EX1.ある記録
完全に蛇足です。
飛ばしてかまいません。
それではどうぞ
『では、これがおまけ映像よ。忘れてしまうと思うけど、あなたが転生する直前に見せてあげるわね。』
===========================
ここは、どこか深い瘴気あふれる開けた森の中。
〈カン!
キン!〉
〈キン!
カン!〉
〈ドカーン!
ズカーン!〉
【GUUUAAA、お前たちの連携、なかなかだガ、足りんナァ...】
【まだまだやれるだロ、もっとかかってこイ!!】
『アリサ、大丈夫か?』
《余裕よ、準備運動だわ。》
男女が巨大な魔物と戦っている。
《じゃぁ次は、クロスでもしてみようかしら。エルヴィン、右、頼める?》
『応!』
【かかってこイ!!!】
『いくぞ!〈サンダー・ボルト〉!』
《こちらもよ!〈ライトニング・アンペール〉!》
ほとばしる雷が魔物を焼き尽くす。
【GAAAA!やるではないカ、この世界でオマエらが一番つよいかもナ。だガ、この世にオレが生まれたせいデ、一番強いのはオレになったのだがナ!!】
魔力を爆発させ雷を打ち破り、彼らに肉薄する。
『まずは、俺からだ!来い!』
【GAAAA!イクゾ!】
ぶつかり合う魔物の爪と彼の剣、そして打ち合う体
『一本いただく!せいっ!』
【UGAA!】
1斬り入れる、も
【GAAAAAA!オソイ!】
『うぐあっ!』
《エルヴィン!》
彼は飛ばされて離れた岩につよく打ち付けられてしまった。
【ツギ、オマエ】
《望む所よ〈氷華・輝花ノ舞〉》
大きな氷の結晶の魔方陣が、魔物の上と足場全体に広がる。
すると上から雪が降り、下からは氷の柱が出てくる。
そのうちの一本が魔物を貫かんと出てくる。
【GAAAA?!】
魔物のお腹を、氷が貫き、体温を奪い、冷えた足場に氷が生成され魔物の足に固定する。
《凍りながら死になさい!》
《はあああああああ!》
最短のステップで魔物に迫り、首を取ろうとしたとき
【なめるナ!】
刃が首にさしかかったとき、魔物はこれまた、炎の大爆発を起こし、彼女を吹き飛ばした。
《くっ、あとちょっと..だったのにn》
《な?!》
【息つく暇などナイ!】
すかさず、闇の魔力を帯びた拳が彼女に迫ろうとしたとき
『〈ソル・フレア/ストーム〉!』
灼熱が如くうねり上げる炎が魔物の拳の勢いを打ち消した。
彼女は素早く距離を置き、彼と合流する。
《エルヴィン!助かったわ》
『惜しかったな、次いくか!』
【オイオイオイ、オマエらそんなに全力で戦って大丈夫なのカ?先に魔力が尽きてシヌのが目に見えているゾ】
【無駄なテイコウはヤめておとなしくシヌんだナ!】
『まだまだ余裕!続行!』
『はあっ!』
《せいっ!》
【GAAAA!】
実際、勝負は拮抗していた、戦い続け、互いに消耗していき.....
