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42.作戦会議

「成程、植物と人間が分かり合える世界、ですか。望らしいですね」プリンスがほほえましそうに望をみてから、考え込んだ。


年が明けて3日目、望とミチルはプリンスの家に戻っていた。リーも中国地区の家から自分のアパートに戻り、プリンスの家に来ている。そこで望は自分が決めたこれからの目標を皆に話した。


「そうだな。望だったら世界中の植物を味方に、世界征服できるかもな」 なんでリーはいつも世界征服したがるの。


「植物学の専攻は望にはお似合いね。事業のために経済学、とか言うかと思ったけど」 ミチルは現実的なことを言って、意外にも反対しなかった。


「それも考えたけれど、どうも僕には興味が持てなくて。そういうことはそれに適性のある専門家に任せた方が良いと、マダムも言ったし」


「あら、マダムはアドバイスもするの?」 それじゃ私もお願いしようかしら、とミチル。


「いや、基本的にアドバイスはしないけど、こちらの迷っていることを相談すると、それぞれについて、将来どうなるかを教えてくれるから、とっても助かるんだ」 ハチは遠慮なくアドバイスもするけどね。


「ちなみに望が経済学を学んで事業運営に乗り出した場合はどうなるんだ?」 リーが面白半分で訊いて来た。


「事業がすべて傾いて無一文になる可能性が90パーセント」 とミチルがマダムの声色で言った。


「そんなこと言われなかったよ、失礼だな。その場合でも現状維持の可能性が80パーセントだよ」 望がムッとして言った。正確には78パーセントだったが、大した違いではない。


「へえ、後の20パーセントはどうなる予想?」リーが興味深げに訊いた。


「そんなこと、どうでもいいじゃないか」 望がちょっと困っているのを見てプリンスが助け舟を出す。


「そうですよ。占いはあくまでも占いであって、この占いを知ったことで未来が変わることもあるわけですからね」 プリンスまでマダムの口真似をしている。


(19%の確率でグリーンフーズが全事業を引き継いでいる、何て言えないよね)


「兎に角、事業の運営はこれまで通り専門家に任せて、僕は植物学を勉強しながら、世界中に植物への理解をひろめたいと思うんだ。みんな協力してくれるって言ってるし」


「みんな?」 自分は訊かれていないのに誰のことだろうか、プリンスがちょっと傷ついた顔で、ミチルとリーを見た。2人は慌てて首を振った。


「うん、みんなも大分おおきくなったから、カリを通さなくても話せるようになったんだ。もう少ししたら、根付くのに気に入りそうな場所を見つけてあげようと思うんだ。世界のいろいろなところで、友達になれる人間を見つけられたら良いと思わない?」プリンスの様子に気がつかない望が続けた。


「望、みんなって木のこと?」ミチルがホッとしたような、呆れたような口調で確認した。


「勿論そうだよ。カリは僕のそばが良いっていうから、ここに残るけど、後の子達は実をつける前に、永住地を見つけたいんだって。僕はせめて実をつけるまでは一緒にいたかったんだけどね」望が少し寂しそうに付け加えた。

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