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8.まず防衛??

「よし、何をするにしても、まず身の安全確保が大切だからな。どんなおもちゃがあるか、確認しなくちゃな」

おもちゃって言っちゃってるし、リーはただ新しいおもちゃで遊びたいだけのような気もするが、皆の安全が大事だというのは間違いないので、研究室に行くことになった。



リーに急かされて、ハチの案内で、地下25階までのエレベーターに乗っていた。


「あんなところにエレベーターがあるなんて、リーはどうやって見つけたの?」

エレベーターは、正面玄関のすぐ横だったが、見たところ見通しの良い窓になっていて、そこから見える景色は外の広い草原である。それが実は外を映したホロイメージだとはとても思えなかった。


「なんとなく、変だと思ったのさ。俺は勘が良いからな」


「凄いね」ちらっとミチルをみる。これは褒めるところでしょ。


「窓の外にカンガルーの子供を見かけて、近道して窓から出ようとしただけじゃない。頭をぶつけて気がついたのに、勘?」ミチルににべもなく切り捨てられる。そんな事してたのか、リー。


地下25階はスペースプレーンの格納庫だということで、そちらを先に見たがって興奮するリーをミチルが黙らせ、24階で降りた。そこは真っ白な空間で、ゆったりとした間隔で幾つかのワークステーションがあった。望達が部屋の入口に歩み寄ると、白のユニフォームらしい服を着た男性が近寄ってきた。


「望様とご友人の方々ですね。お待ちしておりました。私はこの研究所を任されておりますユージーン ノガミと申します。ユージーンとお呼びください。ハチ殿から防衛関係の道具を主に見たいと伺っておりますが、間違いございませんか?」ハチ殿? LCに敬称をつけているということは、彼はホロなのかな?人間にしかみえないけど、執事のハチもそうだし。


「はい、そうです。できれば個人の防衛器具にどんなものがあるか見せていただきたいと思います」返事をしながらも、じっとユージーンを見つめる。


「私は、本物の人間です、望様」望の視線の意味がわかったのか、苦笑しながらノガミが言う。


「すいません。この家のホロイメージはあまり精巧で、全く区別がつかなくて」慌てて望が謝った。


「そうですか?望様にそう言っていただけると光栄です。私も望様の作られたホロを見たことがありますが、本当に素晴らしくて、次元の違うものでしたからね。あれをご自分の脳だけで作られたと聞いたときは、本当に驚きました。我々は、というかほとんどの者は、コンピューターのプログラムでイメージを作成していますから」


「それほど難しいことでもありませんが、プロの方に褒めて頂けて、嬉しく思います」昔からやっていて望の周りでは当たり前のようになっているので褒められることは珍しく、ちょっと照れてしまう。


「難しいことではありませんか。はぁ~では、お役にたちそうなガジェットを幾つか用意いたしましたので御覧ください」呆れたように首を振るユージーンに、丸テーブルに案内された。


「これは、何ですか?」 アクセサリーのようなものから、見慣れた形のLC などとならんで、半透明のゼリー状の物体がおいてある。プリンスがゼリーを指先でつつきながら聞いた。


「それは、まだプロトタイプですが、新型のLCです」と言ってユージーンがゼリーを掴んで自分の腕に乗せた。ゼリーは薄く広がって、ユージーンの腕の色と同じになったと思うと、全く腕にしか見えなくなった。


「どうぞ、触ってみてください」ユージーンに促されて、プリンスがユージーンの腕にそっと指で触れた。


「感触も肌を触っているのと変わりませんね」感心したようにプリンスが言った。


「LCが狙われることが多いのでその対策用に開発しました」


「性能はどうなのかしら」ミチルが興味を持った様子である。そういえば、試合のときにキラを外さなくてはいけないことがあって不便だと言っていたっけ。


「性能は従来型の者よりも20%以上改良されております」ユージーンが自信たっぷりに答えた。


「それは凄いわ。強度はどうかしら」


「従来型に比較すると、衝撃に対する耐性で、200%以上ございます。ただし、熱には比較的弱く、摂氏300度を超える熱に晒されますと硬化してしまいますのでお気をつけ下さい」


「衝撃耐性が高いのは素晴らしいわね。そんな高温に晒されることはあまりなさそうだから、私は是非このLCを使ってみたいわ。いいでしょ、望」


「僕はかまわないけど、ユージーンさん、これはプロトタイプとおっしゃってましたよね?僕たちが使っても大丈夫ですか?」


「はい、勿論です。ここにあるものはすべてお使いいただけます。まだ商品化していないだけで、安全性のテストも済んでおります。宜しければ皆様全員のLCをこのタイプに移し替えできますが?」ユージーンが望を見て、聞いた。


「僕はまだ、いいや」ちらっと入口に立つ執事姿のハチを見て、望は答えた。勿論、ハチの外側を移し替えることはできるだろうけど、このLCはマックから譲られたものなので形状を変える思い切りがつかなかった。


「俺はお願いするよ」リーが慌てたように声を上げた。


「私も、今はまだ遠慮しておきます。ブラクは祖父母からの誕生祝で、つけていないとがっかりされるかもしれませんので」少し残念そうにプリンスが言った。


「ではお二人の分をご用意します」ユージーンはそう言って、後ろに控えていた女性に何か指示を出した。


「すぐに持ってまいります。その間にこちらをご覧ください」










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