43.作戦会議2
「永住の地を探す旅に出る?」リーが素っ頓狂な声を上げた。そんな風に言われると昔の人が新しい土地を求めて新天地を目指す、みたいじゃないか。今は昔と違ってどこへ行ってもそんなに遠くはないから、そんなに大変でもないと思うけど。
「大げさにい言わないでよ。僕だけが行ってみんなに感じてもらってもいいんだけど、やっぱり実際に行ってもらったほうがいいと思うんだ。なんといっても一生のことなんだから」
「一生かあ。確かに俺達動物と違って、動かないからな。どこに根を張るかは最も大切なことだよな」
「それで、ここにある木を全部載せてあちこち回って歩くつもりなの?」 ミチルが信じられないというように望を見た。
「一度にみんなってわけじゃないよ。僕が行ったところの記憶からイメージを伝えて、おおよそ誰がどこに行きたいか決めているところなんだ。それから実際にその場所に行ってみて、安心できる場所を見つけるつもり」 頭の中にイメージを描くのは望の得意とするところだ。みんなに望の行ったことのある場所をいろいろと見せている。
「なるほど。私の子たちも参加したいと言っているのですね?」 プリンスが複雑な表情で言った。
「プリンスの育てている子たちは、みんなプリンスが大好きだからね、プリンスが時々来てくれるところにいたいみたい」 それでも、大地に根を張りたいのだろう。
「それは、うれしいですね。望の子たちは遠く離れても大丈夫なんですか?私の子たちよりもっと懐いているのは間違いないでしょうに」
「カリは側にいたいといってくれるけど、後の子たちはちょっと冒険したいみたい。それにこの頃では遠くても交信できるから、寂しくないって」
「そうですね。私も望のように離れても彼らと話ができれば寂しくないのでしょうけれど」プリンスが羨ましそうだ。
「プリンスはみんなの気持ちがわかってるじゃないか。みんなもプリンスの気持ちはよくわかっているよ」 望が焦ってフォローする。
「そうですね。望のおかげです。私はあの子たちの気持ちを感じられるようになって、世界が広がりました。この気持ちを少しでも多くの人に知って欲しいので、望の計画には全面的に協力します」 プリンスがそう言ってくれて、本当に力強い。望一人ではできないことがいろいろとありすぎる。
「私も別に反対しているわけじゃないわよ。望が何をしてもどうせついていかなくちゃならないんだし」 ミチルが諦めたように言った。
「俺も行くぞ。世界中を回る旅なんて面白いこと、絶対にやる。どこから行く? アマゾン辺りか?あそこはまだ自然があるだろ?」リーが一番乗り気かも。
「最初は、オーストラリア砂漠の開発地だよ。あそこへ行きたいという子が幾本かいてね。 それから、まだはっきりはしないけど、アフリカの草原のあたりに非常に興味を示した子もいるから、まずこの2か所に行ってみようかと思うんだけど、どうかな?」
「俺はどこでもいいぞ。どこに行っても望といると面白いことになりそうだしな」 僕何も面白いことなんてする予定ないんだけど。
プリンスとミチルも同意してくれたので、次の週末にとりあえず砂漠に向かうことになった。