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180. 警告

短いです。

「望、どうしました?何か気になることでもありますか?」 

 カリフォルニアから戻った一同は、夕飯を済ませ、リビングで寛いでいた。カリを膝に置いた望が何かを考えている様子にプリンスが尋ねた。


「ただぼーっとしている様に見えるわ」 いつものようにね、とコーヒーを飲みながらミチルが言った。


「ぼーっとしてたわけじゃないよ。僕だって考え事位するんだからね」 ミチルの言葉が耳に入った望がムッとして言った。


「へえ、本当に何か考えてたわけ?」 からかうようにミチルが言った。


「考えていたっていうか、ちょっと気になる事があって」 望が言い淀んだ。


「気になる事?」 フルーツジュースを飲んでいたリーが興味を惹かれたように口をはさんだ。


 三人に見つめられた望は困ってしまった。


「大した事じゃないんだけど、今日あの木と話しているときにちょっとね」


「そんな風に言われると余計に気になりますね」


「勿体ぶらないでさっさと吐きなさい」 軽く脅すようにミチルが言った。


「さっさと吐けだってよ、望」リーが笑っている。


「別に勿体ぶってなんかないよ。本当に大した事じゃないから」 望の言葉にも三人が黙って見つめてくる。望は諦めて説明し始めた。


「あの木がね、最初僕と話した時、あれは僕だったのか、と訊いたんだ。それで、前にも僕みたいな人間と話したことがあるのか、と訊いたんだけど人間と話したのは僕が初めてだって言ってた。ただ、よく似た感じの存在を感じたことがある、って言うんだ。木だと思ったけど、違うかもしれないって」


「望に似た感じのものですか?」 


「リスか何か?」 ミチルが言った。ムッとして望が答えた。


「違うよ。他の木からのメッセージかと思ったけれど、少し違うと思ったんだって。物凄く遠くからだってことはわかったそうなんだ。僕と話して、似てるから訊いたそうなんだ」


「メッセージ?」  


「どんなメッセージか、聞きましたか?」 プリンスが興味深そうに訊いた。


「それがね、もうよく覚えてないんだそうなんだ。ただ、そこは危ないから…と言われたのは覚えているって」


「遠くからのメッセージかあ。そこというのは、あの場所か、それともアメリカ、或いは地球か…」

リーが面白半分のように言った。


「全く雲を掴むような話だけど、少し気になって」 困ったように言う望に、プリンスは頷いた。


「遠くからの警告、ですか。それは確かに気になりますね」


 4人は一体どこからの警告か、どこが危険なのか、どんな危険なのか、などを暫く話し合ったが、勿論結論は出なかった。


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