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5.マダムの予言

この占いによってあなたが未来を知った時点で未来は変化するかもしれません。予測のつかない未来をお楽しみください。

数秒後、前回見たジプシーのような女性が現れた。望が命じたわけではない。占いの時は姿を見せるようプログラムされているのだろうか。

マダムノストラダムスは水晶玉に両手を当てると、目をつぶった。


前はなかったパフォーマンスだ。


(前より本物らしい感じだなあ。どうしたんだろう)


(これは、最大限のデータを使ったシミュレーションをする時に使われます。難しいシュミレーションの場合、幾分時間がかかります。マスターウォルターは、その待ち時間をごまかすための演出だ、とおっしゃっていました)


(成程、有難う、ハチ)


(どういたしまして) ハチは、学び、進歩するLCなのだ。


「お答え、申し上げます」 マダムがゆっくりと目を開けて、望を見た(ように見えた)。


「望様がマスターウォルターから引き継がれた現金以外の資産を売却しなかった場合、1年以内に望様が脅迫、誘拐等の犯罪に会われる確率は99%となります」


「99%!ってほぼ間違いなくじゃないか」


「はい、ご家族につきましては、ご両親は5%、天宮家ご親族は個人により異なりますが、25%から75%となります。ご友人に関しては、プリンス ラシニコフが75%、ただしこれは、プリンスの通常の危険度です」


「通常危険度?」驚いて思わず聞き返す。


「はい。望様の件での変化は1%以下です。リー ライは現在の33%から、85%まで犯罪遭遇危険度が変化致します。ミチル ヤナギは、99%となります」


「それじゃ、僕達は1年以内にどうなるの?」


「お答えしたのは、”遭遇率”で、その犯罪が成功する確率ではございません。成功確率は、ご両親で0~5%、プリンス ラシニコフで10~25%、リーライで15~20%、望様とミチル ヤナギが25~35%となります」


「うまく防げる確率の方が高いんだね」少しほっとして詰めていた息を吐いた。


「はい、ただし、この占いによってあなたが未来を知った時点で未来は変化するかもしれません。予測のつかない未来をお楽しみください」謎めいた微笑みを浮かべながらマダムが決まり文句を言った。


「それは、わかったよ。それで、もし僕が利権を売却した場合は?」


「もし望様がマスターウォルターから引き継がれた資産の、現金以外を売却された場合、売却される利権、売却先によって異なった変化が起きます。多岐に亘りますので、よろしければ、望様のLC、ハチ殿にお送り致しましょうか?」ハチに敬称をつけている。序列?があるのだろうか?


「そうだね。確かに複雑そうだね。じゃあお願いします」


「かしこまりました。他に何かご質問はございませんか?」


「今のところは特に。そういえば、マックも君にアドバイスをしてもらっていたの?」


「私は”アドバイス”ではなく、”予言”をしておりますが、マスターウォルターは、時々、参考のために、とおっしゃって、私の予言を聞いてくださいました。信じるのも、信じないのも自分の自由だ、ともおっしゃっていました」


「成程。有難う。僕も参考にさせていただいて、後は自分で考えてみます」


「はい、御用がございましたら、ハチ殿に言っていただければ参上致します」


「えっ、この水晶に触っていなくても大丈夫なの?」


「はい、ハチ殿からの指示で回線を繋げましたので、ほぼどの地域からでもお答えできます」


(ハチ、いつの間にそんな指示を)


(望様のご希望を叶えるのがLCの務めでございます)


「はぁ、まあいいや。有難う、マダム。とても心強いです」


「はい、お呼びを待っています」微笑んで、マダムの姿が消えた。あの水晶は一体何の役目があったのだろう?


望は気持ちを切り替えて、どこかの執事のようなハチを見た。


「じゃあハチ、各利権を売却した場合の情勢を、売却先毎に見せて」


「はい、かしこまりました。皆様でご覧になられますか?」


「皆様?」ハチが後ろを指さした。慌てて振り返ると、ドアの入り口には、プリンス、リー、ミチルの顔があった。







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