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クリスマスイベント企画  作者: 凪野海里
2/5

2話 これはデートですか?

 え、知らない?



 呆然とする僕の前で海さんは、またもそのふくれっ面を見せてきた。



「別にいいじゃん、そんなこと。雪は細かいことすぐ気にしすぎ!」



 いや、キミが気にしなさすぎなんだって。



 思わずそう反論しそうになったけど、そのときふと、僕は別のことに目がいってしまった。

 そこにあったのは、新聞ラックである。コンビニの出入口によくある……。



 そうだ、新聞だ。新聞にはその日の日付とか色々な情報が書かれているじゃないか!



「ちょ、ちょっと待って」



「ん?」



 僕は慌ててコンビニを出ようとした海さんを引きとめて、新聞ラックにある新聞を手に取った。



 新聞の1面に記されている日付を見る。



「2018年、12月、24日……!?」



 クリスマス・イブじゃないか!



 って、気にするところはそこじゃないけど。たしか今年の12月24日は祝日だし、明日からはたしか冬休みのはずだ。いやいや、気にするところはそこでもない……!



「雪?」



「ここはまじでどこなんだ?」



「気にすることなの、それ」



「普通に気にするでしょ」



「石上さんがいないんだから好き勝手やればいいじゃん!」



 だから誰なんだ、その石上さんって。



 海さんは金持ちだし、もしかして側付きか何かか? まあ、あえてこれ以上は何も聞くまい。話がややこしくなっても困るし。



「いいから外行こうよ」



「ああ、うん」



 新聞をラックに戻して、海さんと一緒にコンビニを出た。チャララララン、という独特な音楽を背にして。



***



 冷たい空気が頬や耳を刺す。



「はい、カイロあるよ」



 気が利くことに、海さんは自分のスカートのポケットからカイロを2つだしてくれて、そのうちの1つを僕にくれた。



 ありがとう、とお礼を言ってそのカイロを両手で包んだ。わぁ……、あったかい……。手袋越しからでも充分に伝わるその温かさに、僕はほぅっと白い息を吐きだした。



 周りを見渡すと、男の人と女の人が一緒になっている光景が多く見られた。ああ、そっか。今日はクリスマス・イブだからこういう人たちが多いのか。おそらく、全員が恋人同士……。



「はっ!?」



「わ、何?」



 ちょ、ちょっと待て?



 今日はクリスマス・イブ。



 そして一緒にいる男の人と女の人。



 しかも夜!



 これはもしかして、いやもしかしなくとも僕ら。周りの人たちからしたらカップルに見えているんじゃないか!?



「う、海さんっ!」



「何?」



「勘違いしてたらごめんなんだけど、これはデート!?」



「へ……?」



 海さんはきょとん、とした目を僕に向けてきた。その純粋なる青く輝く瞳を見て、すぐに僕は後悔する。



 何て馬鹿な質問をしているんだ!



「いやいやいやいや、今の忘れて。今の忘れよう。僕がどうかしていたんだ。ごめん……」



 うわぁ……、これがいつもの海さんだったら今頃、平手打ちの1つくらいくらっててもおかしくない……。



 うぅ……、どこかで誰かの笑い声が聞こえる気がする。あれは――そう、男子のクラスメイトで1番仲の良い……。思い出したくもないです、はい。



 僕が頭を抱え込んで悶絶しているにも関わらず、しかし海さんから何の反応もこなかった。



 おや?



 不思議に思って顔を覆っていた両手をとって彼女を見ると、すごい顔が真っ赤!



「え?」



「え?」



 僕らは同時に声をあげた。



「……いや、あの。海さん?」



「へっ!? え、えっと。あのあの……。ウソ、えっと……」



 めっちゃくちゃ動揺している!

 いや僕もそうだけど!



 僕らは互いにキャパオーバーしたロボットのように、「あの、えっと」などと言語として意味をなさない言葉を発して、ますます慌てだす。



 そのとき、視界の端に赤色と黄色のW字のエンブレムが見えた。



「わ、ワクドナルド! ワクドナルド行こうよ、海さん!」



「へ? は? わっ」



 僕はキャパオーバーしたロボットのような状態の海さんの手を引っ張って、ワクドナルドのほうへと向かった。

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