47、マックからのメッセージ 再び
「やあ望、君がこれを見ているという事は、今アフリカ大陸にいて、問題を解決するために政治力か、軍事力、或いはその両方が必要という事だね。君には力のある友人達が居るから、大抵の事は解決出来ると思うが、人に頼りたくない時もあるだろうな」 思わず、頷く望。
「もしそんな事があったら、表だって財産目録には入れていないが、君に譲った財産がそこにある。何故そんな事をしたのかは、私と連邦の関係を知っていれば分かるだろう? 一時期連邦は私の財産を全て押さえようとしたからね。今は連邦にそんな権利はないことが確定しているが、何があるか分からないから連邦にある財産は隠したままにしておいた。合法的な手段だし、今は法的に君のものだ。殆どが自然保護の為に所有しているものだから利益などはあまりあげていない。必要ないしね。ただ、いざと言うときは大きな力になるはずだ。詳しい情報は君に譲ったLCが持っている。
アフリカ地区は急激な発展を遂げたが、急すぎて様々な弊害が見られる。君が政治に深入りする事はないと思うが、政治的な繋がりが必要な場合は、LCに言って信用できる政治家のリストを貰うといい。彼らなら私の息子とも言える君の力になってくれる筈だ。じゃあ、また」 軽く手をあげてマックの姿が消えた。
「マック、ありがとう」 懐かしさに涙ぐみそうになりながら呟いた。息子じゃなくて、娘になっちゃたけど、という内心の声は聞こえなかった事にする。
「ハチ、マックが僕に譲った、アフリカにある財産を教えてくれる?」
『かしこまりました』
目の前に詳細がスクロールされていく。
「ちょっと待って。こんなにあるの?後どのくらい?」何だか前にもこんな事があったような気がする。
「やっぱりプリンスとリーにも見てもらった方が良いよね?」 自分で何とかしよう、という決心を横にやってそう呟いた。
『それが宜しいかと存じます」 自分に訊かれたと受け取ったハチが出来る執事の声で言った。
「なるほど、確かに殆どが自然保護区とその周囲にある土地と、地元産業ですね。アフリカの部族の伝統産業もかなりあります。企業としての利益はあまり望めませんが、社会的な意義は非常に高いものばかりです。マックは人に知られずにこんな事をしていたのですね」 プリンスが感心している。
リストを見ただけですぐそう判断したプリンスに感心する。望にはさっぱりわからなかった。みんなにマックからのメッセージと、リストを見てもらってやっぱり良かった。
「ああ、見直したな。 世間で言われているような悪人じゃないのは勿論わかってたが、大した人だったんだな」リーもすっかりマックを見直したようだ。
「それで、この情報で、今回のことの助けになるかな?」
「大丈夫ですよ、望。 これだけの政治家と繋がりがあるなら、心配いりません。二名程この地域の実力者が入っています。早速連絡をとってみましょう」 プリンスが自信たっぷりに断言した。