・
・
・
・
・
『ハッ...ハッ......』
《フゥッ......ハッ.....》
【マダダ!...マダ!オワッテナイ!!...】
しかし、魔物のほうが、再生が速く勝負は拮抗していると思いきや、じわりじわりと差ができていた。
『ふっ、ははっ..アリサ..俺たち....このまま勝てても魔力消費が激しすぎて...死んでしまうな!』
《ふふっ...ええ..そうね..器を超えすぎた魔力消費で...消滅するわね♪》
【ドウシタ、オマエタチ、オレニ勝てないことがワかってオカシクナッタカ?GAHAHA!望み通りオワラセテヤロウ!!】
魔物が口を開け、大きな魔力を充填しているとき
遠くから小さな足音が近づいてくる。
「お父さん!お母さん!」
遠くから少女が、ぼろぼろになったアリサとエルヴィンを見つけ駆け寄った。
『シャルロッテ!?』
《シャル!なんで来たの!危ないから来ないでって言ったのに!》
「ごめんなさい、でも、ぼろぼろなのが嫌で、負けて死んじゃうんじゃないかと思うと怖くてきちゃった。」
《リリィはどうしたの?》
「リリィは多分、別の街へ避難したよ。」
《シャルも逃げれば良かったのに...》
「ううん、家族は見捨てれないよ。リリィには申し訳ないけど、あの子の分まで頑張るよ。」
『俺たちを助けに来てくれたのか!さすがシャル!俺たちの血を引き継いだ子だな!立派だぞ!』
《そうね、この際もう何でもいいわ》
「私は負けて欲しくないの」
「だから、私の魔力あげる」
「かっこいいところ見せて?」
「手を出して、いくよ。〈魔力連結〉!」
アリサとエルヴィンに、消耗していた魔力が回復していった。さらに、シャルロッテの魔力はとても純粋であるため、暖かかった。
「えへ、あげすぎちゃった。」
ふらっとした、少女はその場にしゃがむ、魔力が供給された2人は元気であった。
『さぁて、言われちゃぁしょうが無い!俄然、元気出てきた!振り絞りますか!全力!!』
《そうね、共同作業といきましょう!》
魔物は魔力溜めに集中しており少女のことは眼中になかった。
【サァ、準備完了ダ、オマエらもろともケシサレェ!】
特大の闇のブレスが襲いかかる。
しかし、
『《〈セイクリッド・パーフェクト・バリア〉!!!》』
正面から、防ぎきった。
「反撃!」
『《〈ブレイジング・ホーリー・ランス〉!!!》』
すかさず反撃をする。
漆黒のブレスから反転して眩しい光の槍が魔物の心臓を貫き致命傷になる。
【GYAAAAAA?!】
魔物が突然の大ダメージに困惑し、光が落ち着き視界を取り戻すと、少女がいた。
【ガキ!オマエガヤッタノカ!GAAAA!UGAAAAA!!】
『よし!確実に手応えがあったぞ!!』
《結構効いたんじゃない!?》
【シカシ!!フン!!!!】
最初よりは遙かに再生速度が遅いが、ものすごくゆっくり修復をはじめている。
【オマエたちガ、はじめてダ、オレをここまで追い込んだのハ、その努力ヲみとめよウ。】
【ユエニ、コロスのではなク、エイエンのヤミに葬ってやろウ!】
魔物が、魔力を再びためる、空間が歪み悲鳴を上げてるように聞こえる
『ふむ、もう一度、と言いたいが、はっきり言って、もう動けん、無理だな!』
《エルヴィン..あんたね..でも、くやしいけど私も同じよ》
「任せて、今度は私が全力を出すよ。」
「でも、撃つのは、パパ・ママにお願い。」
『いいぞ、もはや体の感覚なんてない!やってやろう!』
《それもう肉体の崩壊が始まってるじゃない.....私も人のこといえないね。ええ、やってみせるわ。》
「ありがとう!」
「もういちどいくよ!〈魔力連結〉!」
「私の全力を充填!はあああああああああああ!」
・
・
・
片方は深淵、片方は極光
双方の魔力が空間を歪ませ合う
「ねぇ、この共同作業に私も‶参加〞していい?」
《ええ、いいわよ》
『当然だ!』
やがて魔力は双方溜まりきって
【GAAAA!カクゴハイイカ!エイエンニヤミノナカヲサマヨウガイイ!〈ダークネス・インプリズメント・アビス〉!!】
「反撃!」
『《いくぞ(よ)!神聖魔法!
〈セイクリッド・ホーリネス・ディグニティ〉!!
封印魔法!
