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138. ドミニクからの報告

望達が家に着いてリビングルームに落ち着いたと同時に、ハチがドミニクからの通信を告げた。全員で聞くことにして、繋げるようにハチに言った。


「望君、そちらの問題は片付いたかい?もしわしにできる事があったら言ってくれ」 最近表情が豊かになってきたドミニクが気遣うように言った。


「有難う。多分、もう大丈夫だと思う」望が少し自信なさそうに言った。


「急に大変な事をお願いしてすいません。そちらの様子はどうですか?何かわかりましたか?」 盗まれた子供達はどうしているのだろうか。


「ああ、こちらはもう片付いた。もう少し後始末があるが、密猟した奴らは捕まえてあるし、これまでに盗んだ保護動物はすべて回収した。今獣医に見て貰っているが、問題なければ元の場所に戻す。親を殺された子供については、仕方がないから自然動物園に預けようと思ってるが、それで良いか?」 何でもない事のようにドミニクが言った。


「ええ、それは仕方ないですよね。今朝お願いして、こんなに早く解決するなんて思いませんでした。有難うございます」 望は驚いて、心から感謝した。望達が行ってもこんなに早く片付くことはなかっただろう。親を亡くしたチータの子供を思うと可哀そうだが、親なしではまだ生きていけないだろう。良い動物園で面倒をみて貰えるならその方が安心だ。他の子達が元の場所に戻れるなら良かった。


「さすがに仕事が早いですね、ドミニク。何か問題はありませんでしたか?それと捕まえた密猟者はどうされるつもりですか?」 プリンスが訊いた。


「別に問題らしい問題はなかった。地元の知り合いに禁止されている珍しい動物を売買している連中を紹介して貰って、わしのボスの土地から密猟していった奴はいないかと聞いただけだ。すぐにすぐにその連中を連れてきてくれた。わしのボスの土地だとは知らなくて大変申し訳ないと、謝っておったが、それで許すわけにもいかんから、と言っておいた」 後ろでリーが(地元の知り合い?)と言っている。


「ドミニクのボス?」 望が怪訝そうに訊いた。


「ドミニクにボスがいるの?」 望の問いにドミニクが大袈裟に驚いて見せた。


「望君のために10年働け、と言ったじゃろ?ということは向こう10年間、望君はわしのボスだ」 


「ええ~」 何と言っていいのかわからず望は頭をかかえた。


「ドミニク、捕まえた奴らどうするんだ?」 リーが望を見て笑いながらも、真面目な顔になってドミニクに訊いた。


「そのことで相談なんだが、奴らによると、今回保護区にまで手を出したのはこの地域のお偉いさんが自分個人の自然保護区に入れるためにどうしても持って来いと言ったからだそうなんだよ。事情を知っている奴の話では、保護区と称しているが、仲間を招待して狩猟を楽しんでいるんだそうだ。狩ってしまうから動物が足りなくなるんだろう。規制されていない動物もかなり入れているが、保護動物を特に欲しがって奴らに無理強いしたというんだ」 ドミニクの説明を聞いて望は真っ青になった。リーとミチルも憤慨して顔が強張っている。


「その”お偉いさん”とやらは当然わかっているのですよね?」 プリンスが冷たい声で訊いた。


「ああ、勿論。奴らからこれまでの取引の証拠もすべて貰った。そいつについてはこれからなんとかしようと思っている」 プリンスの顔をみて、ドミニクが宥めるように言った。


「その方の資料を送っていただけたら、私の方でもできることをします」


「わかった。すぐに送るよ。それで、相談と言うのは、そいつらの処置の事なんだがな。まあ、昔のわしなら、自分に敵対した奴に情けをかけることなどなかったが、君達と会って少し変わったからな。お偉いさんに対して証言するのと引き換えに警察に突き出すのは勘弁してやってくれないかと思ってな。その代わり、これからはこちらの下働きとして保護区の見回りをさせるようにするが、どうだろうか?」

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