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115. 映像は有料?

「今日のニュースです。グレゴリー ローゼンタール副大統領が大統領への陰謀容疑で拘束されました。現在大統領選挙に向けて、ニューヨークにある連邦病院で検査入院中のキング大統領へ、検査を不適格にするための薬物投与を行おうとしたとして、グレゴリー ローゼンタール サード副大統領と、ミナ ハンセン連邦科学研究所副所長が拘束されました。連邦警察では、警察に送られてきた映像に基づき、大統領の協力を得て待機していたところ、実行犯を現行犯で逮捕したと発表しています。送られてきた映像をご覧になりたい方はABCワールドニュース会員サイトでどうぞ」 有料の会員サイトでないと映像は見れないらしい。


「望様、ご覧になりますか?」 


「ハチ、有料サイトに無断で侵入するのは駄目だよ。お金を払えば良いんだから」 


「いいえ、有料サイトに侵入する必要はございません。素の映像がございます」 ハチがちょっと憤慨したように答えた。


「もともとハチが送った映像なんだからあたりまえよ」 ミチルが呆れて言った。


「そうなの? じゃあ見せて頂戴」 いつの間にそんな事をしていたんだろう?カリといい、ハチといい、どうも望の知らないところでいろいろやっているみたい。ゴーストだけだな、裏でコソコソしないのは。

 望がそんな事を考えて膝に乗ってきたゴーストを撫でていると、目の前にミナ ハンセンが副大統領と通話しているイメージが流れてきた。

      *


「ミナ、しばらく直接のコンタクトはしないように言っただろう?」


「緊急事態なのよ、グレゴリー。大統領のスパイが紛れ込んでいたらしくて、今ニューヨークに向かっているわ」ハンセン副所長の口調がかなり親しい相手に向けるもので、望は驚いた。


「スパイ? キングが研究所を探っていたというのか?そんなはずはないんだが」


「研究所を探っているというより、天宮望に興味があったのかもしれないわ。あなたと同じで彼の資産を狙っていても不思議じゃないでしょうしね。とにかく、あなたの紹介してくれた組織が送ってきた男だからと信用して、ブレナンを無力化して天宮望をこちらで処理するまで拘束しておくように命じたら、逆に博士達を助け出して逃げ出したのよ。もうすぐニューヨークに着くわ。大統領に報告が行ったら困ると思って急いで連絡したのよ」


「あの組織の男ならそんなはずはないんだがな。 万が一そうだとしても、大統領はすでに検査に入っている。検査後には報告なんか受けられる状態じゃないはずだ。その男は、こっちの計画のことは掴んでいないんだろうな?」


「勿論その件に関しては誰にも話してないから、スパイに感づかれることもないはずだわ。研究所の記録は消去しているし」


「本当に大丈夫か? あの薬を研究していたのは君の研究室だからな。万が一薬が検出されることがあったら…」


「それはないわ。あの薬を完成させたのは私よ。IBA(Incurable Brain Atrophy治療不可能な脳萎縮)を止める薬を研究しているうちに偶然発見したものだから、所長も知らないわ。完成後、研究記録はすべて消去してあるし、あの薬は使用3分後には全く検出しなくなるけれど、ダメージは生涯残るわ。どこからどうみてもIBAの急激な進行にしか見えないわ」 自信たっぷりにハンセン副所長が受けあっている。


「ミナ、君を信じているよ。すでに味方につけたメディックに薬を渡してある。もうすぐ投与できるはずだ」


「そうしたらあなたが大統領ね。でもすぐに選挙ね。そっちは大丈夫なの?」


「心配ないよ。キング大統領の支持者を引き継いで立候補すれば当選確定だ。大統領もきっと私を応援してくれるはずだ」 自信ありげに副大統領が言っているところで、イメージが消えた。

    

       *


「これって...」 望が絶句してプリンスとミチルを交互に見た。


「そういう事よ。ミナ ハンセンは副大統領と共謀してキング大統領の脳を急激に萎縮させるつもりだったわけ。ついでに望を拘束してなんとか望の資産を手に入れようとしていたみたいね」


「あの映像はハチが研究所をモニタリングしている間に...?」


「そうです。ミナ ハンセンは怪しいと思っていましたが、まさか大統領を狙っているとは、私達も驚きました。こちらの名前を出すのはためらわれたのでハチが持っていたマックと密かに繋がりのあった議員に映像を送りました。彼の方でこちらの名前を出さないで連邦警察に連絡してくれました。結構間一髪だったらしいですよ。もう少し連絡が遅れたら大統領は廃人になっていたかもしれないそうです」


「さっき確認したら、大統領は無事で、その薬も証拠として押収できたそうよ」


「というわけで、ブレナン博士の休暇は思ったより短くなりそうですね」 プリンスが締めくくった。

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