表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/295

54. 地下街でトラブル?

「望様、ギリアン ジョーンズ様からコールが入っておりますが、どうなさいますか?」執事モードのハチが訊いた。


 家に帰ってひとしきりゴーストとカリのご機嫌をとって、漸く許された望は、ゴーストを膝に乗せ、カリを横に置いて、自室のソファに座ってくつろいでいた。ゴーストはまだちょっと怒っているようで、撫でてもそっぽを向いているが、少なくとも大人しく膝の上に座っているのだから、もうそろそろ許してくれるつもりだろう。


「ギリアン ジョーンズ? 聞いたことがないな。僕の知ってる人?」


「記録にある限り、初めてコール戴いた方です」じゃ知らない人だよね? それでも、僕のLCへコールできるということは、誰か知り合いの紹介のはずだ。仕事は入れていないから、おじい様ではないと思う。それに、もしおじい様なら、先に望に連絡をくれるはずだ。


「出るよ」とにかくどこから望のLCのコンタクトを手に入れたのか知りたい、と思って話してみることにした。


「かしこまりました」


執事姿のハチが消えて、高そうなスーツを着た30代に見える男性が現れた。北欧系だろうか。きれいにカットされた金髪に、薄いブルーの瞳が、少し酷薄な印象を与える。


「突然連絡して申し訳ない。失礼は承知しているが、緊急な用件でね」申し訳ない、と言いながら、全くそう思ってはいない口調だ。命令することに慣れた傲慢な態度にあまり好感が持てない。出るべきではなかったかもしれない。


「初めてお目にかかると思うのですが、誰かの紹介ですか?」 そうだとすると、紹介した人間からは何も聞いていない。 


「リー ライという学生を知っているかい?君の友人だと言っているが」 意外な名前を聞いて思わず背筋を伸ばす。


「はい、彼は僕の友人ですが、彼が僕のコンタクトを貴方に教えたのですか?」 何故リーが直接連絡してこないのだろう。


「私は、地下街にブレイブ ニュー ワールドという店を経営しているんだが、ちょっとホロゲーム中に事故があってね、彼と、一緒に来た友人3人が困ったことになってるんだよ」


「事故?リーは大丈夫なんですか?」 青ざめて望が問い詰めるが、男は軽く手を振って望の心配をいなした。


「ああ、別に怪我をしてるわけじゃない。ただ、閉じ込められたんだよ」


「閉じ込められた?」 どうして? どこに?


「それで、彼が店の者に、君に連絡をとってくれと言うんだ。ゲームに入るときにLCを外しているんで、直接連絡をとれないからと、店の者に頼んできたんだが、店の者も君みたいな有名人に連絡するのはまずいんじゃないか、と私に連絡してきた」


「LCを外した?ゲームでそんなことするんですか?」望には信じられない。


「プログラムによっては現実感を出すためにLCをセキュリティに預ける人は多いよ」


「リーは僕にどうしろというんですか? プログラムの事故だったらお店で処理しますよね?」


「ああ勿論うちでも現在全力で修理にあたってる。ただ、かなり時間がかかりそうなんだ。ライ君がいうには、君ならすぐなおせるはずだから、君に来てくれるよう頼んでくれ、とのことなんだがね。正直私としてはこちらの問題だし、時間をかければ修理できるんで、部外者の君に頼むのは心苦しいんだがね」

 本当になおせるのか、とちょっと疑わしそうに望を見ている。


「わかりました。すぐ伺います」


「そうかい。有難う。それじゃあライ君にはそう伝えるよ」 大して有難くもなさそうにそう言って、彼の姿が消え、執事のハチが現れた。


「おでかけですか?ミチル様とアレクサンドル様に連絡致します」


「うん、お願い」


結局地下街へ行くことになった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