4、呪解
模索中。。。
「何うれしそうにしてるのよ..」
「えへへ、誰かと一緒のお泊まりは久しぶりだからうれしいの!でも、大丈夫?もともと何処か行くつもりだった?」
「民宿でも探そうかと思ってたとこね。でも、せっかく泊めさせてくれるのに、今更よそには行けないわ。だから、家事とか手伝うから今日一日だけでも泊めさせてください」
「いいよ、よろしくね!」
(しかし、子どもが勝手に決めていい事なのかしら..)
(そういえばなんで薬草を集めているのかを、聞いていなかったわね。)
「エミリちゃんは、どうして薬草を集めているの?」
「私のお母さんは、ずっと体調が悪いんだ」
「前に、病気にかかっちゃってそれ以来ぜんぜん治らなくて、最近段々ひどくなってきちゃったの。それでね、お仕事もできなくなっちゃった」
「なるほどなぁ...お父さんは?」
「お父さんは、《これは呪いの類いかもしれない..》って、司祭を雇うために出稼ぎにいったよ」
「大変そうね...」
エミリ家まで村を歩く。
(畑や牧場らしき所があっていかにも田舎って感じ!)
(あと、エミリは村の人たちと仲よさそうね)
エミリは、この村の人たちと仲がいいのだろう、すれ違うたびにみんな何かしら挨拶をしてくる。
時折、私をて「エミリちゃん、貴族の友達できたの?」とか「おお!かわいい嬢ちゃんだな!」とか言っていた。
(私って貴族のように見えるのかしら)
(まぁ、服とかそれなりに上品っぽそうだけどさ)
恥ずかしそうに笑うエミリに、私は「エミリのお友達です!」と毎回胸をたたきながら言った。
そうして、村を歩きちょっと端まで行くとそこには一軒家がある。
その家の大きさは2階建てで、隣には広い庭があるが整備されておらず、雑草が茂ってしまっている。
ここがエミリの家である。
「ちょっと、準備があるから待っててね」
「わかったわ」
そうして、「ただいまー」と彼女は家の中に入っていった。
「さて、ちょっと待ってますか」
と近くに腰を下ろそうとしたとき、
腕輪が赤く光った
『ごほっ..ごほっ..』
そして、家から誰かが咳をする声が聞こえる。
「・・・なるほどね」
ちょっと経って、再び家の扉が開いて
「はいっていいよ~..」
そしてこの声に少しだけ元気が無かったように感じた。
(そうよね、やっぱり心配よね。こほん!)
「お邪魔します!」
私は反対に元気よく入る。
中は質素で、テレビ!ゲーム!みたいなのはなく、異世界ってすごいな(?)と感じた私であった。
そして、私は切り出す。
「ねぇ、エミリのお母さんに会いたいのだけれど...あ、安心して!そんな長話するわけじゃないし、泊まらせて貰うんだから挨拶ぐらいはしておかないといけないなって思ってね」
「うん、わかった」
2階の寝室に居るらしく、「ついてきて」と案内してくれた。
廊下の端にある扉の前へ行き、ノックをする。
「入るよ、お母さん」
「失礼します」
目の前にいたのは、熱にうなだれている女性が横になっていた。
『あら、いらっしゃい...』
『今日はうちのエミリが..お世話になったわね』
『村まで送ってくれてありがとうございました』
『お礼をしたいところだけど、今の私はこんなのになってしまっていて..貴方には申し訳ないけどなにもできないの...』
『せめてエミリとは楽しい時間を過ごしてちょうだいな...ごほっごほっ...』
『それにしてもきれいな子ね..もしかして貴族の子かしら..だったらなおさら申し訳ないわね..』
『私は、ルイラといいます..平民の家ではございますが、どうかゆっくり休んでいってください..』
「あの!とんでもないです!‶私〞は貴族じゃありません。だから、堅くならなくても大丈夫です!」
「自己紹介が送れましたね。私はカナといいます。此方は泊めていただく身!なので、その分しっかり恩返ししていきたいと思います!」
エミリとルイラは微笑み、自己紹介を終える。
(さて、やりますか。)
そうして私は一仕事行う。
「では、今からその恩返しをします!」
『?』「?」
エミリ・ルイラは何を言ってるんだろうと言いたげな顔をした。
そして、私はルイラを‶見る〞
(発動、〈アナライズ・アイ〉)
(むっ)
(これはこれは..)
