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6、新町

1週間遅れちゃった..

       ~朝~


「むぅあああ...見知らない天井..そりゃそうだわ..」

「エミリはもう起きてるのかー早いなー」


 2階で寝ていた私は階段を降りてリビングへ。


『ぐっすり眠れたようね』

「カナおそいー」

「すみましぇん~」


 朝食はもうできていたらしく、遅れて食べる。


 そして、出発準備をする。

 出発前に玄関にてルイラが


『行く前にこの2つをカナに渡しておくわ』

『1つは地図でもう1つは手紙よ』

『印がついているからその場所で、この手紙を渡してきて』

「はい!ありがとうございます!」


『エミリはカナの案内と、パパの場所もその印だからいっしょについて行きなさい』

「はーい」

『しばらく別れになっちゃうけど、いってらっしゃい』

「それはどういう?」

『多分、住み込むからよ』

「ゑ?」

「カナ・・」

『まぁ、向こうで頑張って“また”来なさい』

「!、はい!」

「頑張ってきます!ありがとうございました!」

『エミリも気をつけてくるのよ。』

「は~い」


 そうして、別れの挨拶をすませる。


「それじゃいこっか!」

「うん!」


 私たちは玄関を出て、馬車の停留所まで向かう。


 村から出て森に入り歩く。

 前を見ると道は途切れ森林が広がる。

 代わりに左右に道が続いていた。

 その一角に小屋みたいなのが建っている。


「あそこで少し待ってると馬車が来るから、それに乗っていくんだよ」

「バス停みたいね」

「ばす?」

「気にしないでね。こっちの話よ」

「?」


 小屋に入り、椅子に座る。

 すこしすると、右から馬車が近づく音がして外を見ると

 遠くから、馬が大きな車体を引いて近づいている。


 そして、目の前で停まり、馬の上に乗っていたおじさんが


『どこまで行かれますかな?』

「ビスタまでお願いします」

『はいはい、小銀貨1つね』


 それぞれ、バックから取り出し


「おねがいします!」

「お願いします」

『ありがとねっておお!昔の銀貨じゃないか!』

『いいのかい?こんな貴重な物を...』

「いいですよ、それよりどこから乗れば良いですか?」

『側面の一部がドアになっているから。そこから入ると良いよ。』

「はい、ありがとうございます」

「乗ろ乗ろ!」


 その車体はシンプルな木造で、壁は腰の高さぐらいと大きな屋根、クッションが置いてある椅子が設置してある。

 窓はなく、外の景色がダイレクトに見えた。

 後ろには、護衛の人たちがいて暇そうにしていた。


(これが異世界のバス、おぉ)

(ツアー感あっていいね)


 しばらく揺れていると

 次の停留所が見えてきた。


『~まで、おねがいします』

『あいよー小銀貨2枚ね」

『すいませーん。ここで降りますー』

『あいあい』


 のようなことを繰り返し

 時は経って


「カナ、そろそろだよ」

「ふぁーい」


 森を抜けると、そこには

 壁で囲まれたデカそうな町があった。


「ここで降りまーす」


 町手前の停留所で降りる。


「ただの町にしては壁に囲まれているねーそれに、門番もいるし」

「ここはね、ほんぶちょくえい?のギルド支部があるからだよ」

「へぇー」


 町の出入り口の門を通ろうとした時

 門の一部になっている小さな窓口から

 警備の人に声をかけられる。


『そこの君たちー。町に入るにはここでギルドカードを見せてー。無かったら硬貨払ってからねー』

「いくらですか?」

『小銀1つね』


 各々取り出し


『おお、まだこんなものが出回ってるのか..』

「入っても良いですか?」

『あ、ああ。いいよー』


 ついにやってきた大きな町


 中に入ると建物が密になっている。

 人の数も多くて田舎出身であれば、多少は迷子になってもおかしくない。


 さっそく地図を元に記された場所へ向かう。


「・・・エミリ、現在地どこ?」

「ここ」


「西から入って来たなら。じゃぁ、このまま中央の道を行けばいいのね」

「そうだね!」


「うっ広っ、結構距離あるね」

「そうだねー」


 町の一番大きい道を歩く。

 道中で屋台やら、おいしそうな店があり...


