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23.望の子育て講座

「すごいな、まるで植物園になってるぜ」登校前に、ミチルと共に迎えに来たリーが望の部屋を見て驚いている。


「何をしたのよ、一体どこからこんなに植木を持ってきたの?」ミチルが呆れている。

 昨夜望を送って来たときに部屋を確認したが、その時はいつもとかわりない狭くて何もない部屋だったはずだ。それが今は足の踏み場がないほど、グラスや皿が並べられ、どの入れ物にも小さな植物が芽を出している。


「それにカリはまた大きくなったんじゃないの?もうすぐその器には収まらなくなりそうね」机の上の白い器に植えられていた木の芽は、既に20センチ程に育っている。


「つい調子にのってしまって、やりすぎたみたい」望むは困ったようにそう言ってから、ラストドリームでマザーから教えてもらった植物の育て方を思い出したので、こちらでもできるかどうか果物の種を使って試してみた、と説明した。


「それで、できたってわけか」


「多分。実がなってみないと成功したかどうかはわからないんだけど」


「それにしても何でこんなにたくさん…こんなにいろいろな果物があったの?」ミチルも果物を貰ってきたけど、バナナとマンゴー位だった。


「これ全部マンゴーなんだ。最初は食べて種を使ってたんだけど、流石に何個も食べられないから、身がついたまま発芽させてみたら、その方が早く芽が大きくなったんだ」


「ふ~ん。すぐに芽を出させるなんて、超能力者だな、望は。でも、マンゴーばっかりこんなに育てて果樹園でもやるのか?」リーが感心しながらも、呆れている。


「果樹園にするつもりはないけど、確かにどこか土地を見つけて植えてやらなくちゃね。マンゴーばっかりになったのは、取り敢えず使える果物の種がそれしかなかったからだけど、同じマンゴーの実がなるわけじゃなくて、それぞれ違う実がなるはずなんだ」


「違う実?同じマンゴーの種なんだろ?」


「うん。育てるときに、自分の希望する果物をイメージしていくわけ。ちょうど親が子供を育てる時にどんな子供に育って欲しいか願ってそれに合わせた教育をするような感じかなあ。願っても、そのとおりに育たないことが多いのも人間の子育てと同じだよね。たまには、思ったよりずっとすごい実をつけることがあるのも人間の子供と同じで、楽しいよ。リーもやってみる?」


「俺にもできるのか?」リーが興奮して一寸前のめりになった。


「できると思うよ」


「絶対やってみたい。マンゴーはまだあるか?」


「ごめん。僕の持って帰った分は全部つかっちゃったんだ」


「俺の部屋にあるから、とってくる」とリーが部屋を飛び出そうとするのを、ミチルが腕を掴んで止めた。

「何言ってるのよ。もう出かけないと学校に遅刻するわ。お遊びは帰ってからにしなさい」


「痛たぃ。お遊びって、これは世紀の大発見だぞ。学校に行ってる場合か」


「もう3日も休んでるのよ。今日遅刻するわけには行かないわ」望までミチルに睨まれてビクッとなってしまった。


「リー、最初は時間がかかると思うから、帰ったらやろうよ」宥めるようにリーに言った。


「しょうがねえな。望がいなくちゃできないもんな」リーも諦めて学校に行くことになった。

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