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227.グリーンサム?

「溶岩が流れた後からもうずいぶん植物が出てきてるね」 キラウェアの噴火で溶岩が流れた東側を歩きながらあちこちから顔を覗かせている木や草を見て望が嬉しそうに言った。プリンスの育てた木も溶岩の下から顔を出していた枝が少し大きくなって緑の葉をつけていた。


「植物は本当に強いですね」緑の葉を撫でてやりながらプリンスが同意した。望もあちこちに顔を覗かせている小さな木や草花にエネルギーをあげながら歩いている。今日はハワイ島の自然保護区にある滝までハイキングする予定だ。ミチルは勿論一緒だが、夏休みにパイロットライセンスを取ると言って忙しそうにしていたリーも久しぶりに同行している。


「おいミチル、望のあれ、どうなってるんだ?」 望とプリンスの後ろを歩きながらリーがミチルに訊いた。


「知らないわよ。もともと天宮の家はグリーンサム持ちが多いけど、あれはちょっと...」ミチルも望の後ろ姿を見ながら声を無くしている。 


「どうかしましたか?」 後ろの二人の様子に気が付いてプリンスが振り返った。ミチルとリーは黙って望の歩いた後を指さした。それを見たプリンスが驚いて立ち止まった。


「どうしたの?」 プリンスが立ち止まったのに気が付いて望が振り返った。プリンスが黙って望の歩いた後を指さした。


「わあっ、こんなに緑が戻って来てたっけ?気が付かなかったよ」 望の歩いた後をついてくるように小さな木や、緑の草、可愛い赤い花々が元気に広がっていた。


「望が歩くまではなかったわよ」 ミチルが呆れて言った。


「望、もう少し歩いてみろよ」 リーに言われて望が数歩進んだ。望の歩みをなぞる様に様々な緑が飛び出してきた。望が驚いて歩みを止めると、緑もその先には進まない。明らかに望の通った後だけが緑になっている。


「望、もう少し辺りを歩いてみて下さい」 驚いた後考え込んでいたプリンスが辺りを記録しながら望に指示した。望はプリンスの指示に従ってあちこちに歩いてみた。その結果あるあるラインを越えるとこの効果は止まることがわかった。 


「大体この地点を中心にして周囲500メートルに効果が及びますね」 プリンスがそう結論して、望にもういいです、と言った時には、望はくたくたで、むき出しだった山裾に緑の丸い草原が出来ていた。


「これがミステリースポットというやつか?」 リーがそれを見て言った。


「何か理由があるはずよね」 ミチルが言った。


「でも、ここだけで良かった。ずっとこんな風だったらどうしようかと思ったよ」望は心底ほっとした。


「確かに、それは困ります。Midas touchと同じで一見素晴らしい能力のようですが、オン、オフができなかったら大変不便ですね」 プリンスはそう言ってからこの場所を調べさせると言って研究室に連絡した。









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