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(閑話)ゴーストの日常

 吾輩は猫である。(うちの望が読んでくれた古い本にあったので真似しました。ごめんなさい)

 名前はゴーストである。何でも時々消えるからと望がつけたんだけど、別に消えたりしてないし、普通にいるのに見つけられないのは望がとろいのである。

 天敵のミチルが来た時は隠れるようにしているだけだ。ミチルはどうも苦手だ。よくいるでしょ、猫好きすぎて、そのくせ扱いが乱暴だから嫌われる奴。 

 その点望は合格。私が選んで下僕にしただけあって抱き方も、撫で方も気持ちがいい。時々勝手にいなくなることさえなければもっと良いけど。私が家から出られないのに、下僕が勝手に出ていくのは困ったものだ。 

 それでも以前の狭~い家から大変広い家に引っ越して、私の行動範囲も随分と広くなった。引っ越す前に望が部屋の中で木を育て始めて、狭い部屋がもっと狭くなった時は困って、なんとかしなさい、と命じたのだ。そうしたら広い家に移った。さすがに優秀な下僕だと褒めてあげた。 何故かミチルまで同じ家に引っ越して来たのは納得できないが私の後を追っかけてきたに違いない。いくら好かれても迷惑なのにしょうがない奴だ。


 引っ越したらプリンスがいた。プリンスは私のお気に入りだ。望が言うには私の食事がすごくおいしくなったのはプリンスのおかげらしい。感謝の気持を込めて時々撫でさせてあげている。


 この間から望がアフリカというところに出かけている。出かける前に謝っていたから、許してあげたんだけど思ったより長く帰って来ない。こんなに長くいなくなるんなら許すんじゃなかった。

 プリンスと、ついでにミチルもいない。家の外には人がいるが、家の中にいるのは人間ではなくて機械だけだ。私は賢いから、自分のご飯は自分で用意できる。私専用のおーとしぇふを持っているのだ。退屈だから食べすぎた。一日一回は外の人が入ってくるが、私は出ていかない。

 退屈なので、部屋の外にあるてらすでお昼寝をする。それから、てらすにある家にいる木を見る。透明の家には鍵がかかっていて、木と遊ぶことはできないが、眺めていると、時々風もないのに葉っぱが動いているような気がする。遊ぼうと思って、戸をガリガリしてみるが開かない。ちょっとあの葉っぱを食べてみたいんだけど。


 やっと望が帰ってきた。わざわざ私がお出迎えしてあげたので嬉しそうだった。 それなのに又すぐ出かけていった。もう許してやらない、と思ったが、今度は割と早く帰ってきて、すごく謝って特別美味しいご飯も出してくれたので、少し撫でさせてあげることにした。

 でも、なんで木の葉も一緒に撫でているのかわからない。 木なんて一緒にいても動かないし、面白くないのに。それに、あの木は怪しい。時々じっと私を見ているような気がする。風もない家の中で葉っぱを動かしている。葉っぱを食べようとしら、葉っぱがギザギザになって、口が少し切れた。そのうえ、触ったところはしばらく痛かった。それで齧るのは諦めたが、望が撫でているのを見ると、ギザギザしていなくて、柔らかそうなのだ。 絶対怪しい。望に怪しいから気をつけろと言っているのだが、望はすっかり騙されている。あの木も望の前ではかわいこぶってる。仕方がないから私が見張ってあげている。これ以上怪しいことをしたら飛びついて引っ搔いてやるつもりだ。なんだかんだ言っても私の大事な下僕だ。変な木に引っかかっては困る。


 おっと、望が帰ってきた。私を呼んでいる。本当に甘えん坊なんだから。



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