼女の実家に連れていけないと思った。彼女には子供がいるから、今の姿を見せない方がいい。

 さきかが、最悪な決断をするのを恐れて、嘘をついて同じ部屋にしたことを伝えた。


 もしかしたら、修たちが突撃するおそれもあった。彼女を守るためには、強行手段をとるしかなかった。

 

「さきかさん。あなたの実家に、友達の家に泊まるって連絡して。事情は、必ず説明するからって、伝えて」

 

「わかりました」  

 

 さきかは、震える手でメッセージを母親に送った。すぐに着信があった。

 

「もしもし、さきか。大丈夫なの? 」 

 

「お母さん……」 

 

 さきかの母親は、彼女の声を聞いて何かあったのかを察した。

 

「スピーカーにして」 

 

 来光夏は運転しながら、さきかに指示をした。

 

「さきかさんのお母さん。初めまして、来光夏です。驚かれるかもしれませんが、落ち着いて聞いてください。私は彼女の旦那の元友達です。縁があって、さきかさんとも友達になりました。 」 

 

 来光夏は、冷静に自分のことやさきかの現状を簡単に説明をした。

 

「もしも、修から連絡があっても、友達のところに泊まってるのと、「場所は聞いたけどあまり聞かないところだから覚えてない」って伝えてください。あと今日は、さきかさんは修たちから連絡が来て大変だと思うので電源をこれから切ります。なので、私のスマホにかけてください。 」 

 

 来光夏は、冷静を保ったまま自分の連絡先やホテルのだいたいの場所を伝えた。

 さきかの親が何かの拍子に、修に伝えてしまって、場所の特定を防ぐためだ。

 

 来光夏たちがさきかを守ったこで、最悪な決断をすることがなかった。

誰だって、自分が悪くない。悪いのは相手だと思う。 

その思いが強いほど、自分を守るために加害者の言動はコントロールが出来ないぐらいにエスカレートしていくのです。

読んでいただき、ありがとうございます。

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