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82.こんな面白い事、仲間はずれにされてたまるか

 それからのプリンスの動きは速かった。

 グリーンフーズ香港支社のセキュリティに連絡して、建物を見張らせると同時にリーに連絡した。リーはこの週末、香港の家に帰っていた。ミラクルフーズは香港最大といえる大企業で、地元警察は動きたがらないだろう。リーの家を通じて圧力をかけても時間がかかるだろうし、下手をすれば証拠隠滅のためにビショップ氏を始末される恐れすらある。リーに頼んでミラクルフーズと関係のないこういった特殊な仕事を専門にしているスペシャルフォースと呼ばれる私兵を雇い、まずビショップ氏の身柄を取り戻すことにした。

 

 望達は、手配を終えたプリンスと一緒に、グリーンフーズのセキュリティが流してくれる現場の様子を見ていた。プリンスの合図で、ハチがビショップ氏のいる地下へのセキュリティを解除し、リーが雇った私兵が7人建物の中に入っていく。


 「あのバカ、何をしているの」 途中の人間を素早く無力化して進んでいく様を感心して見ている望の横で、ミチルが、声を上げた。


 「どうしたの?」 望がミチルを見ると、ミチルは黙って先頭を進んでいく男を指さした。


 「リーですね」 プリンスが大きくため息をついた。


 「えっ、どうしてリーが?」 望は慌てて男をよく見た。プロテクターを付けているが、確かにあれはマックの研究所でユージーンに作ってもらった防御スーツだ。よく見れば手に持っているのも研究所にあったレーザーガンみたいだ。いつ手に入れたのだろう。あっという間に目的の部屋にたどり着き、ハチが解錠した部屋の中から私兵の一人がぐったりとしたビショップ氏を担ぎ上げて建物の外に出た。リーと、ビショップ氏を担いだ私兵が出口に待機していた車に乗り込んで、素早く飛び立った。残りの5人はいつの間にか姿が見えなくなっていた。その間わずか数分である。


「あとは弁護団に任せましょう。中国地区は厄介ですが、これだけの証拠があればなんとかなるでしょう。本社に連れ込むとは、自信過剰だとしても馬鹿な真似をしましたね」 プリンスがにっこり笑ってそう言った。ちょっと怖い、と思った望だ。




「リー、大丈夫?怪我しなかった?」数時間後、無事にビショップ氏を送り届けて、グリーンフーズの車に送られてやってきたリーに望が心配そうに訊いた。


「なんで自分で行ってるのよ。弱いくせに」 ミチルが怒っている。多分心配したのだろう。


「弱いくせにってなんだ。俺は結構やれたぞ」偉そうに言ったリーはテーブルの上に置かれた果物を見て、嬉しそうに掴んだ。


「ジェネシスバナナ貰うぜ。これを食べると疲労回復するんだよな」 どこかのCMのようなことを言いながら皮をむいてかぶりついた。


「それにしても、リーが自分で行く必要はなかったでしょう?私がお願いしたのは、ビショップを取り戻すために信用できる私兵を紹介して欲しい、ということのはずでしたが」 プリンスは些かおかんむりだ。


「そんなこと言ったって、こんな面白いこと、仲間はずれにされてたまるかっての」

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