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53. テストのあとは

「終わったあ」

 暗くなった机の上のスクリーンを見て望が安堵の声をあげた。3日間に亘って行われた学年末テストが漸く終わった。結果はともあれ、解放感で心が浮き立つ。アフリカから帰ってからの毎日は遅れを取り戻すためもあって寝る時間も惜しんで勉強した。おかげで家で待っていたゴーストを余り構ってあげられず、ゴーストにもカリにも寂しい思いをさせてしまった。今日は早く帰って彼らのご機嫌をとらないと。


「望、お疲れ様。その様子ならテストは大丈夫だったみたいですね。頑張りましたからね」 プリンスが望の嬉しそうな顔を見て微笑んでいる。


「結果はわからないけど、終わって嬉しい」 大丈夫か、と言われるとそれ程自信はないのだが。


「プリンスのお陰で一応全範囲を見直せて、本当に助かったよ。有難う」 プリンスが掻い摘んで説明してくれなかったらとても全部を見直すことはできなかった。


「私も望に説明することで理解が深くなりましたからお互い様ですよ」 プリンスはそう言ってくれるけれど、彼は復習の必要なんかなかったんじゃないかな、と思う望だ。


「望、どうだった?」 リーが教室に入ってきて訊いた。 ミチルも一緒だ。


「評価はわからないけど、一応全問回答したよ」 


「一応って、何か書いとけば良いってわけじゃないのよ。また何か頓珍漢なことを書いたりしてないでしょうね?」 ミチルが疑わし気に訊いた。どうもバルカニズムの答案をまだ根に持っているようだ。


「あれは面白かったからいいじゃないか。それより、テストも終わったし地下街にでも行かないか?」


「地下街?何しに行くの?」地下の遊興施設に行く学生がいることは知っているが、望達は滅多に行くことはない。


「ああ、何人かでホロゲームに行こうかって。新しいプログラムが入ったそうなんだが、それがすごいらしいぜ。なかなか予約が取れないんだが、券を持ってる奴がいて、俺も誘われたんだ。皆も一緒にどうかって言われてさ。明日から1週間も休みだし、たまにはどうだ?」 リーは行きたそうだ。


「悪いけど、僕は家に帰ってゴーストやカリの相手をしないと。今朝なんて拗ねて挨拶もしてもらえなかったから」 


「そうですね。私もここ数日あまり構ってあげられなかったので家に帰ってうちの子たちの相手をしなくてはいけません」 プリンスも望に同意する。


「すっかり子育て中の親だな。望が行かないんじゃ、ミチルは聞くだけ無駄か」 リーはミチルを見て言った。


「リーだけで楽しんでらっしゃいよ。面白かったら教えて頂戴」 ミチルが素気無く言った。


「しょうがないか。じゃ行ってくるよ」 リーはそう言うと、教室の外で待っていたらしい数人の生徒と一緒に出て行った。

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