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140. 作戦会議再び

プリンスの作戦会議という言葉で望達は場所を地下の会議室に移した。


「プリンスって作戦会議が好きだよね?」 望がこっそりとリーに囁くと、リーとミチルが頷いた。どうやら聞こえたらしいプリンスが振り向いた。


「闇夜に鉄砲を撃ってもあたりません。何事も計画性を持って行わないと成功する確率が下がります」そう言われて3人とも慌てて真面目な顔をした。


 会議室で改めて現状の確認をドミニクを交えて行った。ドミニクの調べによるとマラドーナは南アフリカ地域を中心に広大な土地を所有しており、それらは連邦成立後50年間は治外法権とされていた。当初からの契約で、現在は治外法権は許されていないが、広大な自然保護区をはじめとしてほとんど連邦の監査を入れていないという。また、その地域で働く労働者の環境は国際水準に達していないので、度々政府から勧告を受けているが、誰も証言する者がいないので裁くことができないという。


「ひどい条件なのに、誰も証言しないって、変じゃない?」


「過去には証言しようとした者もいたんだが、不思議なことに気が変わったり、いつの間にかいなくなったりしてな、今では誰も文句を言わんとか」 苦々しい口調でドミニクが言った。


「ハチに頼んで極秘情報を探って貰えばいいだろ?」 リーが望のLCを見て言った。


「そうだね。もしハチができるなら、お願いする」 望は多少の違法行為はこの際目をつぶるつもりで言った。


「それがなあ、こっちの奴らによると、マラドーナは異常に用心深い男で、毎時間スパイ機器のスワイプをするだけじゃなくて、大切な情報は一切ネットワークには載せないそうだ。わしの知り合いも腕利きを何人か潜り込ませたがほとんど帰ってこなかったと言っていた。探り出せたのはそれだけだそうだ。それと、他は探しつくしたんで、知られたくないような大切な情報はまず間違いなく、マラドーナがしょっちゅういっている自然保護区内に置いてあると、言ってる。この自然保護区は軍隊が24時間パトロールをしていて、とても潜り込めないそうなんだが、それが却ってそこに大切なものがあると言ってるようなもんだな」


「軍隊がパトロール?」望が唖然とする。


「余程知られたくないものを隠しているんでしょうね」 プリンスが考え込みながら言った。


「まあ、かなりの保護動物を集めてあそこに移しているから、それが見つかって困るのもあるんだろうな」


「あと、裏の情報だが、そこで定期的に催されるハンティングは、今では禁止されているスポーツとして昔からの根強いファンがいるらしくて、かなりの高値でメンバーシップフィーが取引されているそうだ」


「スポーツですって?」 ミチルが怒りのあまり青ざめて、手を強く握っている。


「それでは何とかしてそこに潜り込む必要がありますね?」 プリンスが落ち着いた声で言ったが、顔が怖い。 望もマンゴの木から送られたイメージが蘇って気持ちが悪くなっていた。


「言っておくが、潜入捜査とかは無理だからな。わしの知り合いもすでに試したそうだが、何故かすぐにばれたらしい。そいつは戻ってこなかったからどうしてバレたのかはわからんそうだ」


「そんなことをするつもりはありません」 一時でもハンティングに興味がある振りをすることを想像したのだろうプリンスが、不愉快そうに言った。


「そうだよな。ここはやっぱり正攻法でいこうぜ」 リーが言った。


「正攻法ってどうやるの?」疑い深そうに望が訊いた。


「堂々と乗り込んで軍隊を蹴散らすんだよ」 胸を張って答えたリーを全員が残念な人を見る目て見た。


「それは最後の手段として、まずは正攻法で忍び込みましょう」 プリンスが言った。最後の手段に軍隊と戦うのありなの?と思ったのは望だけのようで、ミチルとドミニクが頷いている。いや、きっと頷いているのは忍び込む、と言う部分だよね?


「忍び込むと言っても簡単じゃないぞ。パトロールの時間もしょっちゅう変えているらしい」


「その辺は多分こちらで何とか出来ると思います。問題は中へ入ってもかなり広い土地ですから、どこに隠しているかを見つけることができるかどうか、だと思います」 目の前に広げられたマラドーナの自然保護区のイメージを見ながらプリンスが言った。


「あそこは全体にシールドがかけてあってサテライトからイメージを撮影することもできんから、中に入るまでは見当もつかん」 ドミニクがそう言って唸った。


「ドミニク、その保護区って昔からある場所?」一緒に連れて来たカリを見ながら望が訊いた。


「ああ、もともとサバンナだったらしいから昔からあの状態のはずだよ」


「じゃあ、かなり古い木もたくさんある?」 望が期待するように訊いた。


「そりゃあそうだ。かなり古い大きな木があるな」


「だったら、中に入れさえすればなんとか探せるかもしれないよ」望の言葉にプリンスが頷いた。


「そうですね。カリと望だったら木に話が聞けます」


「望君、自分の木でなくても話せるのかい?それは凄いな」 ドミニクが感心している。


「できるようになったの割と最近なんですけどね。古い木だったら大丈夫だと思うんです。若い子は良くわからない子が多いけど、長く生きている木はとても賢いから話が通じるみたい。もし僕ではだめでも、カリがいればまず大丈夫だと思う」


「それはいい。それじゃあ、なるべく早くこっちに来てくれ。わしもできるだけの手配はしておこう。ところで、君達がこの地区に来るのを隠せるかい?できれば誰にも知られないようにした方がいいぞ」思いついたようにドミニクが言った。


「それはお任せください」 何故かハチが執事姿で現れて請け負った。


「不肖ハチ、ネットに繋がっていない情報を探り出す事は今はまだできませんが、皆様の到着を誰の目からも隠すこと位はできます」 なんだかハチが落ち込んでいる。兎に角アフリカに行くことになった。





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