すると、体全体にドス黒い靄が見えた。
ふむ、呪いの類に掛かっていると分かる。内容は
‶衰弱〞
対象を弱らせ、じわりじわりと命を削る。
ながい苦しみの末に死んでしまう、とてつもない呪いである。
そのせいで、体が弱り様々な病気にかかってしまったんだなと推測。
(おっと)
こころなしか、腕輪の光が強くなった気がするので、私はそろそろ行動に移行。
(ていうか、呪いって体全体にかかったら、○ぬんじゃなかったっけ?ルイラさん、実はもう限界だったりしそうだね...)
「さぁ、刮目せよ!〈一宿一飯〉の恩返し!使命を果たします!」
「〈クルースド・リリース(救)〉!」
すると、ルイラさんから悪霊じみた魂みたいなのが出てきた。
(あれって呪詛の塊のよね。異世界ってあんなことできるの?すごいわね。)
(せっかくだし、いただいちゃおうかしら)
「きゃー」『なに..あれ』
部屋中を駆け回り、次の標的を定めたのかピタッと止まる。
すると瞬間、私めがけてとんできた。
『カナ!』
「私を呪おうたぁいい度胸じゃないの!」
(しかし、残念だったね。〈マジック・アブソープション〉!)
「ふんっ!」
私の手の中に生成した‶吸収する魔法〞が、その呪詛を吸い込んだ。
「ヨシ!解呪完了!」
「ルイラさん、体の方はどうですか?」
『まぁ!ありがとう体が軽くなったわ!』
『すごいわね。もう呪いが解けなくて、呪解用のお金が貯まる前に〇ぬんじゃないかとずっと考えていたのに、それをこうもあっさり..』
『私はこれでも、あなたが来る前から呪いは私を蝕んできたの。一泊の恩じゃ比べ物にならないわ、残りの人生がかかってたもの』
『今度はこっちが恩返しする番かしら。特にこれと言って返すものなんてないけど、一泊とは言わずいくらでも過ごしていいわよ!』
私が、ルイラさんの感謝の嵐に押されていると
「まま!」
『エミリ!』
エミリがルイラに飛びつく。
親子で喜びを分かち合う光景を見て私は満足する。
(嗚呼、このシーンを作ったのは私だと思うと役得ね。女神さまには感謝しないとね!)
レイラはテンションが上がっているのか、立ち上がろうとする。
(あぁ、まだ安静にさせておかなくちゃ。)
「あの、レイラさん。」
『何かしら聖女様!』
「いやわたしは聖女ではなくですね...そんなことより、もう少し安静にしていてください」
『そうなの?もう私は元気よ?これでも?』
「いいえ、それでもです。呪いはあなたの体を蝕み侵食していきましたが、今は蝕まれた部分が消え、空きができました。その状態でまた、どこかに行きますと、変なところから妙な物を貰ってくるかもしれませんよ。ここは回復をまって、ゆっくり取り戻していくのが先です。普通の状態ならまだしも、レイラさんのような状態でh『はいはい、わかったわ、安静にしてればいいんでしょ~』
『聖女様の言うことだものね~聞かなくちゃね~~』
「本当に理解しましたか...?っていうか私は聖女じゃありません!」
『私たちから見れば、聖女よ』
「じゃあ、回復しようものなら?」
『聖女ね』
(・・・・・〈回復〉)
あえて無言で回復魔法を使う
『やっぱり、聖女じゃない!』
「違いますって!これはなんか覚えちゃったんですって!」
「治癒魔法ぐらい、誰でもできないんですか!?そんなんじゃ、この先も生きていけないですよ..」
『ごめんなさいね、少し揶揄っただけよ♪』
『だけど、カナに命を救って貰ったのは事実だし。どこかに行けなくとも、家事ぐらいはできるわよ』
『だから、カナはのんびりしていきなさい♪』
「ありがとうございます」
『というわけでエミリ、おつかい頼んだわよ』
「は~い」
(せっかくだし、私もついて行こうかな。)
「私もついて行っていいかな?」
「いいよ~」
そうして、私たちは、夕方の村と向かうのであった。
カナは基本無詠唱で魔法が使えますが、
イメージをつかむために技名をいちいち言います。
あと、カナも特典だけでなく、オリジナルの力があります。