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専属メイド天使

 ジジイ──元創造神に仕事を押し付けられた後、真っ白な空間で路頭に迷っていると、ふと影が現れた。


「初めまして、新たなご主様。私は創造神に仕える天使でございます」


橙色の瞳に、藍色のロングヘアーを白色のリボンで結い上げた少女が、恭しく礼をしてきた。


服は落ち着いたデザインのメイド服で、前世でよく観ていたアニメの、所謂なんちゃってメイドとは全く違っている。

全体的に洗礼された美しさがあって高潔な雰囲気を漂わせている。


 俺がメイドに感心して興味深く眺めていると、メイドは俺の反応がないことを心配してきた。


──そういえば、今は宙に漂うただの光だった。早く人型になりたい。

実体が無いとどうしても幽霊みたいで落ち着かないのだ。


そもそも、本当に転生できているのだろうか。


そんなことを考えていると、メイドから声がかけられた。


「まずは実体化してみて下さい。前世での自分の姿を思い浮かべて下さい」


俺の考えを察したかのようにメイドから声をかけられたので、俺は言われたように自分の姿を念じる。


すると、光が膨らみ、徐々に人型になって前世の俺の姿になった。

──手も、足も、毛の先も、完全にもとの自分だ。


俺が興味深く自分の体をチェックしていると、クスリと笑い声が聞こえたので、笑い声の主の方へ視線をやる。


「も、申し訳ございません。ただ、神の方は美形の方が多いもので。ご主人様は、その・・・変わったお顔立ちですね・・・ふふっ」


なんだこのメイド。

初対面で主の顔をディスってくるとは。

さっきの高潔なイメージが台無しだ。


確かにイケメンでも何でもない、ただの18歳で、彫りも深くないし目も小さいけど、酷い言われようだ。


ひと通り笑い終えたのか、ちゃんとこちらを向き直したが、目を合わせてくれない。それに肩が震えている。


「あ、あの、姿はイメージ次第でいくらでも変えられますからね」


笑いを堪えながら言われるので、今度はイケメン俳優のような高身長で整った顔立ちをイメージする。


すると体が光に包まれ、足が伸びた。急に体のバランスが変わったので、思わず尻もちをついた。


「ふふっ、お、お辞めくださいっ・・・」


これまたメイドのツボに入ったようで、堪えきれずに思いっきり笑う。


これでは歩けないので、仕方なく元の姿に戻る。


なんだかまたメイドが笑っているようだが、構わず話しかける。


「元創造神のジジ──お爺さんが言ってた天使で合ってるよね?名前は?」


ようやく笑いが収まったのか、メイドはこちらに今度こそ向き直した。


「ええ。元創造神のガイアス様の天使でございます。名前は、身分が低いため持っておりません」


なるほど。あのシジイの名前はガイアスというのか。今度転生してきたらボコボコにしてやる。


それと、天使は名前を持っていないのか。


このまま天使と呼び続けるのは味気ないので、何か名前をつけてやることにする。


ガイアスに仕える天使か…。『ガイア』というのは確かギリシャ神話に出てくる大地の神だったな。

だったらここは同じくギリシャ神話繋がりで名付けることにしよう。


「それなら・・・ノア、なんてどうだ?」

なんの捻りもないが、ギリシャ神話はそこまで詳しくないので、知っている名前で個人的に1番しっくりくる名前にする。


「・・・こんな、身分の低い私が、名前なんて頂いていいのですか?」


「うん。そのほうがこっちも呼びやすいし」


「ありがとうございます!ノア、ノア・・・いい響きですね」


とても気に入ってくれたみたいで良かった。

ただ、俺の顔を笑ってくれた罪は重いぞ。


嬉しそうにはしゃぐノアを尻目に、俺は企むのであた・・・。



次回3/29の夜更新。

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