〈エターナル・ローム・ディメンション〉!!!!》』
1撃目の光が魔物の闇とぶつかるが、わずかに及ばず闇に飲まれてしまった。
闇は大分中和されたとはいえ、勝てなかった。
このままでは2撃目に魔物に届かないのは明確であった。
アリサと、エルヴィンは負けちゃった、と思い始めたそのとき
「〈デストーション・エアプレイス〉」
少女は空間をさらに歪ませた、すると、魔法どうしが透過したのである。
つまり、少女が選んだのは、魔物との相打ちであった。
だが、あの魔物にここまで追い込めれたのなら逆に勝利と言ってもいいのではなかろうか。
【ナゼ、フウインマホウガ、コチラニ、ムカッテキテイルノダ?!】
【ガキィィィ!マタ、オマエノシワザカァァァァ!!】
【GAAAAA!】
放たれた封印の魔法は即座に魔物全体を包み、魔物の‶成分〞を分解していく。
そして、次元の狭間へ投影されていった。
【タカガ、オリ、ブチコワシテクレルワ!】
「無駄だよ、〈ライトネス・チェーン〉」
光の鎖が魔物の全体を縛り上げる。
【GUOAAAA!ウ、ウゴケン!】
「当然、貴方は今分解されているの、つまり構築されている部分、要素が丸見えってわけ!」
「大人しくすることをオススメするわ、さもないとこの鎖が悪に反応して、崩壊させるかもしれないからね!」
《そのまま封印されなさい!》
【オマエラ...オボエテロヨ!!!!】
そうしてかの魔物、いや魔神は封印された。
そして・・・
『俺たちもそろそろだな.....』
《ええ...そうね....》
「ごめんなさい、私に力があればもっとうまくいったはずなのに..ごめんなさい」
「今だって、あの魔法の軌道を変えられて、そしたら生き延びたかもしれないのに....」
透過したことにより、今度は彼女らに迫ってくる闇を、ただ見ているだけであった。
『いや!違うね!お前はがんばったさ、さっき来てくれなかったら、すでに死んでたからな!』
《そうよ、シャルのおかげであの魔物をやっつけたのよ》
「あの魔法を受けてしまったら、もう一生みんなに会えないのかな。お父さん..お母さん..」
《いいえ、いつかきっと会えるわ》
『諦めなければなんとやらだ!』
『だが、俺たちはここまでのようだ。すまない、シャル、お父さん頑張ったが、どうやら疲れてしまったみたいだ..』
《私もよ、だけどね、あいつには勝てたわ。だからこれでも、スッキリしているの。》
《私たちはこれから消滅してしまうけれど、せめて、見送ってから、休むことにするわ。》
闇が彼女らに近づき、床と真上に大きな魔方陣が形成される。
全体を包み込み、一切の光が感じられなくなって
左右も分からない
立っているのか寝転がっているのか分からない
浮いているのか沈んでいるか分からない
一言いうなれば、時間が止まったような空間に閉じ込められる。
「これが深淵....」
とてもつめたく、全て諦めたくなるような感じがした。
しかし、
『なるほど、確かにここは‶終わり〞だな。』
《なにもかもが暗いわね》
『だが、それがどうしたというのだ!』
『俺たち(シャル)がまだ生きてるではないか!』
『故に、負けてなどいない!』
《シャル、リリィ、あなたたちはまだ未来があるわ、だから、シャル、これはただの休憩に過ぎないのよ》
《闇だからなにかしら、生きていれば明日があるの》
《ここは、アイツの魔法によって魔力の回復はできないけど、いつか絶対にここを出るのよ!大丈夫!諦めない気持ちこそが、どんな壁をも超えてみせるのよ!》
『お前たち姉妹はとても立派だ、俺が言うのだからな!だから、お前なりの道を切り開いていけよ!』
親の最後のことばに子は涙する。
「お、お父さん、お母さん.....くぅっ....ぐすっ...」
「私、頑張る!いつか絶対、ここから抜け出して、みんなに会って、そして、みんなの力になるって!」
「そして、私なりの道を行くよ!」
そして、さきほどの戦いで魔力を使いすぎた少女も例外ではなく、意識がだんだん落ち始めてくる。
《最後の最後に母と父からの餞別よ、この体、粒子になって闇の中に溶けていくだけなのは、嫌だから、シャルに魔力として送るわね、少しでも足しにしなさい。》
『寂しくなっても気持ちは一緒だからな、ともに乗り越えよな!』
「うんっ!」
3人で手を重ね合い、魔力を親から子へ託す。
『《〈イントラスト・フューチャー〉!!》』
暖かい、魔力が少女に流れ込んできた。
肉体崩壊と同時に行っているため、長くは続かなかったが、それでも親の思いは十分に伝わっただろう。
そうして、アリサ、エルヴィンは光となって消滅し、シャルロッテは多幸感から長い長い眠りについたのでした。
・・・・・・
そうして、英雄と魔神が戦いともに命を散らしたとされているこの場所に、人々はなんとか足を運び、神殿を建てて、世界の安寧を祈るのであった。
この話は、今も『英雄と魔神』という名の昔話として語られていたりするかも?
===========================
『以上が、特典の映像よ。昔話として語られている以上に、詳しく再生したのだけど、まぁ、やっぱり貴方はここでは覚えていないのだけどね。』
かの魔物はデビルっぽいナニカでお願いします。
魔物と戦っていたとき、所持していた武器としては、
・エルヴィンは、バスタードソード
・アリサは、フィランギ
あたりのイメージ。
シャルロッテは、来る途中で剣が全部壊れてしまったため、身1つで来た。