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144.マラドーナ自然保護区への潜入4

潜入まで時間がかかりすぎてすいません。潜入してしまったら、早いです(多分)

「全然わからないな」 ドミニクが望とミチルを見て感心している。


「これどうやってるのかね?」 


「僕のピアスがインターフェイスなんで、この前研究室に行ったときにフル装備して周囲が見えないといけないからって全方位のカメラも付け加えてくれたんだ。それをハチが処理して、僕に送ってくれるので、その周囲の景色と同じイメージを装備のホロに送ってるわけ」望がフェイスカバーを外して、顔だけが宙に浮いている状態で説明した。 ドミニクがぎょっとしてちょっと引いた。


「ああ、成程。しかし常時イメージを作成するというのは大変だろう?」 気を取り直したらしいドミニkが望の顔に訊いた。


「うん。だから2人しか無理なんだ。ほら、たくさんいるとその人達の周囲のイメージをすべて把握して作らないといけないから。2人でも近くにいてくれないと難しい」 そう言ってミチルのいる方を見た。


「一人分でも十分凄いな。一度君の頭の中を覗いてみたいな」 ドミニクが満更冗談でもなさそうに言った。


「案外なにもなかったりして」 ミチルのいる辺りから声がした。


「ミチル、ひどい。それから声に出さないで振動だけで話してっていっただろ。皆には伝わるから」


『これでいいんでしょ。さあ、いくわよ。私から離れないでね』 それは僕のセリフ、と思いながらフェイスマスクを下ろして、ミチルに続いた。



3時間程門のすぐそばで待機した後、小型のトラックが入って来た。見ると動物を載せているようで檻を積んでいる。何らかの方法でガードマンに連絡が取れるらしく、すぐに兵隊風のガードマンがやってきた。トラックから男がおりて、何かを見せている。問題がなかったらしくすぐに門を開けて中へ入る様に促した。ガードマンの横に通り過ぎる余地がないか伺っていたが、彼らはトラックの通れる間隔ギリギリしか門を開けない。このままじゃ門がしまっちゃう、と焦っていると、いきなりミチルに腕を掴まれた。


『あのトラックの下に捕まるのよ』 ミチルはそう言って望を引っ張って動き出そうとするトラックの下に潜り込み、荷台の端を掴んだ。両足はどうやらわずかな突起を見つけてそこにかけているらしい。荷台の端もとても細い部分で、とてもじゃないがそこに捕まって全身をささえることなど望にはできそうもない。

『僕には無理だよ!』 望は慌ててミチルを引っ張って止めようとした。しかし、ミチルは逆に望を完全にトラックの下に引きずり込んだ。


『しょうがないわね。私にしっかり捕まってなさいよ』 ミチルはそういうと望を持ち上げて自分の体に腕を回させ、そのまま2人分の体重を乗せてトラックの下に張り付いた。望が何か言う前にトラックが動き出した。


落ちないように必死にミチルにしがみついていたが、もうだめか、と思ったころトラックがスピードを緩めて、横道に乗り入れた。


『トラックから手を放すから、そのまま私に捕まってて。』ミチルの言葉に頷いて了承すると同時にミチルが望を下にして落ちた。落ちた瞬間軽く転がって道路のわきの草むらで止まった。


『わざと僕を下にしただろ?』


『こっちは2人分の体重を支えてたんだから、私一人分の体重なんて大した事ないでしょ?』そう言われると何とも言い返せない。


『わかったよ。お疲れ様。潜入成功だね。ハチ、ここから皆に連絡できる?』


『現在電波の遮断シールドの状態を確認中。確認終わりました。シールドを突破して連絡はできますが、感知される可能性が50%以上のため、お勧めしません』


『そうか、それじゃしかたがないね。現在地はわかる?』望がそう訊くと、フェイスシールドの中に地図が現れ、現在地に望とミチルのデフォルメされた姿が現れた。何故かミチルが筋肉粒々の騎士で、望がドレス姿だ。


『何この顔?』 望があきれていると、同じものを見たらしいミチルも隣で唸っている。


『誰のアイディアかわかってるから後で始末をつけるわ』ミチルの言葉に望はちょっと身震いした。


『どうやらこの先にある建物は動物を収容しているところのようだわ。そっちの方には私達が探しているものはないと思うから、ここを真っすぐ行ってあのお城に行きましょう』 ミチルはそう言うと望を引っ張って立たせ、走り出した。


『ちょっと待ってよ。僕は周囲の景色をイメージに変えなくちゃいけないから、そんなに早く動けないよ』 望の声に、ミチルはため息をついて走るのを止め、歩き出した。


『天才なら、それ位できていいんじゃない?望は何しろ天災なんだから』


『今絶対違う漢字を充てたよね?』馬鹿なことを言い合いながら15分程歩いた時辺りとは植生が違うエリアに入った。緑の生垣で囲まれた一帯はそれまでのサバンナとは違い、緑の芝生が敷き詰められ、花々が咲き誇り、まるでイギリスの庭園のようだった。その中央にお城が建っている。


『近くで見るともっと大きく感じるね?』望の言葉にミチルが同意した。


『一体どれだけの資産があるのかしらね?あんまり豊かな地域じゃないと聞いているのに』ミチルの言葉には怒りが込められていた。望も同じ気持ちだった。


『何とかあの城の中へ入らなくちゃね。裏口ってあるのかしら?』


『従業員用の出入り口らしきドアが4か所ございます』 ハチが言った。


『どうしてわかるの、ハチ?』


『昨日サテライトより、建築物の全貌が明らかになりましたのでこの建築物に合致する設計図を探しました。元はドイツ地区のお城を参考にしているようですが、実際にこれを設計、施工したのはA&Aの業者でした。そこから設計図等、入手致しました』 ハチが得意そうなのは望の気のせいだろうか?


『凄いね、ハチ。じゃあハチがここのクローズドネットワークを手に入れるにはどこに行けばいいかもうわかってるってことだよね?』


『はい。一番簡単だと思われるのは庭園の中にございますセキュリティネットワークです。その場所まで進んでいただければ後は赤子の手をひねるようなもの』またどこからか変な言葉を引っ張り出して来ている。 ミチルが赤ん坊の手をひねるとは非道な、とか言っているが、多分冗談だろう。ミチルはしょっちゅう望の手をひねったり叩いたりしている。


10分後、ハチが無事にお城のネットワークに侵入し、制覇した。











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