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92.Happy New Year!

「皆、良く頑張ってくれた。有難う。お陰で明日、新年の祝いと共に、ラストドリームの価格の大幅値下げを発表できる。これで世界中の人に幸福な最期をもたらす、という天宮希一の目標に少しは近づけた。この1年大変だったろうが、今夜は楽しんでくれ。なお、既に知っている者もいるとは思うが、ブレイブニューワールドの好意で、本社地下にリトリートが設置された。予約制ではあるが、社員は誰でも使えるから、是非楽しんでくれ。今年の皆の努力に感謝するとともに、来年の躍進を願って乾杯」 ヤナギ社長の挨拶に皆が歓声をあげ、乾杯する。


「望、お疲れ様」 ジュースの入ったグラスで乾杯しながらプリンスが望を労ってくれた。


「プリンスこそ、お疲れさまでした。でも本当にうちのパーティなんかに出ていて良かったの?」グリーンフーズのニューイヤーパーティはそれは大掛かりなもので、望が知っている限り、これまでプリンスが出席しなかったことはない。


「今年は流石に働き過ぎましたから、無理を言ってお休みをもぎとりました」プリンスが嬉しそうに言った。2人とも今日から2週間は仕事が入っていない。完全なお休みである。京都で3日のんびりした後、しばらく行けなかったA&Aの家に行く予定だ。アカの様子も見に行きたい。


「よくおじい様おばあ様達が承知したね」望はまだ信じられない。


「私の体の方が大切だと言ってくれましたので、大丈夫ですよ。まあ、休み明けにはおちらにも顔を出すことになってますしね」 散々泣かれた事は忘れましょう、私にだって癒しは必要ですからねと密かに思うプリンス。


「しかし、ここにもリトリートが設置されたんですね」


「そうなんだ。ギリアンが無理を言ったお礼だって言って。最近企業からの注文が多くて大変だって言ってた」 

 ブレイブニューワールドは当初、自社のゲームセンターに設置していたリトリートの人気が凄いので、リトリートだけを独立させた。その際、望の希望でプリンスの家にコンパクトタイプを設置したことからヒントを得て、これを企業向けに売り出したのだが、従業員の慰安のために設置したいという企業が増えて、そちらの方が忙しいらしい。ただ、会社のリトリートを使った人達が、ブレイブニューワールドの大型リトリートにも来るようになったのでそちらの利用者も増え、大都市地下に展開したリトリートも大繁盛していると、ギリアンに感謝された。


「新作も素晴らしいですから、もっとファンが増えるでしょうね」 25日のオープニングに望達と一緒に新作を体験したプリンスが思い出してうっとりとしている。あの、現実としか思えないのに、全くの別世界は、はるかにプリンスの期待を超えていた。黒の礼装を着たプリンスがそんな顔をすると、辺りの人達がそのプリンスの顔をみてうっとりしている。


「有難う。時間が足りなくて、最後はどうなるかと思ったけど、なんとか間に合って良かったよ。でも、学期末試験は駄目だったけど」


「あら、仕事のせいかしら?プリンスは望より忙しかったと思うわよ」ミチルが望を睨んだ。


 ギリアンはクリスマスに新作オープンをしたいと望を拝み倒した。 望のスケジュールは完全に埋まっていて無理だ、と言ったのだが、泣き落された。Happy Death Co にサービスでリトリートをつけてくれたのは有難いが、望は学期末の試験の成績を犠牲にした。もっとも、なんとか平均は保っただけの望に比べて、同じように忙しかったプリンスが相変わらず優秀な成績だったことを思うと、仕事のせいにしてはいけないのだろう、きっと。


「そんなことより、新年の花火があがりますよ」 プリンスが声をあげると同時にガラス張りの壁の外に大きな花火が上がり、同時に全員が周囲ににいる人々とHappy New Yearをかわし始めた。


「「「Happy New Year! 今年も宜しく」」」 望、ミチル、プリンスもグラスを合わせた。



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