「エミリ..」

「カナ?だめだよ、早く行かないと」

「そうね・・・」


 町中央に行くと、一際大きな建物があった。

 開きっぱなしの大きい扉が印象的である。


「ここが印の..」

「早くいこ!」

「あっ、ちょと」


 連れられて入ると


「市役所みたいなところね」


 中央には受付カウンター

 右には、数十枚の紙が貼り付けられたボード

 左には大小のテーブルや椅子がある。


 私はカウンターに行き、作業している人たちに一声


「すいませーん」

『はーい!』

『ご用件は?』

「こちらの手紙をお願いします。」

『分かりましたー。ってルイラさんから?!』

『ちょっとお待ちくださいね。支部長――!』

「え?部長?」


<ガチャ

 受付の人が奥へ向かう


<ガチャ

『おまたせしましたー』


 戻ってきたなと思うと


『こちらです部長』

 『・・・』


「・・・(エミリ...アレ..ダレ」

「・・・(ワカンナイ」


 出てきたのは、いかにも“つよそう”なおっさん。


「・・・」  「・・・」

  『・・・・』


『ふむ、ではとりあえず中で話をしよう』

『ニーナ。』

『はい!およびですか?』

『客間の準備はできているか?』

『いつでも大丈夫ですよ』


『カイン。』

『はいっ!』

「ルイラの娘を夫の元へ案内しろ』

『わかりました!』


『カナ・エミリ、これからしばらく別れになる。挨拶ぐらいしておいたらどうだ?』

「は、はい。ありがとうございます」


「な、なんか突然の別れになっちゃったけど、ありがとうねカナ!また遊ぼうね!」

「こちらこそよ!一晩ありがとうね」

「またね!」

「また会おうね。学校行けるといいね!」


 エミリは職員と左側の扉へ


 私は支部長と右側の扉へ


『ここが客間だ』

「失礼いたします」

『まぁ、くつろいでくれたまえ』

『ニーナ。』

『はい~、カナさん飲み物どうぞ~』

「ありがとうございます。」


『俺がここのギルド支部長兼マスターだ』

『私はアシスタントのニーナです!』

「私はカナといいます」

「旅をしていたんですけど、お金が尽きちゃって..」

「何卒、お願いします」

『・・・』

    「・・・」

『あの~?』


『おっほん、本題に入ろう』

『この度は、同僚のルイラを助けてもらい感謝する』

「いえいえそれh...同僚なんですか?!」

『彼女は元々ここで働いていたのだ』


『では何故、夫は出稼ぎする場をここにしたのかだが。』

『手入れされてない、大きな庭をみただろう?』

「はい、見ました」

『彼は元々農家であった』

『しかし、妻の容態が悪くなり、農家をやめ、ここに働きにきたのだ。』

『そのほうが稼げるからな』

「頑張ってるんですね」


『だが、農家が突然の事務作業で辛そうにしているのは、見るに耐えん』

『いつ辞めるのか分からなく、正直ヒヤヒヤした。』

「あー」

『だが、お前さんのおかげで彼も救われるだろう』

「それはなによりですね」


『では、説明をはじめるぞ』

『ルイラが認めた者故、手続きは手短にする』

「はい」


(エミリ父さんの職場を継ぐ感じかなー)


『お前さんは、ルイラの夫の職場を継ぐと思っているだろうが、違う』

「ゑ。」

『お前には、[アシスタント]をしてもらう』

「アシスタント。」

『そうだ。お前さんには、このギルド支部の全体業務の手助けをしてもらいたい』

『内容はその都度説明をする』


「具体的にどういったことをするのでしょうか?」

『そうだな、だいたい〔雑務〕とかであろうな』


(結局雑務ぅ~?...つまんない~..)


「ふーん。」

『・・・舐めてもらっては困るぞ』

「もちろんです。真面目に働かせていただきます」

『難しいわけじゃないがな。ただ、量が多いってだけだ』


『これが最も簡単な説明だ』

『明日からでいいな?』

「はい!」

『この後、時間があるのなら少し見学に行ってもいいぞ』

「ぜひ!おねがいします!」


 その後、支部長に案内されて廊下へ。

 

『職場をいくつか紹介しよう』


 各扉には札がかけてあり、どれも宝石が埋まっていた。

 数個ある扉に入り1つ1つ説明を受ける。


『ここは、この周辺の村の状況や、付近の話題をまとめて、その情報を元に調査などを依頼したりする場だ。』

『ここは、手紙・荷物を整理して各町へ配達、依頼する場だ。』

『ここは、本部や他の支部が冒険者などに依頼して、捕獲・討伐・採取した物を解体・分析する場だ。』

『ここは、商人・職人の管理、支援をする場だ。』

『ここh・・・・

         ・

         ・

「あの...これ...全部?...」

『そうだ。』

「・・・・・・・・・・・」

『その分、給与は多いがな』

「ガンバリマス」


『今日はここまでにしよう』

「ハイ」

『何、俺も鬼ではない。これをお前さんにやる』

『ニーナ、アレを』

『はいは~い』


 ニーナさんから、カードが渡される。

 よく見ると、私の名前が入っており

 真ん中には、透明な大きい石が埋め込まれている。


「これは?」

『お前さんのカードだ。裏に入る時にそいつを見せれば、すぐに通してもらえるぞ』

『それぞれの仕事部屋の前の札に、色のついた魔石が埋め込んであっただろう』

『ヘルプが入ると、カードが連動してその札の色と同じ色に光る。』

『そして、同じ色の部屋へ入り業務を手伝う。』

『という流れだ』

「なるほどなるほど」

『それまでは...自由時間だ』

「!」

『これでよろしいか?』

「はい!」


『泊まる所についてはこちらで30日分予約してある。そちらへ伺ってほしい』

『ここから、東に3ブロック分すぎたあたりにある。[羽休み]という所だ』

「ありがとうございます!」


『ではまた明日。カードが光ったらここに来い』

「わかりました」

『今日の所は解散だ。残りはこの町で自由にしててくれ』


「明日から宜しくお願いします!!」

『頼んだぞ』

『カナちゃん一緒に頑張ろうね!』

「はい!ニーナさん!」


 そうして、私は建物から外へ出る。


 残された2人は


『若くして旅とな。しかも、この手紙...』

『カナさん、すごそうですね』

『ふむ』

アレ?

なんか、仕事しようとしてない?

スローライフどこ?


お、お金ないし、し、仕方ないよね?()

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