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158. チョコーレートは万人を癒やす

その夜、リーの父親ユアン ライが中国政府の警察に拘束されていることはニュースになって世界に流れた。心配でニュースの前から離れられないでいた望に意外な来客があった。


「リー! 大丈夫なの?家にいなくてもいいの?」 連絡もなくいきなり現れたリーに望が驚いて訊いた。


「ああ、俺は家にいないほうが良いって言われたんだ。悪いが暫く泊めてくれないか?」 疲れた様子のリーはプリンスに向かって尋ねた。


「勿論、いつでも歓迎しますよ。そうですね、家から離れている方がリーに注意が向かなくていいでしょう。リーには学校に行くという正当な理由もありますから」 プリンスが何やら一人で納得している。


「リー、お腹は空いていない?」 望は温かいハーブティーを手渡しながらリーに訊いた。


「良かったら今日食べ頃になった果物があるよ。自信作なんだ」 望がそう言って茶色い果物をリーに手渡した。リーは一瞬戸惑ってから、受け取って、一口齧った。


「うわっ、何だこれ? チョコレートじゃないか。でも砂糖のような甘さがなくて、美味いな」 


「チョコレート」と聞いてミチルが果物を見た。


「新作?まだ私にはくれてないわよね?」 


「だから今日とれたばっかりなんだよ。ミチルにもあげるつもりだったんだから。勿論プリンスにもね」 そう言ってミチルとプリンスにも一つづつ手渡した。さっそく齧ってみた二人も目を丸くしてそのまま食べている。


「これは凄いですね。本物のチョコよりむしろ私はこの方が好きです」 食べ終わったプリンスが備え付けの洗浄器で手をきれいにしながら言った。


「そうね。私もこちらの方が好きかも」 ミチルも満足そうだ。


「ああ、美味いな。今日は流石に何も食べる気がしなかったんだ。体に染み渡るような気がするぜ」 入ってきたときより元気な声でリーが言った。


望の新作「マナショコラ」(ミチルにそのままのネーミングじゃないの、と馬鹿にされたが)を食べて少し落ち着いた雰囲気になった4人は改めて現状を確認した。


「そうか、それが証拠だったのか。やっぱり俺を改造するためだったんだな」 リーは何も詳しいことを知らされていなかったらしい。ハチが調べたことを教えると諦めたようにため息をついた。


「リーのお父様がテロ組織と関わっていたという証拠は何もないんだから、きっと大丈夫だよ」 望の言葉にリーは疑わしそうに望を見た。


「本当に何の証拠もないのか?」


「うん。ハチにも調べて貰ったけど、どこにもそんな証拠はなかったって」 望の言葉にリーは少し肩の力を抜いた。


「御父上の政治的生命は終わるかもしれませんが、多分リーと関連付けて考えられることはないと思いますよ」 プリンスが付け加えた。


「おやじの政敵どもは大喜びだな。まあ、俺はもともとあんな世界には興味がないから構わないけど」 リーはその辺はあまり気にしていない様だ。望達は暗黙の了解でリーに双子の兄弟がいたことは黙っていることにした。


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