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133. 副大統領とザ ファースト

「まあ、大体のところは君達も知っての通りなんだが、新しくわかったことと言えばローゼンタール副大統領とザ ファーストとの関係だろうな」


「ザ ファースト?」 モスクワでのカリの子分の誘拐を思い出して望が顔をしかめた。


「副大統領はあそこと何か関係があったの?」


「かなりの資金が副大統領に流れていることがわかったそうだ。それも長期に渡ってだ。法律で許された政治的献金を大きく超えていることと、わからないようにA&Aの裏組織まで使って隠されていたことが問題になって、副大統領の罷免はすでに決定された。現在副大統領がその見返りに何をしていたかについて取調べ中だが、それもほぼ終わりで、明日にも発表があるはずだ。少なくともかなりの政府内極秘情報が漏らされていた事はわかっているらしい。ザ ファーストの方はまだ弁護士を立てて抗弁しているが、明らかな証拠があるのでこちらも罰せられるのは時間の問題だな」


「A&Aの組織まで使ってたの?よく証拠を掴んだね」 望が感心して言った。プリンスが苦笑している。ミチルは何故か呆れたように望を見ている。


「それがね、出所不明のメッセージが、いろんな所に送られて来て、それに明確な証拠が添付されていたとかで、いくら副大統領でも、もみ消すことはできなかったみたいだよ」 ブレナン博士が楽しそうに笑いながら言った。


「望、ハチがやったのか?」 リーが望に訊いた。


「そんなこと、」 してないよ、と言いかけて自分の手首を見る。


「ハチ…?」 ハチが沈黙したままなので、プリンスを見る。


「悪事が露見したのですから、細かいことは気に留めなくても良いではありませんか」 プリンスが微笑んで言った。 そうだろうか? 何となく納得できないような気がしたが、とりあえず頷いた。


「それでは明日の事情聴取で、望に聞きたいことはここで襲われそうになった件だけと考えて宜しいのですね?」 話題を変えるようにプリンスが博士に確認した。


「それだけだと、わざわざ呼び出す必要を感じないから、多分何か他に目的があるんだと思う。何しろ事情聴取にあたるのが大統領直属の情報局だと言ってたからな」 ちょっと難しい顔をして博士が言った。


「大統領の?」 プリンスが驚いている。


「それって政府の情報局とは違うの?」 望が訊いた。


「政府の情報局とは管轄が違います。大統領の私設機関のようなもので、大統領に直接報告します」


「何故、そんなところが望の事情聴取にあたるの?」 ミチルが怪訝そうに訊いた。


「僕もそれがわからなくてね、連絡してきた役人に聞いたんだけど、要領を得なくて」 博士が望を見て、心配そうに言った。


「とにかく、事件に関係のある事以外は答える必要がないからね」


「わかりました。心配してくださって、有難うございます」 


「僕としても君になにか会ってカリちゃんに嫌われたら困るからね」またちゃん呼びになっている。カリが怒るな、と思いながら何故か笑ってしまった。

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