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70. マックのメッセージ その3

「問題がある?じゃないでしょ。問題しかないと思うわ。 一体どう説明するつもりなの?」ミチルが珍しくプリンスに鋭い目を向けた。


「望さえ良ければうちの研究所が新種の開発に成功したと発表するつもりです。勿論、望に利益の分配はします」


「僕はそれで構わないよ。利益なんて別にいらないし。もしグリーンフーズの研究所で僕の手を離れてもきちんと育てられる方法を確立してくれるなら、もっといろいろな果物を作ってみたいしね。それで人間と植物がもっと近くなったら嬉しいし」


「望は本当に呑気なんだから」 ミチルが呆れたようにぶつぶつ言っている。


「ミチルの心配はもっともですし、望を表に出さない、と言っていた私がこれを推進するのは裏切りのように見えるかも知れません。しかし、私はこの果物達は今の世界を一歩も二歩も進めると思うのです。現在の食生活は平均的収入の人々にとって決して理想的なものではありません。IV食品と、それに投入している種々の栄養剤のお陰でなんとか栄養が足りていますが、食べる楽しみは満たされません。グリーンフーズの研究所でも、栄養だけでなく、食べる楽しみがあり、しかも万人が購入できる価格の食物を生産するのに研究を重ねています。この果物が大量栽培できるならば、それが叶うかもしれないのです」


 いつになく熱くなっているプリンスの言葉にミチルが黙って頷いた。


「僕もこの果物が増えてくれれば嬉しいよ。実はA&Aにも持っていってマックの牧場に植えてみようと思ってるんだけど、グリーンフーズが開発したということだと、それはまずいのかな?」


「その事は考えています。私と望の希望はこの果物を世界に拡げることですから、連邦だけに留めることはできないでしょう。ただ、望の名前が表に出ないようにするために、A&Aにグリーンフーズの研究所を作り、この栽培法を拡めてはどうかと思っています。望は、どう思いますか?」


「それができれば何よりだと思うけれど、いくらグリーンフーズでもA&Aに進出できるの?」 望が疑問に思ったところで、執事姿のハチが現れた。


「ミスターウォルターからのメッセージの一つが再生可能になりました。メッセージを再生しますか?」


「えっ、そうなの? じゃあお願い」


ハチの姿が消えて、マックが現れた。


「望、君がこのメッセージを見ているということは、A&Aで政治的な圧力、おっと間違えた、駆け引き、が必要な状況にいる、ということだね。例によって、君に渡したLCに言えば信用できる政治家、信用できないが、利用できる役人その他の詳細がわかるからLCに命じてくれ。私がいなくなってからどのくらいの期間がたったかわからないが、LCは適宜自動アップデートしているはずだ。私から言えることは、A&Aはインヒビターを使っていないので、その事をよく考えて相手をするようにしなさいということだ。誰もが理性的に行動すると思わないように。では君の幸せを祈ってるよ」 今、圧力、っていったよね、マック。



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