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25. 望、人気がでる?

「ねえ、天宮くん。今度の終末、僕の家で、シモーヌ・エ・ヴァンが参加するパーティがあるんだけど、来ない?勿論君の友達も大歓迎だよ」


「えっと、コク君、有難う。本当に残念だけど、この終末は祖父と約束しているので」 笑みを浮かべて断ると、まだ何か言おうとしたクラスメートを遮って、ミチルが腕を引っ張った。


「望、皆待ってるわよ。一寸急いでいて、ごめんなさいね」後半はクラスメート達に愛想良く謝りながら教室の外に望を連れ出した。


「誰が待ってるの?」誰かと約束してたっけ?と思いながらミチルを見る。


「馬鹿ねえ。捕まってるから助けてあげたのよ。本当に要領が悪いんだから。あんな生ぬるい断り方じゃ、いつまでたっても皆あきらめないわよ」ミチルはさっさと校門の外に出て動く歩道に望を押し込んだ。あまりに素早い動きで気が付いたら歩道に乗っていた。


「なんだかこの頃良く誘われるんだよね。結構面白そうなイベントもあるけど、おじい様からしばらくは、週末ごとに家に帰るように言われてるから、ちゃんと全部断ってるんだけど」 シモーヌ・エ・ヴァンは新進の歌手で実物が見られるチャンスなんて滅多にないから、ちょっと残念だった。


「何のんきなこと言ってるのよ。何で急に誘われるようになったかわかってるんでしょうね?」


「勿論わかってるよ。僕がマックから遺産を受け継いだから今までの『成り上がり死の商人一族』から格上げになって、上流階級の仲間入りをしたと思われているせいだろう?多分今なら僕のことは話のタネになるだろうし」


「それだけならまだ可愛いものよ。望はのほほんとして見えるから、どんな罠をしかけられるかわかったものじゃないわ。私やプリンスと一緒じゃない限り、絶対に誰の誘いにものっちゃだめよ」


「のほほんって」文句を言おうとしたらミチルにまた歩道から押し出され、いつの間にかアパートの前についていた。


「部屋から一人で出しちゃだめよ。外出するときは必ず私をよんでね、ハチ」


「かしこまりました、ミチル様」


 部屋を確認してから、望を部屋に押し込んで、ミチルが言った。


「なんでハチに命令してるのさ?ハチもなんでミチルの命令に従ってるの?」 


「望に言うよりハチに言う方が間違いないからに決まってるでしょ」


「有難うございます、ミチル様。望様が、ご自分の安全に関しては、ミチル様にお任せするとおっしゃいましたので、望様の安全に関するご命令には従うようにしております」


「そんなこと言ったっけ?」


「はい。ご命令をリプレイいたしましょうか?」


「いいよ、しなくて。信じるよ」 LCとこの手の言い争いをして勝ったことは今まで一度もない。


「ところで望、今夜はどこで寝るの?」ミチルが部屋を出たところで訊いた。


「どこって、ここに決まって...」言いかけて部屋の中を見て言葉に詰まった。部屋の中に置いた数十個の植木鉢からはそれぞれ10センチから1メートル位の木が育ち、枝が横に伸びている木もあるため、狭い部屋にはしまってあるベッドを出す床がなくなっていた。


「うわぁ、君達大きくなるのが速すぎるだろ」

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