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62. 反撃 ?

「プリンス...」 プリンスの言葉に驚き、胸が一杯になった。プリンスは、望にとっても勿論一番の親友だ。しかし、望のためにこれほどの覚悟を持ってくれているとは考えたこともなかった。


「有難う。僕はそう言ってもらえて本当に嬉しい、でもプリンスに迷惑をかけたくないんだ」 申し訳なさそうに望がプリンスを見た。


「望、もし君がご実家に帰って、家に引きこもったとしても、この状況が変わると思う? この家から出たことで一層激しい干渉が始まるよ。一体何時まで家に閉じこもっていられると思う?」


「それは…」 いつになく強い口調のプリンスの言葉に、望が言い淀んて俯いた時、プリンスのLCが門にリーが来ていると知らせた。 プリンスの許可を得て、護衛がリーを部屋まで案内してきた。


「会長、珍しいところでお会いしますね」 リーは機会があればミチルの家のドージョーで訓練しており、その時に望の祖父とも手合わせを何度かしているので、親しい間柄だった。


「ライ君、久しぶりだな。今日は望とミチルが世話になっておるから、ちょっとご挨拶に伺っておる」


「もしかして、望を連れて帰ろうなんて思ってらっしゃらないですよね?」 遠慮のない口調でリーが言った。


「まあ、いろいろとうるさくなってきておるから、確かにそのつもりではあったんだがな」 そういいながらプリンスの方を見る。迷っているらしい。


「リー、良いところに来てくれました。望とおじい様は私に迷惑をかけたくないから、ここを出るとおっしゃっています。私は、望の安全のためにはここにいる方が良いと思います。リーはどう思いますか?」


「俺は、プリンスの言う通りだと思うぜ。ここにいれば、外野は望がグリーンフーズの保護を受けていると勝手に思ってくれるから、滅多なことでは強硬手段には出ないだろ? もし、強引な手段に出る奴らがいてもここはある意味要塞だからな。ここ以上となると、A&Aのマックの家だろうな。あそこの自衛システムはすごかった。いざとなったらあそこに立てこもれば第3次世界大戦くらいなら乗り切れるんじゃないか」 


「第3次世界大戦って...」 望があきれていると、後ろでミチルが(戦闘バカ)と呟いた。


「それほどの状態になるとは思わんが」 亜望が苦笑いをした。


「それに、プリンスを見くびらない方が良いぜ。この位なんでもないよな?」 プリンスを見ると、その通り、とばかりに頷いている。


「それより、俺の家にまで最近情報を求めていろいろと言ってくる奴らが増えてんだ。この間のブレイブ ニュー ワールドの件までどこかで聞きつけて問い合わせがあったぜ。考えてみたら、あの時は望を呼びつけて悪いことしたな」 


「そうよね。思慮と、修業が足りないわ」 ミチルが冷たく同意する。


「ミチル、あれはプログラムの故障だったんだからリーのせいじゃないよ」


「時間内に敵を倒していれば問題なかったんでしょ?」


「だからプログラムのバグで異常に相手が強かったんだよ。その証拠に望が直してからはすぐに倒せたろ」 リーが不貞腐れている。


「そんなことより、リーの家に問い合わせというのは、どこからですか?」 話を戻そうとプリンスがリーに問いかけた。


「うちの父親の派閥関係の大物だけど、俺の調べでは、どうやらミラクルと関係があるらしい」


「ミラクル フーズですか」 ミラクル フーズはグリーンフーズのライバル企業だ。規模はグリーンフーズの半分以下だが、マーケットシェアを増やすために割と汚い戦術もとることで知られている。


「その他にも幾つか妙なさぐりもあったから、ミラクルだけじゃないけどな」リーは事も無げに言うが、リーの家は政治家一家なだけに、そんなに簡単な事ではないはずだ。


「ごめんね、リー。僕のせいでリーのご家族にまで迷惑をかけてしまって」 


「俺は全然気にしてないから、気にするなよ。政治の裏側じゃ、こんなこと日常茶飯事さ。望が気にするかと思って今まで言わなかったんだが、もうそろそろ反撃に移ってもいいんじゃないかと思ってさ」


「反撃?」 


「そうさ。迷惑をかけられっぱなしにしておくことないからな。ここはうるさい奴らに思い知らせてやろうぜ」 そんなことができるのだろうか? 


「そうですね。せっかく望とミチルがここに引っ越して来てくれて、私の生活も楽しくなったのに、その生活を脅かすものがいるなら、少し警告しておいた方が良いでしょうね」 何故かプリンスが乗り気になっている。 



読んでくださって有難うございます。

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