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 スターラインに到着して数日後、奴隷にされて居たみんなは、王国から派遣された兵士達の護衛付きで故郷に戻っていく。

 それを見届けた俺は、更なる知識を得て宇宙船を直すために冒険者になることを決意。

 後ろからちょろちょろとついてくるロリ宇宙人と一緒に、エクレシアの案内で冒険者ギルドに向かう。

 その道中で、レンガで出来た中世ヨーロッパ風の街中を歩きながら通り過ぎていくエルフや獣耳の住人達。

 最初見たときは興奮で震えてたけど、数日すれば慣れてきた。

 住めば都って言うことわざはこう言う意味なのだろう。

 ちなみにそれまでの数日間、俺も何もしていなかったわけでもない。

 ロリ宇宙人にカプセルを受け取った際、ライアンが提供してくれた場所で宇宙船内にある技術を調べ尽くし、それらを用いて例のパワードスーツ、『ロード・スレイヤー』の改良版製作していたのだ。

 今後の活動方針としては、この世界のあらゆる場所を探索し、宇宙船の修理に使えそうな資源を見つける事と、修理に役立ちそうな技術を習得することだ。

 そのため、あらゆる場所へとクエストに行く冒険者が最適だと思っている。

 だけど、何のチート能力もない俺が冒険者になったところで、とんでもないモンスターと遭遇した場合は喰われて人生終了だ。

 それにまた魔王軍幹部に拉致られて奴隷にされるのも嫌だ。

 だから安全に冒険者家業が出来るように、急ごしらえ物でも魔王軍幹部のオークを倒せたあのパワードスーツを製作しようと決めた。

 因みに設計図は既に完成しており、只今のところ足元を製作中。


「ここが冒険者ギルドだけど、本当に大丈夫なの? いくらトカッツンを倒せたとは言え、あんなの相打ち同然なんじゃ……」

「仕方ないだろ、本当は移動商にでもなろうかなって思ってたけど、聞いた話じゃ冒険者じゃないと通れない場所が多いらしいじゃねえか。危なっかしいのは嫌だけど今は何としてでも使えそうなのを片っ端から見つけなきゃ帰れねえし」


 そう、俺は意外と運は良い方だ。

 だから冒険者なんて危なっかしい事ではなく、商業と言う安心な方法で稼げる自信があるのだが……。


「全くっすよ。冒険者や商業なんかでチンタラ稼がず、カジノでドッカーン! って当てれば簡単に一攫千金だってのに。ハイリターンって言葉知ってるっすかツクルさん?」

「貴方、逆にハイリスクって言葉知ってる?」

「そういやまだ名乗ってなかったっすけど、アタイの名は『チリ』って言いやす。これからはそう呼んでくださいっす」


 ……エクレシアにツッコまれてるこのロリ宇宙人ごと『チリ』が何かやらかしそうな気がしてたまらない。

 You◯ubeのチャンネルの一部である、どこぞの有能ペンギンの同僚の糞パンダ然り、現世に同行した閻魔女子然り、主役がどれほど優秀でも、もう片方が屑すぎる行いがきっかけで巻き添いをくらい、地獄の底に落ちる可能性もある。

 下手したら国家予算並みの借金を背負う可能性も……。

 うん、やっぱここは冒険者だな。危険な仕事だが、その分チリも下手な行動はしないだろう。


「理由はわかったわ。……ねぇ、今更だけど、身を挺して私達を助けてくれて、ありがとね」


 頬を赤らめ、少し恥ずかしそうにお礼を言うエクレシアがとっても可愛らしい。

 そんな彼女を見てると自然と頬が斜め上に上がりニヤけてしまうよ。


「えっと……忠告って感じなのかしら? 冒険者になった以上は、危険が付き纏うものだし、私が見る限り貴方は、何かとんでもないアクシデントが起きたりなんかして、首を斬られて殺されそうな顔をしている気がするの……」


 ……ちょっとモジモジしながらの恥ずかしそうな顔でなんつう不吉な事言い出してんだよこいつは……。


「だから……その……約束だし……わ、私のパーティーに加わらない? 私がいれば、ツクルやチリを守る事ができ……」

「お断りいたします」


 言い切る前にパーティー加入拒否した俺に対してポカンとするエクレシアさん。


 いや嬉しい、めっちゃ嬉しいよ!? こんな美女とまた一緒に居られるだなんてさ、どんな男でも断らないのは間違いない!!

 けどコイツ魔王倒すのが目的じゃん? パーティー加入した時点で俺も魔王討伐に行かなきゃいけないじゃん?

 そんな物騒なもんに巻き込まれたら俺確実に死ぬじゃん!!

 美女と命、どちらを選ぶかとしたら俺は断然後者を選ぶ!!


「あ……あの時の未知空間(宇宙船)での出来事を、洞窟での活躍で水に流して恥ずかしいのを堪えて誘ったのに、言い切る前に断るってどういうことよ!?」

 「いやいやいや!! だってお前魔王討伐に行くじゃん!? そんな物騒な事に俺は巻き込まれたくないんだよ!! そもそも俺らの目的は宇宙船を直すためだって」


 俺とエクレシアの口論に対し、地に座りながら目の保養感覚でニヤニヤと見つめているチリがなんか腹立つ!!

 分かってる!? もしエクレシアと同行することになったらお前も魔王退治しなくちゃいけなくなるんだぞ!?

 そして打倒魔王を目指すエクレシア本人は、俺の手を強く握り離そうとしない。


「そんなこと言わないでよ!!例え姑息でもなんでもいいから知恵者が欲しかったんだもん!!そもそも洞窟での同棲中に水浴びしてるとこを覗き見した挙句、抱いたり抱かれたり最終的には私の大切な物を奪ったんでしょ!?」

「うぉおおおい!!覗きとか一部以外は認めるけど言い方!!周りに誤解招くし大体……あ!!」


 エクレシアが色々とアウトな事言って驚いてる間に、チリの野郎はこの辺に突っ立っていた主婦達に何か言っていやがるんだけど!?


「え!? あの男、目の前の美少女を男女の関係になった挙句、責任取らずポイ捨てしようとしてるですって!?」

「そうなんっすよ。そこでお訪ねしたいのですが、あの男どう思いやす?」

「言うまでもないわ。屑よ屑!!」

「あいつは間違いなく女の敵ね! 一体何考えてるのかしら?」


 なんかとんでもない誤解を招いてる!?

 そして主婦達の陰で見つめていたチリの薄ら笑いがなんか腹立つ!

 エクレシアの奴にも聞こえたみたいで、彼女は口元を斜め上に歪めニヤけ……


「私に対してあんなことやこんなことして純潔奪っただけに飽き足らず、ひのきのぼうや聖水の殻瓶を使って弄んで挙げ句の果てに」

「そこまでやってないだろうが!!とにかくお前のパーティーに入るからお願いだから黙ろうか!!」

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